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1月2日の世界の昔話 文珠の知恵


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1月2日の世界の昔話



文珠の知恵(ジャータカ物語)



文珠の知恵

ジャータカ物語 → ジャータカ物語について


 むかしむかし、インドには、悪人ばかりが住んでいる国がありました。
 この国の人々は、いつも悪い事をしたり、乱暴をしたりしました。
 その事を知った目連(もくれん)というお坊さんが、仏さまにお願いしました。
「仏さま、わたくしを、あの悪い人たちが住む国へ行かせて下さい。何とかして、あの人たちを良い人間にしてやりたいのです」
 すると仏さまは、にっこり笑って、
「それは良い行いです。大変でしょうが、頑張りなさい」
と、悪い人の国へ行く事を許してくれました。


 目連はさっそく悪い人の国へ行くと、人々に色々な話をして、良い人間になる為のお説教をしました。
「人間は悪い事をすると、その時は良くても後で必ず恐ろしい罰を受ける。
 そして死んでからも、必ず地獄へ落ちて苦しむのです。
 だから悪い事を止めて、良い事をしなさい。
 乱暴は止めて、困っている人を助けるのです」
 ところがいくら目連がお説教をしても、誰一人話を聞こうとはしないのです。
 それどころか、
「はん、偉そうな事を言っても無駄だ。後でどうなるかよりも今が良ければいいのだ。お前なんか、帰れ、帰れ」
と、石を投げつけたりするのです。
 目連は仕方なく、自分の国に帰ってしまいました。


 さてこの話を聞いた、舎利弗(しゃりほつ)というお坊さんは、
「悪い人たちを導くには、やさしく言っても駄目だ。もっと、厳しくしないと」
と、仏さまの許しを受けて、悪い人の国へとやって来ました。
「お前たち、よく聞け!
 今すぐ悪い事を止めないと、地獄で永遠に苦しむ事になるぞ!
 助かりたければ、おれの言う事を聞くんだ!」
 けれどもこの国の人たちは、やはり舎利弗を嫌って追い返したのです。


 その後も、五百人ものお坊さんが次々と出かけて行きましたが、誰一人成功した者はいませんでした。
 そこで仏さまは、文珠(もんじゅ)という知恵のあるお坊さんを選んで、その悪い人の国へ行かせてみました。
 悪い人の国へ着いた文殊は他のお坊さんたちとは違って、この悪い国と悪い人たちを褒めたのです。
「ここは、何と良い国だろう。
 そしてここに住む人々は、何と立派な人たちだろう。
 こんな良い所へ来られて、わたしは実に幸せだ」
 いくら悪い人たちでも、褒められればうれしいものです。
 そこで人々は、自然と文珠の周りに集まって来ました。
 中には文殊に、ごちそうを出す者さえいました。
「このお坊さんは、とても偉い人だ。おれたちの事をわかってくれる」
「そうだ。今までのお坊さんは、おれたちを見下していたが、この人はおれたちを理解してくれている」
 文殊は、みんなから尊敬されました。
 そこで文珠は、
「わたしの先生である仏さまは、わたしなどとは比べ物にならないほど、それはそれは立派なお方ですよ。
 その仏さまの教えを受ければ、あなた方はもっと幸せになる事が出来るのですよ」
と、言ったのです。
 すると、みんなは、
「それならぜひ、仏さまの教えを受けさせてくれ」
「おれもだ。おれも」
と、仏さまの教えを受ける事にしたのです。
 それを知った仏さまは、文殊の知恵を大いに褒めて、
「よくやりましたね。
 人を導くのは、とても難しい事です。
 ただ人に考えを押しつけるのではなく、その人の考えを理解し、その人とうち解ける事が大切なのです。
 お前はその事に、よく気がつきました。
 お前のおかげで、悪い国の人たちも救われるでしょう」
と、うれしそうに言いました。


  この時から、優れた考えや知恵の事を『文殊の知恵』と言う様になったのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 初夢
きょうの誕生花 → たけ
きょうの誕生日 → 1974年 さとう珠緒(俳優)




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元旦の世界の昔話 モンゴルの十二支話


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元旦の世界の昔話



モンゴルの十二支話



モンゴルの十二支話

モンゴルの昔話モンゴルの情報


 むかしむかし、神さまは十二種類の動物をそれぞれの年の大将にして、この世に誕生したばかりの人間たちの教育係にしようと考えました。

「牛は真面目に働くから、人間たちの仕事を手伝ってくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 トラは力が強くて狩りが上手だから、人間たちに狩りを教えてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 ウサギは素早く逃げるので、人間たちに敵からの逃げ方を教えてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。
 
 龍は天に昇れるので、神の言葉を人間に伝えてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 ヘビは何事にも粘り強いので、人間たちに粘り強さを教えてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 馬は地を早く駆ける事が出来るので、人間たちの移動を手助けしてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 ヒツジの毛からは、寒さを防ぐ衣服を作る事が出来るから、寒さに弱い人間たちには必要だろう。
 よし、十二支にしよう。
 
 サルは頭が良いので、人間たちに色々な知恵を授けてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 ニワトリは時を告げてくれるので、人間たちに規則正しい生活を教えてくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 犬は忠実なので、人間の良き友だちになってくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 イノシシは真っ直ぐ進むので、人間たちが曲がった道にそれるのを防いでくれるだろう。
 よし、十二支にしよう。


