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10月31日の世界の昔話 しあわせの王子


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 10月の世界昔話


10月31日の世界の昔話



しあわせの王子



しあわせの王子
ワイルドの童話 → ワイルドの童話の詳細


 むかしむかし、ある町には、美しい『しあわせの王子』の像(ぞう)がありました。
 その『しあわせの王子』の体には、ピカピカと金色にかがやく金箔がはっています。
 青いひとみは、サファイアです。
 そして腰の剣には、大きいルビーがついています。
 町の人たちは、このすばらしい王子のように、しあわせになりたいと願いました。
 さて、冬が近づいてきた、ある寒いタ方のことです。
 町に、一羽のツバメが飛んできました。
「ふうーっ。ずいぶんと遅れちゃったな。みんなはもう、エジプトに着いたのかなあ。ぼくも明日、旅に出よう」
 ツバメは王子の足元にとまり、そこで眠ろうとしました。
 すると、ポツポツと、しずくが落ちてきます。
「あれれ、雨かな? 雲もないのに・・・。あっ、王子さまが泣いている。もしもし、どうしたのですか?」
 おどろいたツバメがたずねると、王子は答えました。
「こうして高い所にいると、町中の悲しい出来事が目に入ってくる。でもぼくには、どうすることも出来ない。だから泣いているんだよ」
「悲しい出来事?」
「ほら、あそこに小さな家があるだろう。子ども病気で、オレンジがほしいと泣いている。お母さんは一生けんめい働いているのに、貧しくて買えないんだ」
「それはお気の毒に」
「お願いだ、ツバメくん。ぼくの剣のルビーをあそこへ運んでおくれよ」
「・・・うん。わかった」
 ツバメはしぶしぶ、王子の腰の剣のルビーをはずして、運んでいきました。
 そして、熱で苦しんでいる男の子のまくらもとにルビーを置くと、
「がんばってね」
と、男の子をツバサで、そっとあおいで帰ってきました。
 帰ってきたツバメは、あることに気づきました。
「不思議だな。王子さま、こんなに寒いのに、なんだか体がポカポカするよ」
「それは、きみがいい事をしたからさ、ツバメくん」
 次の日、王子はまた、ツバメにたのみました。
「ぼくの目のサファイアを一つ、才能のある貧しい若者に運んでやってくれないか」
「でもぼく、そろそろ出発しなくちゃ」
「お願いだ。きょう一日だけだよ、ねえ、ツバメくん」
「・・・うん」
 ツバメの運んできたサファイアを見た若者は、目を輝かせて喜びました。
「これでパンが買える! 作品も、書きあげられるぞ!」
 次の日ツバメは、きょうこそ旅に出る決心をしました。
 そして王子に、お別れをいいにいきました。
「王子さま、これからぼくは、仲間のいるエジプトにいきます。エジプトはとてもあたたかくて、お日さまがいっぱいなんです」
 けれど王子は、またたのむのでした。
「どうか、もう一晩だけいておくれ。あそこでマッチ売りの女の子が泣いている。お金をかせがないとお父さんにぶたれるのに、マッチを全部落としてしまったんだ。だから、残ったサファイアをあげてほしい」
「それでは、王子さまの目が、見えなくなってしまいますよ」
「いいんだ。あの子がしあわせになれるのなら。目が見えなくとも」
「王子さま・・・」
 人のしあわせのために、自分の目をなくした王子を見て、ツバメは決心しました。
「王子さま、ぼくはもう、旅に出ません。ずっとおそばにいます。そして、王子さまの目のかわりをします」
「ツバメくん。ありがとう」
 それからツバメは町中を飛び回り、貧しい人たちの暮らしを見ては、それを王子に話して聞かせました。
「それでは、ぼくの体についている金を全部はがして、貧しい人たちに分けてあげてほしいんだ」
「わかりました」
 ツバメは、王子のいいつけどおりにしました。
 やがて、空から雪がまい落ちてきました。
 とうとう、冬がきたのです。
 さむさによわいツバメは、こごえて動けなくなりました。
「ぼくは、もうだめです。さようなら、王子さま。いいことをして、ぼくは、しあわせでした」
 ツバメは最後の力で王子にキスをすると、そのまま力つきて死んでしまいました。
 パチン!
 その時、王子の心臓(しんぞう)が悲しみのたえかねて、はじけてしまいました。
 つぎの朝、町の人たちは、しあわせの王子の像がすっかり汚くなっているのに気づきました。
「美しくない王子なんか、必要ない。とかしてしまおう」
 ところが不思議なことに、王子の心臓は、どんなにしてもとけません。
 しかたがないので心臓だけは、そばで死んでいたツバメといっしょにすてられました。
 そのころ、神さまと天使(てんし)が、この町へやってきました。
「天使よ。この町で一番美しいものを、持っておいで」
 神さまにいいつけられて天使が持ってきたのは、王子の心臓とツバメでした。
 それを見て、神さまはうなずきました。
「よくやった。これこそが、この町で一番美しいものだ。王子とツバメはたいへん良いことをした。この二人を天国にすまわせよう。きっと、しあわせに暮らすことだろう」
 そして、王子とツバメは、天国でしあわせに暮したのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ハロウィン
きょうの誕生花 → まゆみ
きょうの誕生日1967年 江戸家まねき猫(声帯模写)




