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7月31日の世界の昔話 青ひげ


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7月31日の世界の昔話



青ひげ



青ひげ
ペローの童話 → ペローの童話の詳細


 むかしむかし、大きなおやしきに、ひとりの男の人がすんでいました。
 この人は、お屋敷のくらの中にお金や宝石をたくさんもち、いろいろなところに別荘をもっている大金持ちです。
 でも、青いひげがモジャモジャとはえた、とてもこわい顔をしているので、人々から『青ひげ』とよばれてきらわれていました。
 そしてもうひとつ、青ひげには、ヘんなうわさがありました。
 それは、今までに六人もおくさんをもらったのに、みんなどこかへいなくなってしまうという、うわさでした。
 ある時、青ひげは近くにすむ美しい娘を、お嫁さんにしたいと考えました。
 そこで娘とそのお母さんや兄弟たち、それに友だちもよんで、おいしいごちそうをしてもてなしました。
 みんなは別荘にとまり、何日も何日も、散歩やダンスやつりをして、楽しくすごしました。
 そのあいだ、青ひげはいっしょうけんめいニコニコと、やさしい顔をしていました。
 しばらくすると、娘は青ひげのお嫁さんになってもいいと言いました。
 青ひげは大喜びで、すぐに結婚式(けっこんしき)をあげたのです。
 ある日、青ひげはおくさんをよんでいいました。
「わたしは、明日から大切な用があって旅に出かけることになった。だから、あなたにやしきのカギをあずけていこう」
 そういって、カギのたくさんついているたばをとり出しました。
「これは、家具の入っているくらのカギ。これは、金や銀の食器の棚のカギ。これは、宝石箱のカギ。わたしのるすのあいだ、たいくつだったら、このやしきにいくら友だちをよんでもかまわないし、どの部屋に入ってもかまわないよ。ただし・・・」
 青ひげは急にこわい目をして、おくさんをジロリと見ました。
「この小さなカギだけは、使わないように」
「はい。でも、これはいったいどこのカギなのですか?」
 おくさんがたずねると、青ひげはこたえました。
「ろうかのつきあたりの小さな部屋のカギだ。いいな。その部屋には、ぜったいに入ってはいけないぞ」
「わかりました」
 こうして青ひげは、つぎの日、出かけていきました。
 おくさんは、はじめのうちは友だちをよんで楽しくすごしていましたが、そのうち、たいくつになってきました。
 すると、あのいけないといわれた部屋に入りたくて、たまらなくなりました。
「だめ、いけないわ。
 ・・・いけないかしら。
 ・・・少しだけなら。
 ・・・大丈夫よね。
 ・・・大丈夫よ」
 おくさんは、小さなカギで小さな部屋のドアを開けてしまいました。
「あっ!」
 中を見たおくさんは、ドアのところに立ったまま、ガタガタとふるえだしました。
 部屋のかべには、たくさんの女の人の死体がぶらさがり、ゆかには血がベッタリと、こびりついていたのです。
 それはみんな、青ひげのまえのおくさんたちでした。
「ただいま」
 そこへ、青ひげが帰ってきたのです。
 おくさんはビックリして、カギをゆかに落としてしまいました。
 おくさんはあわててカギをひろうと、ドアにカギをかけて青ひげのいる玄関にいきました。
「お、お、おかえりなさい」
 おくさんを見た青ひげは、ニッコリ笑いました。
「やあ、すっかり、おそくなってしまったね。・・・おや、どうしたんだい? そんなにふるえて」
「い、いえ、べ、べつに」
 ガタガタとふるえるおくさんを見た青ひげは、急にこわい顔になっていいました。
「わたしていたカギを、出してもらおう」
「はっ、はい」
 おくさんがふるえる手で差し出したカギを見た青ひげは、キッ! と、おくさんをにらみつけました。
 カギには、あの部屋で落としたときについた血が付いていたのです。
「・・・いけないといったのに、やっぱり見たんだな」
「ゆるしてください、ゆるしてください」
 おくさんは青ひげのまえにひざまずいて、ないてあやまりました。
 でも青ひげは、ゆるしてくれません。
「おまえは悪い女だ。・・・殺してやる!」
「ゆるしてください、ゆるしてください」
「・・・では、お祈りの時間だけまってやろう」
「ああ、神さま・・・」
 おくさんは、必死で神さまにお祈りします。
 青ひげは刀をぬくと、お祈りをしているおくさんの首をきろうとしました。
 ちょうどその時、玄関のドアがひらいて、ふたりの男の人が入ってきました。
 おくさんのふたりのお兄さんたちが、運よく妹をたずねてきたのです。
 ふたりは妹が首をきられそうなのをしって、すぐに青ひげにとびかかって、殺してしまいました。
 死んだ青ひげには、ほかに、しんせきがいなかったので、お屋敷や別荘、お金や宝石は、ぜんぶおくさんのものになりました。
 おくさんは、それからはずっと幸せにくらしたということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 蓄音機の日
きょうの誕生花 → やなぎらん
きょうの誕生日 → 1967年 本田美奈子(歌手)