 ・・・さて、これで十一支が決まったが、もう一支をどの動物にするか?」
 神さまが頭を悩ませていると、ネズミとラクダが立候補しました。
「神さま。もう一支は、わたしたちネズミにお任せ下さい。ネズミは子育てが上手なので、人間たちに子育てを教える事が出来ます」
「いいえ、もう一支は、おれたちラクダに任せてください。おれたちは重い荷物を持って長く旅が出来るので、人間たちの旅を手助けする事が出来ます」
「ふむ、子育てと、旅の手助けか」
 どちらの動物も人間たちの生活に役立ちそうなので、神さまはますます悩みました。
 そこで二匹に、こんな提案をしました。
「それでは、太陽に決めてもらうとしよう。もうすぐ夜明けだから、最初に朝日を見た方を十二支に加えよう」
「わかりました。それで決めましょう」
「おれも、それでいいです」
 こうしてラクダとネズミは、その場に立って朝日が出るのを待ちましたが、頭の良いネズミはこんな事を考えました。
(まてよ。朝日は低いところよりも、高いところを先に照らすはずだ。そうすると、背の低いわたしは不利だ)
 そこでネズミはラクダの体に駆け上ると、ラクダの頭の上に立って朝日を待つ事にしたのです。
 やがて、朝日が顔を見せました。
 そしてネズミの考え通り、少しでも高いところにいるネズミを、朝日は最初に照らしたのです。
「朝日が見えたぞ!」
 こうしてネズミが、残りの十二支に選ばれました。
 一方、十二支に選ばれなかったラクダは、くやしくてたまりません。
「こんなのずるい! 本当なら、背が高いおれたちラクダが十二支に選ばれたはずなのに!」
 ラクダがあまりにもくやしがるので、神さまがラクダに言いました。
「ラクダよ、それではお前の体に、十二支たちの良い特徴を与えてやろう。だから、それで我慢しておくれ」
 こうしてラクダは、神さまに十二支たちの特徴をもらう事にしました。
 その特徴とは、
 ・耳は、ネズミ。
 ・お腹は、牛。
 ・足の裏は、トラ。
 ・鼻は、ウサギ。
 ・つよい体は、龍。
 ・目は、ヘビ。
 ・たてがみは馬で、その毛はヒツジ。
 ・背中のこぶは、サル。
 ・頭の毛は、ニワトリのとさか。
 ・太ももは、犬。
 ・尻尾は、イノシシです。


 それでラクダの体は、それぞれ十二支の特徴をもらっているので、今の様な少し変わった姿をしているのです。


おしまい


 日本に伝わる十二支のお話 →  ネコがネズミをおいかけるわけ


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 元旦
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12月31日の世界の昔話 マッチ売りの少女


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12月31日の世界の昔話



マッチ売りの少女



マッチ売りの少女
アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細
マッチ売りの少女のぬりえ



♪朗読再生


 むかしむかし、雪の降りしきる大みそかの晩。
 みすぼらしい服をきたマッチ売りの少女が、寒さにふるえながら、一生けんめい通る人によびかけていました。
「マッチはいかが。マッチはいかがですか。だれか、マッチを買ってください」
 でも、だれも立ち止まってくれません。
「おねがい、一本でもいいんです。だれか、マッチを買ってください」
 きょうはまだ、一本も売れていません。
 場所を変えようと、少女が歩きはじめたときです。
 目の前を一台の馬車(ばしゃ)が走りぬけました。
 危ない!
 少女はあわててよけようとして、雪の上にころんでしまい、そのはずみにくつを飛ばしてしまいました。
 お母さんのお古のくつで、少女の足には大きすぎましたが、少女の持っている、たった1つのくつなのです。
 少女はあちらこちらさがしましたが、どうしても見つかりません。
 しかたなく、はだしのままで歩きだしました。
 冷たい雪の上をいくうちに、少女の足はぶどう色に変わっていきました。
 しばらくいくと、どこからか肉を焼くにおいがしてきました。
「ああ、いいにおい。・・・おなかがすいたなあー」
 でも、少女は帰ろうとしません。
 マッチが一本も売れないまま家に帰っても、お父さんはけっして家に入れてくれません。
 それどころか、
「この、やくたたずめ!」
と、ひどくぶたれるのです。
 少女は寒さをさけるために、家と家との間にはいってしゃがみこみました。
 それでもじんじんと凍えそうです。
「そうだわ、マッチをすって暖まろう」
 そういって、一本のマッチを壁にすりつけました。
 シュッ。
 マッチの火は、とてもあたたかでした。
 少女はいつのまにか、勢いよく燃えるストーブの前にすわっているような気がしました。
「なんてあたたかいんだろう。ああ、いい気持ち」
 少女がストーブに手をのばそうとしたとたん、マッチの火は消えて、ストーブもかき消すようになくなってしまいました。
 少女はまた、マッチをすってみました。
 あたりは、ぱあーっと明るくなり、光が壁をてらすと、まるでへやの中にいるような気持ちになりました。
 へやの中のテーブルには、ごちそうが並んでいます。
 ふしぎなことに、湯気をたてた、ガチョウの丸焼きが、少女のほうへ近づいてくるのです。
「うわっ、おいしそう」
 そのとき、すうっとマッチの火が消え、ごちそうもへやも、あっというまになくなってしまいました。
 少女はがっかりして、もう一度マッチをすりました。
 するとどうでしょう。
 光の中に、大きなクリスマスツリーが浮かびあがっていました。
 枝にはかぞえきれないくらい、たくさんのろうそくが輝いています。
 思わず少女が近づくと、ツリーはふわっとなくなってしまいました。
 また、マッチの火が消えたのです。
 けれども、ろうそくの光は消えずに、ゆっくりと、空高くのぼっていきました。
 そしてそれが、つぎつぎに星になったのです。
 やがてその星の一つが、長い光の尾を引いて落ちてきました。
「あっ、今、だれかが死んだんだわ」
 少女は、死んだおばあさんのことばをおぼえていました。
「星が一つ落ちるとき、一つの魂が神さまのところへのぼっていくんだよ」
 少女はやさしかったおばあさんのことを思い出しました。
「ああ、おばあさんに、あいたいなー」
 少女はまた、マッチをすりました。
 ぱあーっと、あたりが明るくなり、その光の中で大好きなおばあさんがほほえんでいました。
「おばあさん、わたしも連れてって。火が消えるといなくなるなんていやよ。わたし、どこにもいくところがないの」
 少女はそういいながら、残っているマッチを、一本、また一本と、どんどん燃やし続けました。
 おばあさんは、そっとやさしく少女を抱きあげてくれました。
「わあーっ、おばあさんのからだは、とってもあったかい」
 やがて、ふたりは光に包まれて、空高くのぼっていきました。