きょうの日本昔話 → ゆうれいの酒盛り
きょうの世界昔話 → 青ひげ
きょうの日本民話 → 鳥になったかさ屋
きょうのイソップ童話 → セミ
きょうの江戸小話 → かみなり


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7月30日の世界の昔話 オオカミ退治


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7月30日の世界の昔話



オオカミ退治



オオカミ退治
フランスの昔話 → フランスの国情報


 むかしむかし、キツネがウナギをくわえてうちへかえってきますと、おかみさんと子どもたちがおなかをすかせてまっていました。
「ああ、きょうはごちそうだあ」
 子ギツネたちは大よろこびで、くしにさしたウナギが火の上でやけるのを見ていました。
 ところがこのとき、うちのまえをオオカミがとおりかかりました。
「おや? クンクンクン、いいにおいだな」
 おなかがペコペコのオオカミは、キツネの家へはいろうとしましたが、キツネは戸口をしっかりとしめているので、はいることができません。
「おいおい、キツネくん、あけてくれよ。いいはなしがあるんだ」
 キツネはその声をきいただけで、森の王さまだなとおもいました。
 らんぼうもののオオカミは、王さまというあだながついているのです。
 子ギツネたちはこわがって、ブルブルとふるえました。
「はやくあけてくれよ」
と、オオカミは戸をたたきます。
「だれだい?」
と、キツネがききかえしますと、
「おれだよ」
「おれって、だれだい?」
「なかまのものだよ」
「ほう、わたしはドロボウかなと、おもいましたよ」
「いや、ちがうよ。あけてくれ」
「だめです。きょうはお坊さんがうちにくる日です。お坊さんでないかたは、かえっていただきます」
「じゃあ、いますぐお坊さんになるよ」
「では、お坊さんになるしょうこを見せてください。それにはまず、あたまのけをそらないといけませんよ」
 オオカミはしばらくかんがえて、いいました。
「それもそうだな。じゃあ、ちょっとあたまをそってくれないか?」
「では、戸口にあながあいているので、そこにあたまをつけてみてください。わたしがあたまをそってあげたら、はいってもいいですよ」
「それでは、そうしよう」
と、オオカミは戸口のあなに、あたまをおしつけました。
(よし、いまだ!)
 キツネは、にえたぎっているおゆを、ザーッとオオカミのあたまにかけました。
「うわーっ、あつい、あつい!」
 オオカミはなきべそをかきながら、いのちからがらにげていきました。
「子どもたちよ。オオカミ退治はこうするんだよ」
 キツネがそういいながら子どもたちのほうを見ると、子どもたちはまんぞくそうに、おなかをさすっています。
 お父さんがオオカミ退治をしているあいだに、子どもたちはごちそうのウナギをぜんぶたべてしまったのでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → プロレス記念日
きょうの誕生花 → にちにちそう
きょうの誕生日 → 1928年 荒井注(俳優)


きょうの新作昔話 → 弥三郎(やさぶろう)ばばあ
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きょうの世界昔話 → オオカミ退治
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7月29日の世界の昔話 ハンスとカエルの嫁さん