マッチ売りの少女とおばあさん


 新年の朝、少女はほほえみながら死んでいました。
 集まった町の人びとは、
「かわいそうに、マッチを燃やして暖まろうとしていたんだね」
と、いいました。
 少女がマッチの火でおばあさんに会い、天国へのぼったことなど、だれも知りませんでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 大晦日
きょうの誕生花 → ゆず
きょうの誕生日 → 1967年 江口洋介 (俳優)




きょうの日本昔話 → かさじぞう
きょうの世界昔話 → マッチ売りの少女
きょうの日本民話 → おさかべひめ
きょうのイソップ童話 → イヌとオオカミ
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12月30日の世界の昔話 ものしりフクロウ


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12月30日の世界の昔話



ものしりフクロウ



ものしりフクロウ
ポーランドの昔話 → ポーランドの国情報


 むかしむかし、あるところに、ブラーチョクという人がすんでいました。
 えらい人でもなく、お金持ちでもない、ただのおひゃくしょうでしたが、とてもかしこい人でした。
 ある日、ブラーチョクは町へいきました。
 そして息子のみやげに、目玉のギョロギョロしているフクロウを買いました。
「さあ、日のくれぬうちに村へかえろう」
 ブラーチョクは、フクロウを肩にとまらせてかえりをいそぎました。
 けれども、まだ半分もこないうちに日がくれてしまいました。
「しかたがない。今夜はつかれているし、どこかヘとめてもらおう」
 そう思って、あたりを見まわすと、むこうにあかりのついた家があります。
 ブラーチョクは、さっそくそばへいって、まどからのぞいてみました。
 まっ白なテーブルかけをかけたテーブルに、フカフカのおまんじゅうと、ガチョウのまる焼きと、ハチミツ酒のビンがならんでいます。
 そのそばに若い女の人がすわって、ぬいものをしています。
「しめた。すてきな夕めしにありつけるぞ」
 ブラーチョクはうれしくなって、まどをトントンと、たたきました。
「どなた? メーテック、おまえさんなの?」
「こんばんは。とおりがかりの者です。ちょっと火にあたらせてくれませんか?」
 おかみさんはあわてて、へやじゅうをかけまわりました。
 たちまち、テーブルの上のおまんじゅうは、ねり粉のおけにとびこみ、ハチミツ酒のビンは、箱の中、ガチョウのまる焼きは、だんろの中にかくれました。
「やれやれ。なんてことだ」
 ブラーチョクがガッカリして、まどからはなれようとしたとき、一台のウマそりがはしってきて、その家の前にとまりました。
 中から毛皮のコートを着た人がおりてきて、大声でどなりました。
「おれだ。かえったよ!」
 主人は家へはいろうとして、ブラーチョクに気がつきました。
「どなたですかね?」
「とおりがかりの者ですが、日がくれてこまっています、ひと晩とめていただけませんか?」
 ブラーチョクは、たのみました。
「さあさあ、どうぞ。いつだってお客は大かんげいですよ」
 主人はブラーチョクをつれてうちへはいると、おかみさんにいいつけました。
「お客さんだ。ごちそうしてくれ」
「ごちそうですって? うちには、パンとお塩しかないんですよ」
「それはしかたがない。パンと塩だって、りっぱな食べ物だ。それでいいからだしておくれ」
 主人はフクロウに気がついて、ききました。
「その、ばけものみたいな鳥は、いったいなんだね?」
「これですか。もの知りフクロウといって、りこうな鳥でね。どんなことでも知っていて、うそは大ぎらいってやつですよ」
 ブラーチョクはそう答えると、こっそりフクロウの目玉をつつきました。
 フクロウはビックリして、ヘんな声をだしました。
「おや? フクロウが、なにかいいましたな?」
 主人がききました。
「はい。それが、ねり粉のおけに、まんじゅうがはいってるなんていうんですよ」
「まんじゅうが? おいおい。おけをしらべてごらん」
 けちんぼうのおかみさんは、ギロリと、フクロウをにらみましたが、しかたなくおけを見にいきました。
 そして、さもビックリしたような顔をして、おまんじゅうを出してきました。
 主人とお客は大喜びで、おまんじゅうをたべました。
 ブラーチョクは、また、もの知りフクロウをつつきました。
「こんどは、なんていってますね?」
 主人は聞くと、ブラーチョクはあたまをかしげながらいいました。
「それが、・・・きっと、でたらめでしょうがね。箱の中に、ハチミツ酒のビンがあるなんていうんですよ」
「いや、ひょっとすると、ほんとうかもしれん」
 主人はうれしそうに手をこすりながら、さけびました。
「おい、ためしにのぞいてごらん」
「またそんなことを! あるはずがないでしょう」
 おかみさんは、ますますこわい顔で、フクロウをにらみました。
 それでもテーブルの上には、ハチミツ酒のビンが出てきました。
 主人とお客はさっそくお酒をのみながら、おまんじゅうをたべました。
「だまってろ。このおしゃべりめ!」
 プラーチョクは、また自分でフクロウをつついておいて、フクロウが声をたてると、しかりつけました。
「すこしは静かにしないか。そんなことは、おまえの知ったことか」
 すると、主人がブラーチョクをとめました。
「いやいや、お客さん。そんなにしかったりしないで、あんたのフクロウのしゃべったことをおしえてくれませんか。いったい、こんどはなんていいましたね?」
「まったく、おはずかしい、このおしゃべり鳥めが!」
 ブラーチョクは、もう弱りきったというようにいいました。
「じつは暖炉の中に、ガチョウの丸焼きがあるなんて、・・・まったく、しょうのないやつですよ」
「ガチョウのまる焼きですと! ほほう、そりゃすごい。おまえ聞いたかい? ガチョウだ。それもまる焼きだ! さあ、もってきてくれ。ついでに、まだなにかないかよく見てこい」
 おかみさんは、だまって暖炉をのぞきにいきました。
 そして、ビックリしたように手をたたきました。
「まあ、あったわ。ほんとうにどうしたんでしょう。きゅうにガチョウのまる焼きが出てくるなんて。ふしぎねえ、わけがわからないわ」
 ガチョウのまる焼きが出てくると、主人はブラーチョクに、
「どうです。なんでも知っていて、うその大きらいな鳥のために、もの知りフクロウのために、かんぱいしませんか?」
と、いいました。
 こうして、もの知りフクロウのおかげで、ブラーチョクはごちそうにありつくことができました。
 そして、あくる日も、きのうのごちそうののこりもので、たっぷり腹ごしらえをして家を出ました。
 ブラーチョクを見送りながら、主人はおかしそうに、おかみさんにいいました。
「アハハハハハ。みごとにやられたなあ。あの男はたいしたやつだ。けちんぼうなおまえを、やっつけたんだからな」
 主人は、すべてを知っていたのかもしれませんね。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 正月飾りの日
きょうの誕生花 → やぶこうじ
きょうの誕生日 → 1971年 元木大介 (野球)