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7月29日の世界の昔話



ハンスとカエルの嫁さん



ハンスとカエルの嫁さん
ドイツの昔話 → ドイツの国情報


 むかしむかし、ある小さな美しい村に、お母さんと三人の息子が住んでいました。
 お母さんは、住んでいるこの家を三人の息子のうち、誰にあげようかとまよっていました。
 一番上の息子は、とても勉強ができましたが、働くのはあまり好きではありません。
 二番目の息子は、とてもよく働くのですが、ひどいケチでした。
 三番目の息子は、とてもやさしいのですが、おひとよしで、すぐにだまされてしまいます。
 お母さんはある日、いいことを思いつきました。
 さっそく息子たちをよぶと、お母さんは三束の亜麻(あま→アマ科の一年草)を一束ずつ手渡して言いました。
「お前たち、この亜麻を好きな娘さんにつむいでもらいなさい。一番上手につむいで、いい織物(おりもの)をこしらえた娘さんを連れてきた息子に、この家をゆずろうと思うの」
「そりゃあ、いい考えだ!」
 一番上の息子と二番目の息子は、亜麻の束を持ってすぐに家を飛び出して行きました。
(ぼくの好きな娘は、つむぐのが上手だからね。家があれば、結婚してもちょっとだけ働けばいいんだ、あとは好きな勉強ができるぞ)
 一番上の息子はそう思い、二番目の息子は、
(俺の好きな娘はつむぐのが早いのさ。おまけに金持ちだから、俺が家さえ持っていれば、金をどっさり持って嫁に来てくれるだろう)
と、思ったのです。
 でも、三番目の息子は、しょんぼりと亜麻の束を持って家を出ました。
(ぼくには好きな娘もいないし。・・・こまったなあ)
行く所もないので、いつもの散歩道(さんぽみち)の沼地(ぬまち)をブラブラしていると、どこからか、しゃがれた声がしました。
「ハンス、何かお困りかい? ケロ」
「だれだ?」
 立ちどまってあたりを見ると、小さな木のしげみから、一匹のヒキガエルが飛び出して来たのです。
 ヒキガエルは、丸い目でハンスを見つめていいました。
「ハンス、どうしたの? ケロ」
 ハンスはおどろいて、言いました。
「ヒキガエルが、しゃべった!」
「ビックリしなくても大丈夫だ。ケロ。それより、なにを困っているんだ? ケロ」
 そう言われてハンスは、
「まあ、ヒキガエルに話しても仕方ないけど。じつは・・・」
と、お母さんに言いつけられたことを話して聞かせました。
 するとヒキガエルは、ハンスのひざに飛びのって言いました。
「それじゃあ、ハンス。わたしにやらせてよ。ケロケロ。わたしが一番なら、ハンスの花嫁さんね。ケロ。教会の結婚式には、白い花嫁衣装を用意して待っててね。ケロ。約束よ。ケロケロ」
 ヒキガエルがあまりにうれしそうに言うので、ハンスはつい、亜麻の束を渡してしまいました。
 ヒキガエルは亜麻の束を抱えると、木のしげみをはねまわり、どこかへ行ってしまいました。
「ああ、行っちゃった。それにしても、俺はなんてまぬけなんだろう。カエルなんかにあげちまったら、あの家をすてたも同じじゃないか」
と、ハンスはかたをガックリと落としました。
 次の日、ハンスが沼地へ出かけて行ってビックリ。
 小さな木のしげみに、フワリと大きな花がさいたような、きれいな織物がかかっているではありませんか。
 手にとってながめると、なんだか心の中があたたかくなり、誰でもひとめみたらほほ笑んでしまうほどのできばえです。
 ハンスはその織物を持って、家にもどりました。
 お母さんは、そのハンスの持ってきた織物をひとめ見たとたんにこう言いました。
「ハンスの織物が一番上等だよ。この家は約束どおり、ハンスにあげましょう。さあハンス、お前の花嫁さんを連れておいで。花嫁衣装を用意して、教会で式をあげましょう」
「あ、それが、その・・・」
 ハンスは、何と答えたらよいかこまってしまいました。
「さあ、なにをグズグズしているの。はやく連れておいで」
 お母さんにせかされたハンスは、花嫁衣装(はなよめいしょう)の用意をして教会へ行き、牧師(ぼくし)さんに結婚式のお願いをしました。
 一番上の息子も、二番目の息子も、上手な織物を持ってきましたが、ハンスの持ってきた織物にはかなわなかったのです。
 二人ともハンスが家をもらうのをとてもくやしがり、なんとか花嫁が来ないことをいのりました。
 夕方になり、村の人が教会に集まって、結婚式が始まりました。
 でも、牧師さんの前に立っているのは、ハンス一人です。
 村の人たちは、ヒソヒソ言いました。
「花嫁は、どうしたのかね?」
 二人の兄さんは。顔を見合わせてニヤリと笑いました。
「このまま花嫁が来なけりゃ、この結婚はなかったことになるぞ」
「それに、お母さんとの約束もなかったことになるぞ」
 ハンスは恥ずかしくて恥ずかしくて、どこかへ逃げてしまいたい気持ちです。
 このまま花嫁がいないのも恥ずかしいし、もしきても、ヒキガエルの花嫁と結婚するのも恥ずかしいし。
 どっちにしても恥ずかしくて、ハンスはヒキガエルに亜麻の束を渡したことをくやみました。
 そのとき、教会の扉(とびら)が開きました。
 村の人たちは、いっせいにふりかえります。
 扉を押してはいって来たのは、あのヒキガエルでした。
 ヒキガエルは、ピョンピョン飛びはねながらハンスと牧師さんの方へやって来ました。
 そして、ハンスと牧師さんにペコリと頭を下げてあいさつをすると、花嫁衣装のある控室(ひかえしつ)に行ったのです。
 ハンスはヒキガエルのあとを追いかけました。
 するとヒキガエルは、ハンスの目の前で花縁衣装に飛び込んだのです。
「あっ!」
 なんと、ヒキガエルが花嫁衣装に飛び込んだとたん、花のようにかわいらしい娘さんの姿になったのです。
 娘さんがハンスに言いました。
「ありがとう。ハンスさんが私を花嫁にしてくれたので、悪い魔法がとけました。さあ、結婚式をはじめましょう」
 娘さんとハンスは結婚して、幸せに暮らしました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 肉の日
きょうの誕生花 → ダリア
きょうの誕生日 → 1947年 せんだみつお(タレント)




きょうの日本昔話 → 聞きちがい
きょうの世界昔話 → ハンスとカエルの嫁さん
きょうの日本民話 → 十数えてごらん
きょうのイソップ童話 → 旅人と真実の女神
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7月28日の世界の昔話 人魚のしかえし


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7月28日の世界の昔話



人魚のしかえし



人魚のしかえし
デンマークの昔話 → デンマークの国情報


 むかしむかし、北のつめたい海に、一人のうつくしい人魚(にんぎょ)がすんでいました。
 この人魚は五頭のウシを飼っていて、とてもだいじにしていました。
 人魚は毎日、ウシを近くの島までつれていっては、おなかがいっぱいになるまで草を食べさせてやりました。
 ところでこの島には、ちょっといじわるな人間たちが住んでいました。
 その人たちは、
(この島の草は、人魚の飼っているウシになんか食わせてやりたくないな)
と、思っていましたから、ある時とうとう、人魚の飼っているウシをとってしまいました。
「わたしのウシをかえしてください!」
 人魚はないて、人間たちにたのみました。
「いやだね。かえすもんか。でも、おまえがこしにまいている帯(おび)をくれたら、ウシをかえしてやる」
「だけど、この帯は人魚だけしか使うことができないんです。人間が持っていても、少しも役に立たない帯ですよ」
「うそをつくな! その帯には宝石がたくさん付いているじゃないか。その宝石があったら、おれたちは大金持ちになれる。さあ、ウシをかえしてやるから帯をよこせ!」
 人魚はウシをとてもかわいがっていましたから、帯を人間たちに渡して、ウシをかえしてもらいました。
 でも、なんだかくやしくてたまりません。
 そこで島の海岸まできたところで、ウシに言いました。
「さあ、砂をほって、いじわるな人間たちにしかえしをしてやりなさい」
 ウシたちは砂をツノでつついたり、足でけったりしはじめました。
 砂が風でまいあがり、いじわるな人間たちの住んでいる村の方へ飛んでいきました。
 そして、人間たちの家をうめてしまいました。
 あわててにげだした人間たちは、
「ふん! こっちには宝石のいっぱいついた帯があるんだ。これがあれば、他の村で大きな城だってたてられるさ」
と、ニコニコ顔です。
 でも、人魚からとりあげた帯をよく見ると、宝石など1つもついていません。
 いつまのにかその帯は、ただのコンブにかわっていたのでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 第一次世界大戦開戦日
きょうの誕生花 → つゆくさ
きょうの誕生日 → 1978年 矢井田瞳(シンガー)


きょうの新作昔話 → ひょうたんの大入道
きょうの日本昔話 → うば捨て山
きょうの世界昔話 → 人魚のしかえし
きょうの日本民話 → 万蔵とウマ
きょうのイソップ童話 → からいばり
きょうの江戸小話 → とこを取れ