きょうの新作昔話 → 頭のいいヒツジ
きょうの日本昔話 → うぶめにもらったかいりき
きょうの世界昔話 → ものしりフクロウ
きょうの日本民話 → バケモノすっとびかご
きょうのイソップ童話 → かじ屋とイヌ
きょうの江戸小話 → 雪やこんご


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12月29日の世界の昔話 仕事のとりかえっこ


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12月29日の世界の昔話



仕事のとりかえっこ



仕事のとりかえっこ
ノルウェーの昔話 → ノルウェーの国情報


 むかしむかし、あるところに、文句ばかり言っているだんながいました。
 自分は外でまじめに草刈りの仕事をして帰ってくるのに、おかみさんはいつも家の仕事をきちんと終わらせていないと怒って、文句を言うのです。
 おかみさんも文句ばかり言われて、頭にきてこう言いました。
「それなら明日、あたしが草刈りに行くわ。あんたが家の仕事をしてちょうだい。お昼ご飯をよびにくるまで、あたしは外で働くから」
「いいさ。俺は楽ができるんだからな」
 だんなはそう言って、うなずきました。
 次の日、おかみさんは草刈り仕事に出かけて行きました。
 だんなは家で、バターを作ろうとミルクをかきまわします。
 でも、のどがかわいたので、地下室ヘビールを飲みに行きました。
 タルのせんを開けて、コップにビールをついでいると、上でガタガタと音がします。
「なんだ?」
 地下室から階段をかけあがると、開けっ放しのドアからブタがはいって来て、ペチャペチャとミルクをなめているのです。
 床はミルクでベタベタで、もうバターは作れません。
 だんなは怒って、ブタを思いっきりけとばしました。
 すると、ブタはころんだひょうしに頭を打って、死んでしまいました。
「しまった! 大切なブタなのに」
 だんなは頭をかかえて、それからハッとしました。
 ビールのタルのせんを、あけっ放しできてしまったのです。
 あわてて地下室へかけおりると、ビールはすっかり流れだしており、床はビショビショでタルはからっぽです。
「ああ、もったいない」
 だんなは泣きたくなりました。
 でも、泣いているひまはありません。
 お昼ご飯におかみさんがもどって来るまでに、バターを作りなおさなくてはならないのです。
 だんなはミルク小屋へ走って行き、おけいっぱいにミルクを運んで来ました。
 そうしてバターを作っていると、メスウシに草を食べさせていないことを思い出しました。
 けれど、メスウシを草原まで連れて行く時間はありません。
 どうしようかと考えて、だんなはある名案を思いつきました。
「そうだ、うちの屋根に草が生えているじゃないか、メスウシを屋根に乗せりゃいい」
 だんなはそう思って外へ出ようとして、バターのタルをチラリと見ました。
 誰か来て、ひっくり返されたらだいなしです。
 そこでだんなはバターのタルをおんぶして、落ちないように体にしばりつけて外へ出ました。
 メスウシを連れて来ると、だんなはまず水を飲ませようと井戸(いど)に体をのり出しました。
 そのとたん、背中にしょっていたタルからミルクが流れ出し、だんなは首から頭までミルクだらけになりました。
「うわあ、俺も井戸の水もだいなしだ」
 だんなはガックリと、肩を落としました。
 でも、落ち込んでいるひまはありません。
 だんなは、大きな板を屋根に立てかけて、メスウシをうしろから押して、やっとメスウシを屋根の上に乗せました。
「だけどよ。メスウシが屋根からすべり落ちて、首の骨をおったらおおごとだなあ」
 だんなはメスウシの首にロープをくくりつけ、そのロープのはしを煙突(えんとつ)からたらしました。
 それから急いで台所にもどると、煙突からたれているロープのはしを自分の足首にむすびました。
「よし。こうしておけば、メスウシに何かあってもすぐにわかる」
 だんなは大ナベに水と米をいれ、おかゆを作ることにしました。
 ところがメスウシが足をすべらせて、屋根から落ちてしまったのです。
「うわあ!」
 自分の足にゆわえておいたロープがウシの重みで引っぱられ、だんなの体は足首から煙突へとすい込まれて、宙ぶらりんになりました。
 メスウシは首にロープを巻きつけたまま屋根から降りることもできず、苦しそうにあばれています。
 そこへ、お昼を食べにおかみさんがもどって来ました。
「おや、まあ!」
 おかみさんはおどろいて、メスウシのロープをカマで切りました。
 メスウシはやっと地面に降りることができました。
 そして、おかみさんは家の中に入ってビックリ。
 だんながおかゆの入った大ナベにあたまをつっこんで、逆立ちしていたのです。
 その日以来、おかみさんが家の仕事をきちんと終わっていなくても、だんなは文句を言わなくなったのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → シャンソンの日
きょうの誕生花 → なんてん
きょうの誕生日 → 1960年 岸本加世子 (俳優)