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7月27日の世界の昔話 四色のさかな


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7月27日の世界の昔話



四色のさかな



四色のさかな

アラビアンナイト千夜一夜物語


 むかしむかし、一人のおじいさんが、海へさかなを取りに行きました。
 でもその日は、何度海へ網を投げて引きあげてみても、ちっともさかなが取れません。
 けれど最後にやっと、重いものが網にかかりました。
「よしよし、きっと大きなさかなが入ったのだろう」
 おじいさんが大喜びで引きあげてみると、なんとそれは銅のつぼでした。
「やれやれ、ただのつぼか。がっかりだな。・・・でも、中に何が入っているのだろう?」
 おじいさんは、つぼのふたを開けてみました。
 すると、つぼからモクモクと、たくさんの煙が立ちのぼりました。
 煙は空いっぱいに広がって、それから人の形になり、おじいさんのそばに立ちました。
 現れたのは、ツボの魔神です。
「ありがとう、おじいさん。わしは千年もの間、このつぼに入っていて、ずいぶんつらい思いをしてきた。いまやっと自由になれて、こんなうれしい事はない。お礼にいい物をあげましょう」
 魔神はうれしそうにいって、おじいさんを湖につれて行きました。
 その湖に網を投げると、赤、白、青、黄と、四つの色のきれいなさかなが取れました。
「見たこともない、珍しいさかなだ!」
 おじいさんが四色のさかなを王さまにさしあげると、王さまはお返しに、たくさんお金をくれました。
 ところがこのさかなは、いくら気をつけて焼いても、すぐにまっ黒になってしまって食べられません。
「不思議なさかなだ。わしはきっと、このさかなの秘密をといてやるぞ」
 王さまはおじいさんに案内させて、さかなの取れた湖へ行きました。
 すると湖の向こうに、まっ黒なあやしいご殿がありました。
 王さまがずんずん城へ入って行くと、そこには立派な服を着た若者がベッドに腰かけていました。
「ごめんください。おじゃましてもいいですか?」
 王さまが声をかけると、若者はおじぎをしていいました。
「はい。立ってごあいさつしたいのですが、わたしにはできません。そのわけを、ごらんください」
 若者が長い服のすそをめくると、なんと若者の腰から下が、石になっているのでした。
「実はわたしは、この国の王でしたが、悪い魔女のために、からだの半分を石にかえられてしまったのです。この国を自分の思うままにするため、魔女は山にも町にも魔法をかけました。町の人たちは四色のさかなにかえられて、湖に住むようになりました。いまも魔女は、この御殿の奥に住んでいて、毎日、わたしをぶちに来て苦しめているのです」
 この話を聞いた王さまは、どうしてもこの若者や四色のさかなにされている町の人たちを、助けなければと思いました。
「よろしい。わたしがきっと、その悪い魔女を退治してあげましょう」
 王さまは勇ましく、御殿の奥に入って行きました。
 そして魔女と戦って、ついに魔女をやっつけたのです。
 魔女がいなくなると、若者のからだは元通りになり、湖はにぎやかな町になりました。
 赤、白、青、黄のさかなは、人間にもどって動きだしました。
 王さまは、助けた若者を自分の王子にしました。
 そして、四色のさかなを取ってきたおじいさんに、
「お前のおかげで、大勢の人たちを助けることができた」
と、いって、たくさんのごほうびをやったということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → スイカの日
きょうの誕生花 → フィソステギア
きょうの誕生日 → 1930年 高島忠夫(俳優)




きょうの日本昔話 → 犬が寒がらない理由
きょうの世界昔話 → 四色のさかな
きょうの日本民話 → オオカミの恩返し
きょうのイソップ童話 → 金のライオンを見つけた男
きょうの江戸小話 → カニのふんどし


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7月26日の世界の昔話 ウサギのお嫁さん


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7月26日の世界の昔話



ウサギのお嫁さん



ウサギのお嫁さん
グリム童話 → グリム童話の詳細


 むかしむかし、あるところに、ウサギがピョンピョンピョンと、はねながらやってきました。
 畑のキャベツを、食べに来たのです。
「しっ、しっ。毎日食べに来てはだめよ」
 女の子が、手をふりました。
 ウサギは赤い目をクリッとこちらへむけると、みじかいしっぽをふっていいました。
「おいで、かわいい女の子。わたしのしっぽへのっかって、わたしのおうちへいらっしゃい」
 女の子は、みじかいしっぽへのりたくなり、はしっていってのりました。
「背中へ、しっかりつかまりなよ」
 ウサギはこういって、とびだしました。
 ピョンピョンピョン。
 畑をよこぎって、ウサギの家につきました。
 そして女の子を、台所へいれました。
「かわいいわたしのお嫁さん。キャベツで、お料理をつくっておくれ。わたしは、友だちよんでくるよ」
 ウサギはうれしそうに、ながい耳をふりながら、でていきました。
 まもなく、おおぜいのウサギをつれてきました。
 カラスの牧師(ぼくし)さんも、黒い服をきてきました。
 ウサギが、女の子をよびました。
「かわいいわたしのお嫁さん。お客さまがおそろいだよ。でておいで」
 女の子は、シクシクと泣き出しました。
 ウサギのお嫁さんになるのはいやだからです。
 ウサギが、またよびました。
「お嫁さん、お嫁さん。お客さまがまっているよ。はやくでておいで」
 女の子は小さなイスに、自分のボウシをかぶせました。
 自分の服もきせました。
 自分のクツしたもはかせました。
 自分の身代わりをつくろうというのです。
 そして女の子は、うらぐちからコッソリとにげだしました。
 ウサギが、またよびました。
「お嫁さん、お嫁さん。あんまりおそいと、お客さまはおかえりだよ」
「・・・」
 へんじがありません。
 ウサギは、台所へきました。
「はやくしなよ。はやくしないとだめだよ」
 ウサギは、トントントンと、お嫁さんのボウシをたたきました。
 すると、ポトンとボウシがおちました。
 スルリと、服もぬげました。
 そこにあったのは、女の子のクツしたをはいたイスだけです。
「ややっ。お嫁さんに、にげられてしまったよ」
 ウサギは、結婚式に来ていたみんなに笑われてしまいました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 幽霊の日
きょうの誕生花 → ステファノティス
きょうの誕生日 → 1950年 萩原健一(俳優)