きょうの日本昔話 → 火正月
きょうの世界昔話 → 仕事のとりかえっこ
きょうの日本民話 → 竜とニワトリ
きょうのイソップ童話 → ヤギの番入と野生のヤギ
きょうの江戸小話 → 他行


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12月28日の世界の昔話 プリンのしおかげん


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12月28日の世界の昔話



プリンのしおかげん



プリンのしおかげん
アメリカの昔話 → アメリカの国情報


 むかしむかし、あるところに、プリン作りの名人のシンプソンおばさんがいました。
 ある時、シンプソンさんはパーティーをひらいて、みんなにとびきりおいしいプリンをごちそうすることにしました。
 さっそく火をおこすと、プリンをコンロにかけました。
「そうそう。おきゃくさまがみえるんだから、この間にお掃除(そうじ)しましょう」
 テーブルやいすのふき掃除に、ゆか掃除と、シンプソンさんは大いそがしです。
 でもしばらくして、大切なことを思い出しました。
「そうだわ。プリン作りにだいじな、しおを入れわすれたわ!」
 それは、かくし味としての、ほんのちょっぴりのしおです。
 これがないと、プリンがおいしくできません。
「けれども、お掃除で手がまっ黒ね。・・・そうだ、スウにたのむことにしましょう」。
 シンプソンさんには、五人の娘がいました。
 一番上が「スウ」
 二番目が「セイリイ」
 三番目が「パースイ」
 四番目が「ジェニイ」
 五番目が「リル」
 の、五人姉妹です。
「スウ。プリンにしおを入れておくれ。わたしの手はまっ黒だから」
「だめよ、お母さん。今、あたし、くつにあぶらをつけてるの」
「そう。・・・じゃあ、セイリイ、お願いね」
「お母さんごめん。あたし、この服をぬいあげてしまいたいの」
「なら、しかたないわね。・・・バースイ。お前がしおを入れておくれ」
「だめよ。あたしも自転車の手入れで、手がまっ黒よ」
「それならジェニイ。おねがいだから、しおを入れて」
「リルにさせてよ。今、しゅくだいをしているんだから。お母さんも知ってるでしょ、あの先生、きびしいのよ」
「じゃあ、いいわ。・・・リル、お前、しおを入れてちょうだい」
「だめ。今、リボンをさがしてるの。リボンがないと、何も手がつかないわ」
「やれやれ。五人も娘がいるのに、だれもきいてくれないのかね」
 シンプソンさんは、しかたなく手をあらい、自分でプリンにしおを入れました。
 さて、シンプソンさんがふきそうじにもどると、すぐにリルは、お母さんの言いつけをことわったことをこうかいしましした。
 そこでリルは、いそいで台所へ。
 リルが出て行ったあと、ジェニイはお母さんの言いつけをきかなかったことが心配になり、台所へ。
 バースイも、自転車にのるよりもプリンを食べるのが大すきなので、お母さんにたのまれたことをやらなくちゃと思い、台所へ。
 セイリイも、言いつけをことわったのが気にかかり、ミシンをかけるのをやめて台どころへ。
 スウも、くつのあぶらなんて、いつでもつけられると思い、台所へ。
 やがて、シンプソンさんじまんのプリンが、りっぱにできあがりました。
 その夜、おきゃくさんはプリンが出てくるのを、今やおそしとまっていました。
「いや、シンプソン家のプリンをあじわえるのも、かみさまのおかげというものですな」
 まず最初に、牧師(ぼくし)さんが、プリンを切り分けた最初の一切れをとりました。
 とくべつ大きめに切った一切れを、牧師さんが口に入れたとたん、
「ウヒャァー!!」
 すぐに、水さしのびんにとびつきました。
 みんなは何がおこったのかわからず、ポカーンとしていました。
「いったい、どういうことかしら?」
 シンプソンさんは、プリンの味見をして、すぐにわかりました。
「このプリンにしおを入れたのは、お前たちのうち、いったいだれなの?」
 リルがいいました。
「わたしよ!」
 ジェニイもいいました。
「わたしも入れたわ!」
 バースイもいいました。
「わたしも入れたのよ!」
 セイリイもいいました。
「あら、わたしもよ!」
 さいごにスウもいいました。
「わたしも!」
 五人の娘が、口々に言ったものです。
「おやおや。プリンはしおかげんがだいじだっていうことが、これでわかったでしょう」
 シンプソンさんのこの言葉に、だれ一人はんたいする人はいませんでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → シネマトグラフの日
きょうの誕生花 → くまざさ
きょうの誕生日 → 1968年 星出彰彦 (宇宙飛行士)


きょうの新作昔話 → 鼻の白いネコ
きょうの日本昔話 → 豆つぶころころ
きょうの世界昔話 → プリンのしおかげん
きょうの日本民話 → 順庵先生とふたごのキツネ
きょうのイソップ童話 → オオカミとロバ
きょうの江戸小話 → 借金取りのこうでん