きょうの新作昔話 → 狩りをやめた殿さま
きょうの日本昔話 → 娘の寿命
きょうの世界昔話 → ウサギのお嫁さん
きょうの日本民話 → ろくろ首を退治した坊さん
きょうのイソップ童話 → ペテン師
きょうの江戸小話 → ろうそくちくわ


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7月25日の世界の昔話 子どもをうむなべ


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7月25日の世界の昔話



子どもをうむなべ



子どもをうむなべ

ロシアの昔話ロシアの情報


 むかしむかし、いたずらのとても好きな男がいました。
 ある日、となりの欲張りをからかってやろうと思い、なべを借りに行きました。
「お客さまが来るので、なべを貸してくれないか?」
「とんでもない! 人に貸すようななべはないよ」
「頼むよ。お礼はするからさ」
「・・・お礼か」
 お礼と聞いて、欲張りはしぶしぶなべを貸してくれました。
 次の日、男は借りたなべの上に、もう一つ小さななべをのせて、欲張りのところへ行きました。
 そして、欲張りにいいました。
「お前のなべは、どうやら女らしい。昨日、わしの家でこの小さななべをうんだよ」
 そのとたん、欲張りはニコニコして、
「そいつはありがたい。わざわざ届けてくれてありがとう」
 言うなり、二つのなべをしまいこんでしまいました。
 しばらくして、男はまた欲張りのところへなべを借りに行きました。
 すると欲張りが、なべをわたして言いました。
「どうもこのなべは、また子どもをうみそうなんだ。しかも今度は双子らしい。子どもがうまれたら、かならず全部持ってきてくれ」
「わかった。約束するよ」
 ところが男は、いつまでたってもなべを返してくれません。
 欲張りはがまんできずに、男の家へ行きました。
「どうしてなべを返さない? 双子のなべと一緒にすぐ返してくれ!」
 すると男は、悲しそうな顔で言いました。
「いやあ、お気の毒だが、あんたのなべは双子をうむのに苦しんで、そのまま死んでしまったよ」


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → かき氷の日
きょうの誕生花 → むぎわらぎく
きょうの誕生日 → 1964年 高島礼子(俳優)




きょうの日本昔話 → 弘法の衣
きょうの世界昔話 → 子どもをうむなべ
きょうの日本民話 → 助けたツルの恩返し
きょうのイソップ童話 → 旅人とクマ
きょうの江戸小話 → 安全水泳法