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12月27日の世界の昔話 雪


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 12月の世界昔話


12月27日の世界の昔話



雪




中国の昔話 → 中国の国情報


 むかしむかし、冬がきて寒くなると、雪のかわりにお砂糖や小麦粉の降ってくる村がありました。
 その村では、初めの日に小麦粉が降ってくると、そのつぎの日は、お砂糖がたくさん降ってくるのです。
 お砂糖と小麦粉が、かわりばんこに空から降ってくる、そんな日が、十日も十五日も続くのです。
「やあ、今年も降ってきたぞ、白い粉が」
 小麦粉の白い粉が降りだすと、村の人たちは、おけや水がめや、そのほか、いろんな入れ物を持ち出して、せっせと粉を集めます。
 そしてそれを袋に入れて、大きな蔵に、いっぱい粉の入った袋をつめこみます。
「やあ、きょうは甘い砂糖だぞ」
 お砂糖も小麦粉と同じで、砂や土がまじらないように、きれいに集めておきます。
 こうして、一年分のお砂糖と小麦粉をたくわえてしまうと、村の人たちは、遊んで暮らせばいいのです。
「やあ、けっこう、けっこう。今年も働かなくていいわけだ」
「ほんとうにありがたいねえ。毎日寝ころがっていればいいんだから」
 この村の人たちは、ほかの村のように、畑をたがやして麦やマメをつくろうとしません。
 おなかがすいたら、おだんごや砂糖がしをつくって食ベればいいわけですから。
 ところが、前の年の小麦粉やお砂糖が、蔵にたくさん残っているうえに、今年の分が集まるものですから、入れる所がなくて、はみ出してしまいます。
 そうなると、村の人たちの心の中に、ありがたいという気持ちはすっかりなくなって、小麦粉やお砂糖をそまつにするようになりました。
 子どもたちまで、小麦粉をおだんごにして、石のように投げてみたり、池にお砂糖を流して遊んだりしました。
 やがて、今年も冬がやってきました。
 けれども、村の人たちは、空からの贈り物を待ってはいません。
 もうあり余るほど、前の年の分が残っていたからです。
 そのうちに、また白い粉が降ってきました。
 みるみるうちに、あたり一面まっ白につもりました。
 そのとき、外で遊んでいた子どもたちがさけびました。
「あれー! 砂糖じゃないぞー!」
「小麦粉でもないぞー!」
「冷たい、冷たい、冷たい!」
「口の中へ入れたら、とけてなくなるよー!」
 それをきいて、おとなたちも外へ飛び出してきました。
「ほんとうだ。冷たくて、口に入れるととけてしまうぞ!」
 空から降ってきた白い粉、それは、ふつうの雪だったのです。
 そしてそのつぎの年も、またつぎの年も、お砂糖や小麦粉は降ってきませんでした。
 やがて、たくわえてあったお砂糖や小麦粉もついになくなり、すっかりなまけ者になってしまった人たちは、たいへん困ったということです。


おしまい


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12月26日の世界の昔話 馬車で来た十二人のお客さま


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12月26日の世界の昔話



馬車で来た十二人のお客さま



馬車で来た十二人のお客さま
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 むかしむかしの、風一つないしずかな夜です。
 美しい星たちもこおってしまいそうな、さむいさむい夜です。
♪キンコンカンコーン
 十二時を告げる鐘(かね)が町中になりひびくと、
 バーン! バーン!
と、いきなり花火が打ち上げられました。
 誰かが、まどを開けてさけびました。
「新しい一年よ。ようこそ!」
 すると、つぎつぎにまどが開き、大人も子供もほほえみあって、新年のあいさつをかわしました。
 さあ、それからは乾杯(かんぱい)をくりかえす声や笑い声や歌声、それにダンスの音楽が町中にあふれました。
 新しい一年が始まったばかりのこの町へ、馬車(ばしゃ)がやって来ます。
 乗っているのは、全部で十二人でした。
 馬車は、町の門の前で止まります。
「やあ、おはよう」
 馬車の中から紳士(しんし)が、町の番人に声をかけました。
「おはようございます。みなさん、旅券(りょけん)をお持ちですか? 町に入るには、旅券を見せていただく決まりになっています」
 番兵がそう言って馬車のドアを開けると、皮のコートを着た紳士がおりて来ました。
「もちろん持っていますよ。ぼくはあなたに新しい朝をあげましょう。ぼくはね、金貨や銀貨、ダンスバーティーやおくり物を人にあげるのが好きなんです。でも、あげられるのは三十一回だけですよ。だって、ぼくにはそれしか夜がないのです。あ、失礼。もうしおくれました、ぼくは一月という者です」
 次に、大きなタルを持った男がおりました。
「わたしゃ、みんなを喜ばせるのがとくいでして。カーニバルを開いてにぎやかにやりましようぜ。なんてったって、わたしの月は二十八日、まあ、一日おまけしてもらう年もありますがね。短い月日はうんと楽しく! わたしはカーニバルの二月でさあ」
 三番目におりてきたのは、やせた男の人です。
 ボタンの穴に小さなスミレをかざり、だまってうつむいています。
 その後から、
「おいおい。三月くん、さっさと行ってくれよ。でないと、君の大好きなお酒が逃げちまうぜ」
 そう言って、三月の背中を押して出て来たのは四月でした。
「いやあ、今のはウソだよ。エイプリルフールだよ。ぼくの月は雨降りだったり、お日さまがごきげんだったりと、へんてこな月でね。結婚式やらお祝いごともたくさんあって、あっという問に過ぎてしまうんだよ」
 おしゃべりな四月を横目で見ながら、緑のドレスをきた美しい女の人がおりて来ました。
「番人さんにも、どうぞ神さまのおめぐみがありますように」
 そう言われて番人は、思わずほほを赤くしました。
 この女の人は、五月の歌姫(うたひめ)です。
 緑の森の小道を歩きながら、やさしい声で歌うことを仕事にしていました。
 次におりてきだのは若い奥さんで、弟の七月をつれていました。
 姉の六月は、ごちそうを作ってみんなを楽しませます。
 弟の七月は、荷物といったら海水ボウシと水泳パンツ。
 たったのそれだけです。
 見るからに元気そうな男の子でした。
 そして、六月と七月のお母さんの、八月婦人もおりて来ました。
 八月夫人はあつがりで、太っていて汗ばかりかいていますが、とても働き者です。
 その後から出て来たのは、絵かきさん。
 この人が絵の具箱を持って森へ行くと、たちまち木々の葉っぱは、赤や黄色に変わってしまいます。
 絵かきさんは九月でした。
 続いておりて来たのは、十月の地主(じぬし)さん。
 地主さんの考えていることは、畑の作物のことだけです。
 番人にも、さっそく畑仕事のことを話し始めましたが、
「エヘン! エヘン!」
 十一月のうるさいせきに、じゃまをされてしまいました。
 十一月はひどい鼻かぜで、ハンカチではたりないので、なんとシーツを持っておりて来ました。
「木を切りゃ、かぜなんてなおっちまうんだがね。俺はいつも、木を相手にしていたいのさ。そうそう、早くかぜをなおして、みんなにスケートグツを作らなきゃなんねえんだ。おれのあとの月は、スケートが楽しいからね」
 最後に、火ばちと小さなモミの木をかかえた、十二月のおばあさんがおりて来ました。
「クリスマスまでには、このモミの木も天井までとどくほど大きくなるでしょうよ。そうしたらあかりのついたローソクや、金色のリンゴやおもちゃをかざってやりますよ。それにね、そのモミの木のてっぺんにかざった天使(てんし)の人形が、金紙のつばさをヒラヒラさせながら、みんなにキスをしてまわるんですよ」
 番人は新しい馬車をよんで、十二人のお客に言いました。
「旅券はおあずかりしておきます。一人ずつ新しい馬車にお乗りください。ただし、この町にいられるのは、一人一月だけの約束です。一月たったら、みなさんがどんなことをしたのか、わたしにどうぞ話して聞かせてください。では、一月さんからどうぞ馬車へ」
 一月はかるく頭をさげて、新しい馬車に乗り込みました。
 さて、一年たったら、十二ヶ月のお客からどんな物語を聞かせてもらえるのでしょうか、たのしみですね。


おしまい


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12月25日の世界の昔話 クリスマスの鐘


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12月25日の世界の昔話



クリスマスの鐘
イラスト Smile STATION

クリスマスの鐘

アメリカの昔話 → アメリカの国情報

クリスマスの鐘の絵本


   折り紙リンク クリスマスのおりがみ (33+9種類) 制作おりがみくらぶ
☆おりがみの折り方をアニメーションでみれる☆

♪音声配信


 むかしむかし、アメリカのある町に、大きな教会がありました。
 教会には、天にそびえる高い塔があって、立派な鐘(かね)がつるされています。
 その鐘には、『クリスマスの夜にだけ鳴る』という、不思議な言い伝えがありました。
 ところがまだ一度も、この鐘が鳴る音を聞いた人はありませんでした。
 クリスマスが近づくと、町の人たちは塔を見あげて話し合います。
「今年こそは、あの鐘の鳴る音が聞けるかなあ?」
「わしは八十年も生きているが、まだ一度も聞いたことがない。なんでも、わしのじいさんが子どもの頃に聞いたそうだが、それは素晴らしい音色だったそうだ」
「どうすれば、あの鐘はなるのだろう?」
「神さまに贈り物をすれば、鳴るという話だよ」
 さて、この町のはずれの小さな村に、ペドロという男の子と弟がいました。
 ある日、ペドロは弟に言いました。
「クリスマスの教会って、とってもにぎやかなんだってさ」
 すると弟は、目を輝かせてせがみました。
「わあ、ぼく、行ってみたいなあ」
「よし、連れて行ってあげるよ」
 ペドロは、弟と約束しました。
 そして、まちにまったクリスマスの前の夜。
 ペドロと弟は、しっかりと手をつなぐと町へ向かいました。
 町の入り口までいった時、二人は女の人が倒れているのを見つけました。
「どうしたのかな? この人、動かないよ。お兄ちゃん、どうしよう?」
「このままほうっておいたら、凍え死んでしまう。困ったなあ?」
 あたりには、だれもいません。
 ペドロはポケットから銀貨を取り出すと、弟に差し出しました。
「この銀貨は神さまへの贈り物だよ。ぼくはこの人を助けるから、一人で行っておいで」
「えっ、ぼく、一人で行くの? お兄ちゃんだって、あんなに行きたがっていたじゃないか」
「いいんだ。さあ、行っておいで」
 弟はしかたなく、一人で町の中へ入っていきました。
 教会の中は、たくさんの人でにぎわっていました。
 どの人も神さまへの立派な贈り物を、得意そうに持っています。
 キラキラとまぶしく光る宝石、山のような金貨、立派な銀食器・・・。
 だれもが素晴らしい贈り物をして、鐘を鳴らそうと考えていました。
 けれど、鐘は鳴りません。
「今年こそ、鐘を鳴らしてみせるぞ!」
 最後に王さまも、命の次に大切にしている金の冠(かんむり)をささげました。
(さすがに、これで鐘がなるだろう)
  みんなはジッと、耳をかたむけました。
 でも、高い塔の上は、シーンとしずまり返ったままです。
「ああ、なんと、王さまの金の冠でもだめなのか」
「きっと、あの鐘は永久(えいきゅう)に鳴らない鐘なんだ」
「そうだ。そうにちがいない」
 人々があきらめて帰りかけた、その時です。
♪カローン、コローン、カローン、コローン・・・・・・。
 とつぜん、塔から美しい鐘の音が響いてきたではありませんか。
「あっ! 鳴った。とうとう鳴ったぞ!」
「なんて、美しい音色なんだ」
「それにしても、鐘を鳴らすほどの贈り物をしたのは、いったいだれだろう?」
 王さまをはじめ、人々はいっせいに振り返りました。
 するとそこにはペドロの弟が、はずかしそうにたっていました。
「ぼく、お兄ちゃんからあずかった銀貨を一枚、神さまにささげただけだよ」
 弟は、そういったあと、
(お兄ちゃんの助けてあげた、あの女の人は、きっと大丈夫だろうな)
と、思いました。