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7月24日の世界の昔話 リンゴの枝とタンポポ


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7月24日の世界の昔話



リンゴの枝とタンポポ



リンゴの枝とタンポポ

アンデルセン童話 → アンデルセンについて


♪音声配信


 春になり、野原も木も畑も牧場も、一面にきれいな花が咲いた頃、一本のリンゴの木が自慢げに言いました。
「えっへん。どうだい。ぼくは、こんなにきれいになったよ」
 このリンゴの木には、枝が一本しかありませんが、可愛らしいバラ色のつぼみをたくさんつけていました。
「まあ、きれい! なんて見事なリンゴの枝なのでしょう」
 ちょうどそこへ、馬車で通りかかった若い奥さまが言いました。
「わたくし、こんなに素晴らしい花を見た事がないわ」
 奥さまはリンゴの枝をやさしく折ると、大切にお屋敷に持って帰りました。
 始めて屋敷の中に入ったリンゴの枝は、大きな屋敷にびっくりです。
「うわ、なんて立派なお屋敷なんだろう」
 奥さまは広いお屋敷の中の一番素敵なお部屋に入っていくと、リンゴの枝に言いました。
「さあ、ここがあなたのお家よ」
 そして新雪を固めて作ったような白い花びんに、リンゴの枝をさしてくれました。
 リンゴの枝は、うれしくてたまりません。
「えへへ。ぼく、なんだか偉くなったみたいだ」
 そして、まっ白なカーテンのかかっている窓の外を見ました。
「やあ、外にはいろんな花が咲いているな」
 スミレ、ひなげし、チューリップ、そしてお庭の向こうの野原には、たくさんのタンポポが咲いています。
「でも、ぼくよりきれいな花はいないなあ、やっぱりぼくが一番だ」
 リンゴの枝はそう思うと、ますますうれしくなりました。
「ぼくみたいに大事にかざられる花もあれば、タンポポくんのように、だれにも見向きされない花もあるんだね。かわいそうに」
 それを聞いた空のお日さまが、リンゴの枝に言いました。
「リンゴくん、そんな事はないよ、よく、見ててごらん」
 ちょうどその時、小さな子どもたちが野原にやってきて、
「あっ、タンポポだ」
と、楽しそうにタンポポをつむと、首輪や腕輪をつくりました。
 それから、まっ白にわた毛をつけたタンポポを見つけると、
「あっ、いい物を見つけたよ。いい? よく見ててね。いくよー! フーーッ」
と、大きく息を吹いて遊びました。
 それを見たリンゴの枝は、子どもたちと仲良く遊ぶタンポポが少しうらやましくなりましたが、でも、お日さまに言いました。
「まあ、子どもたちには、タンポポがいいでしょうよ。でも、大人たちは、この私の方が」
 その時、奥さまが友だちと部屋に入ってきました。
「ゆっくり、ゆっくり。そうっとね」
 奥さまは、とても大事そうに何かを持ってきました。
 そして気をつけながら、リンゴの枝のとなりにさしたのは、なんとタンポポのわた毛の花たばだったのです。
「このわた毛、なんて不思議で、なんて素敵なんでしょう。リンゴの花とはちがうけれど、どっちもとってもきれいだわ」
 奥さまの言葉に、お日さまはにっこり笑っていいました。
「ほらね、リンゴくん、わかっただろう?」
「・・・うん」
 リンゴの枝は、恥ずかしそうに小さくうなずきました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 劇画の日
きょうの誕生花 → すいれん
きょうの誕生日 → 1963年 河合奈保子(歌手)




きょうの日本昔話 → ぶんぶく茶がま
きょうの世界昔話 → リンゴの枝とタンポポ
きょうの日本民話 → こぼし石
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7月23日の世界の昔話 ガチョウ番の少女


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7月23日の世界の昔話



ガチョウ番の少女



ガチョウ番の少女
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 むかしむかし、あるところに、年おいた妃(きさき)とお姫さまが住んでいました。
 お姫さまが、ある国へお嫁にいく日がやってきました。
 妃はたくさんの嫁入り道具を持たせると、お姫さまの侍女(じじょ)もウマに乗せて送りだしました。
 その時、妃は自分の血を三滴(てき)たらした白い布を渡し、
「きっと、何かの役に立つでしょう」
と、いいました。
 移動の途中、お姫さまはのどがかわいて侍女にたのみました。
「あの、のどがかわいたので、川の水をくんできてくれませんか?」
 すると侍女は、
「ふん! えらそうに。自分でくんできなさいよ!」
と、いって、いうことを聞いてくれません。
 お姫さまがなげいていると、妃にもらった三滴の血がいいました。
「これをお妃さまが知ったら、心臓がはれつなさいますよ。さあ、もういちど侍女に命令するのです」
「でも・・・」
 おとなしいお姫さまは、なにも言えませんでした。
 しばらくすると、侍女がお姫さまにいいました。
「あんた、あたしとウマをかえなさい! いいウマに乗るのはあたしよ。それから、服も取りかえるのよ!」
と、いったのです。
 お姫さまはしかたなくウマと服を取りかえると、侍女のウマに乗ったままで、結婚相手の王の待つ城へととうちゃくしました。
 お姫さまのウマにのった侍女は、王さまの前に進み出るといいました。
「こんにちは、王さま。わたしが、王子さまの結婚相手の姫です。そしてあれはわたしの侍女です。役立たずですが、こき使ってやってください」
 侍女の言葉に、お姫さまはビックリ。
「あ、あの。わたしは・・・」
 お姫さまが本当のことを言おうとすると、お姫さまに化けた侍女がこわい顔でにらみました。
「はやく下がりなさい! クズクズすると、ムチを打つわよ!」
 こうしてこの日から、お姫さまはガチョウの世話をする、ガチョウ番になってしまったのです。
 さて、お姫さまに化けた侍女は、すっかりお姫さま気取りで、結婚相手の王子にたのみました。
「わたしの連れてきたウマを殺してくださいな」
 侍女は自分の秘密を知っているウマが、いつ本当のことを告げてしまうかと、心配でならなかったのです。
 こうして、お姫さまのウマは殺されました。
 ガチョウ番になったお姫さまは、この話を聞くとたいへんかなしみ、ウマの皮をはごうとする職人にたのんで、その首をもらうと、門の壁にかざりました。
 それからガチョウ番のお姫さまは、ガチョウの世話をするたびに、そのウマの首に話しかけたのです。
 その事を知ったまわりの人たちは、気持ち悪がって、この話を王さまに報告しました。
「そのガチョウ番ときたら、ウマの首と会話してるのです。しかも、ウマの首もそれに返事をするのですよ」
「そうか。もしかするとそのガチョウ番は、魔女(まじょ)かもしれない。よし、たしかめてみよう」
 そして娘とウマの会話をきいた王さまは、彼女こそが本当のお姫さまで、王子と結婚しようとしている女が侍女だと知ったのです。
 王はガチョウ番の娘をよぶと、彼女に王女の衣装(いしょう)をきせてみました。
 すると、あの侍女とは比べものにならないほどの美しさです。
 さっそく王さまは王子をよんで、こっちが本物のお姫さまだと告げました。
 本物のお姫さまの美しさに一目ぼれした王子は、ニセ者のお姫さまにワナをしかけることにしました。
 その日の夜のパーティーで、王子はニセ者のお姫さまにたずねました。
「じつは、自分の主人をだまして、その主人の相手と結婚しようとする女がいるのだが、姫はどうするべきだと思う?」
 まさか、自分の事とは思っていないニセ者のお姫さまは、
「そんなとんでもない女は、すぐに死刑にするべきでしょう」
と、答えたのです。
「そうか、ではそうしよう」
 ニセ者のお姫さまは、すぐに死刑になりました。
 そして本物のお姫さまは王子さまと結婚して、いつまでもしあわせにくらしたのです。


おしまい


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7月22日の世界の昔話 オオカミ男


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7月22日の世界の昔話



オオカミ男



オオカミ男
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♪音声配信


 むかしむかし、ある村に、ハンスとクンツという、人のよいお百姓(ひゃくしょう)さんがすんでいました。
 ある日のこと、二人はたきぎをひろいに森へ出かけていきました。
 道のとちゅうで、二人は一人の男にであいました。
「こんにちは。あなたがたは森へいくのですか? わたしも、おともさせてくださいよ」
 男はたきぎをしばるつなをもっていたので、二人はすっかりしんじて、
「ああ、いいとも。いっしょにいきましょう」
と、いいました。
 男はキバのようなするどい歯をして、こわい目つきをしていたのですが、人のよいハンスとクンツは、男にしんせつにしてあげました。
 そして楽しく話をしながら、森まで歩いていきました。
 さて、森についた三人は、さっそくたきぎをひろい集めて、たばにしていきました。
「さあさあ、これだけ集めればじゅうぶんだ。そろそろ帰りましょうか」
 三人は重いたきぎをせおい、あせをふきふき歩きました。
 やがて、ひろい野原にさしかかりました。
「ああ、あつい、あつい。あせがびっしょりだ。どうです。たきぎをおろして、このあたりで休みませんか?」
 ハンスがいうと、男も答えました。
「まったく、重たくてかなわん」
 みんなは大きな木の下で、ひと休みすることにしました。
 遠くの方に、五、六頭のウマが、子ウマを連れて草を食べているのが見えました。
「少し、昼寝でもしませんか?」
「ああ、いいですね」
 ハンスもクンツも賛成しました。
 ハンスはすぐにねむってしまい、クンツもウトウトしていた、その時です。
 後ろの方で、ガサガサと音がしたのです。
(おや、何の音だろう?)
 クンツは寝返りをうつと、そっと、うす目で音のする方を見ました。
 ちょうど、男が服を脱いでいるところでした。
 そして裸になった男は、たちまち灰色のおそろしいオオカミになったのです。
 オオカミはウマのいる方へものすごい早さでかけていくと、そこにいた子ウマにとびかかって、あっという間に食べてしまったのです。
「うむ、あまりうまくないウマだったな。まあいい、口直しに、後であの2人の人間を食ってやろう」
 オオカミは口の周りについた血を長い舌でペロリとなめ回すと、人間の姿になって服を着て、なにくわぬ顔で2人を起こしました。
「そろそろ起きて、出発しようか?」
 ハンスは、すぐに起きあがりました。
 クンツは恐怖のあまり、ガタガタとふるえていましたが、オオカミにばれないよう、なんとかふるえをがまんして起きあがりました。
 三人はしばらく道を歩いていましたが、オオカミの男が、とつぜんお腹を押さえて立ち止まりました。
「あいてて! あいてててて!」
 クンツには、その理由がすぐにわかりました。
「やい、オオカミ男め! 子ウマを一頭たいらげれば、誰だって腹が痛くなるさ。さあハンス。逃げるならいまのうちだ!」
「なんだと、おまえたちも食ってやる!」
 オオカミ男は2人を追いかけましたが、お腹が痛くてうまく走れません。
 ハンスとクンツは、なんとかオオカミ男から逃げることが出来ました。


おしまい


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