 素晴らしい贈り物というのは、高価(こうか)だからよいのではありません。
 大した物ではなくても、贈る人の心がこもっていればよいのです。
 メリークリスマス


おしまい


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12月24日の世界の昔話 三つの願い


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12月24日の世界の昔話



3つの願い



三つの願い
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 むかしむかし、町のはずれに、主人とおかみさんだけでやっている、小さな料理屋がありました。
 この夫婦は、とくべつに金持ちではありませんが、毎日の食べるものには不自由せず、健康にもめぐまれて、幸せにくらしていました。
 ある日の夕方のこと、金ピカの服を着た、伯爵(はくしゃく)と伯爵夫人(はくしゃくふじん)が、金の馬車(ばしゃ)にのって、料理屋のまえを通りました。
 それを見て、おかみさんがいいました。
「あの人たちみたいに、わたしも一度でいいから、すてきなボウシをかぶり、耳かざりをして、馬車にのってみたいものだわ」
 すると、主人もいいました。
「そうだな。何をするのにも、めしつかいに手つだってもらい、いばっていられたら、いうことはないさ」
 このおかみさんはスタイルがよく、目のパッチリとした色白の美しい人でした。
「ねえ、おまえさん。わたしが真珠(しんじゅ)の耳かざりをして、なぜいけないのさ」
「そりゃ、いけないっていうことはないさ。そんなこというんなら、おれだって毎日、おいしい酒をあびるほど飲んで、楽しくくらしたいさ」
 こんなことをいっているうちに、二人には自分たちの生活が、急にみすぼらしく見えてきたのです。
 家のまえを通る貴族(きぞく)を見るたびに、うらやましい気持ちがおこり、とたんに自分たちには、苦労ばかりしかないように思われてきたのです。
 おかみさんは、ため息をつきながらつぶやきました。
「こういう時に仙女(せんにょ)がいてくれたらねえ。仙女が魔法のつえをひとふりすれば、たちまちねがいがかなうっていうのはどうだい?」
 こういったとたん、家の中にサッと光のようなものがさしこんだのです。
 二人はおどろいて、ふりかえってみたのですが、だれもいません。
 しかし、家の中には、たしかに人の気配を感じるのでした。
「なんだか、気味が悪いね」
 二人が顔を見あわせていると、そこへスーッと、女の人があらわれたのです。
「あなたたちの話は、みんな聞きました。もう、ふへいをいう必要はありません。ねがいごとを三つ、口でとなえなさい。注意をしておきますが、三つだけですよ」
 仙女はそれだけいうと、スーッと消えました。
 主人とおかみさんは、しばらくポカンと、口をあけたままでしたが、やがて主人が、ハッとしていいました。
「おいおい、おまえ、聞いたかい!」
「ええ、たしかに聞きました。三つだけ、ねがいがかなうって」
 二人はおどろいていましたが、だんだんに、うれしさがこみあげてきました。
「えへヘへへ。ねがいごとは三つだけか。そうだな。一番はやっぱり、長生きできることだな」
「おまえさん、長生きしたって、はたらくばかりじゃつまらないよ。なんといっても、金持ちになるこったね」
「それもそうだ。大金持ちになりゃ、ねがいごとはなんでもかなうからな」
 二人は、あれこれ考えました。
「ねえ、おまえさん、考えてたってはじまらないさ。急ぐことはないよ。ひと晩ねれば、いい知恵(ちえ)もうかぶだろうよ」
 こうして二人は、いつものように仕事にとりかかりました。
 しかしおかみさんは、台所仕事をしていても、三つのねがいごとばかりが気にかかって、仕事がすすみません。
 主人のほうも、ブドウ酒やごちそうが目のまえにちらついて、仕事がすすみません。
 長い一日がおわって、夜になり、二人はだんろのそばに腰をおろしました。
 だんろの火はごうごうもえ、あやしい光をなげかけていました。
 おかみさんは、だんろの赤い火につられて、思わずさけびました。
「ああ、なんて美しい火だろう。この火で肉をあぶりやきしたら、きっとおいしいだろうね。今夜はひとつ、一メートルもあるソーセージでも食べてみたいもんだわ」
 おかみさんがそういいおわったとたん、ねがいごとがかなって、大きなソーセージがバタンと、天井からおちてきました。
 すると、主人がどなりました。
「このまぬけ! おまえの食いしんぼうのおかげで、だいじなねがいごとを使ってしまった。こんなもの、おまえの鼻にでもぶらさげておけ!」
 主人がいいおわるかおわらないうちに、ソーセージはおかみさんの鼻にくっついてしまいました。
 あわててひっぱってみましたが、どうしてもとれません。
 きれいだったおかみさんの顔は、長いソーセージがぶらさがって、見られたものではありません。
 おかみさんは、大声でなき出しました。
 それを見て、主人はいいました。
「おまえのおかげで、だいじなねがいごとをふたつもむだにしてしまった。さいごはやっぱり、大金持ちにしてほしいとおねがいしようじゃないか」
 おかみさんはなきじゃくりながら、足をドタバタさせました。
「おだまり! もうたくさんだ。さいごのねがいは、たったひとつ。どうぞ、このソーセージが鼻からはなれますように」
 そのとたん、ソーセージは鼻からはなれ、おかみさんはもとの美しい顔にもどりました。
 それから二人は、二度と不平などいわず、今のくらしをたいせつにしたということです。


おしまい


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