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10月30日の世界の昔話 サヤエンドウじいさん


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10月30日の世界の昔話



サヤエンドウじいさん



サヤエンドウじいさん
ポーランドの昔話 → ポーランドの国情報


 むかしむかし、ある村に、イェジーじいさんというおじいさんが、まごたちといっしょにくらしていました。
 とてもまごをかわいがる、いいおじいさんでしたが、ただこまったことに、ほら(→うそ)をふくくせがあって、いつもでたらめばかりいっているのでした。
「わしは、こんなびんぼうぐらしをしてはいるが、いつでも大金もちになれるんだ。というのも、サヤエンドウじいさんという魔法使いがいてな、わしのいいつけならなんでも聞いてくれるからさ」
 もちろん、それはおじいさんのでまかせでした。
 でも、村の人たちになんどもこういっていばっているうちに、ほんとうにサヤエンドウじいさんがいるような気がしてきました。
 さて、ある日のこと、イェジーじいさんは畑の番をたのまれました。
「おい、みんなすごいだろう。ちょっと番をしてやるだけで、あげまんじゅうと、スイカと、上等のハムがもらえるんだぞ」
 イェジーじいさんは、さっそくいばりましたが、けれどもおじいさんが本当にもらったのは、小さなキャべツが三つきりでした。
「やれやれ、まごたちが腹をすかせてまってるのに、これじゃなんのたしにもならん。こまった、こまった」
 おじいさんは頭をかかえて、畑のあぜにすわりこみました。
 そのとき、おじいさんはハッと思いだしました。
「そうだ! サヤエンドウじいさんにたのめばいい」
 イェジーじいさんは、大声でさけびました。
♪サヤエンドウじいさん、
♪きておくれ、
♪しあわせを持って、きておくれ。
 もちろん、サヤエンドウじいさんなんて、イェージーじいさんのほらだったのですが、不思議なことにエンドウの花がゆらっとゆれて、小人のおじいさんがとびだしてきたのです。
 マメ色のうわぎとボウシをかぶっていて、手にはつえをもっています。
 イェジーじいさんが考えていた、サヤエンドウじいさんにそっくりでした。
「わしが、サヤエンドウじいさんだ。なんなりとのぞみをかなえてあげよう。しあわせにもしてあげよう。だが、もう二どとうそをついてはいけないよ」」
と、小人はいいました。
「わしが、うそなんかつくものかね」
と、イェジーじいさんはつぶやきました。
「さあ、それではしあわせをさがしにでかけよう。まごのことは心配しなくていい。近所の人がせわをしてくれるから」
 イェジーじいさんは、小人のサヤエンドウじいさんにつれられて旅にでかけました。
 小人は、小ムギで焼いたもちを持っていきました。
 二人は、野をこえ山をこえて旅をつづけました。
 そのうちに、焼いたもちはだんだんヘって、あと二つきりになりました。
「こんやはがまんして、朝までのこしておこう」
 サヤエンドウじいさんは、そういってねました。
 でも、イェジーじいさんは、おなかがすいてねむれません。
 とうとう、夜なかにそっとおきだして、焼いたもちを一つたべてしまいました。
 よく朝、サヤエンドウじいさんはイェジーじいさんに聞きました。
「おや? ゆうべ、たしかにもちは二つあった。・・・さては、おまえさんが一つたべてしまったんだね。正直にいってくれ」
「とんでもない! たベやしないよ。おまえは自分がたべておいて、うそをついているんだろう!」
「・・・やれやれ」
 小人は、ため息をつきました。
 でも、なにもいわずにのこったもちを二つにわって、イェジーじいさんにもわけてやりました。
 二人はまた、旅をつづけました。
 しばらくして、大きな村につきました。
 サヤエンドウじいさんはイェジーじいさんをのこして、食べ物をさがしにでかけました。
 イェジーじいさんは村の人たちと話をしていましたが、そのうちに、いつものようにでまかせをいいはじめました。
「オホン! わしは火の中にだってとびこむことができる。火事のときにはいつも火をくぐって、人や財産(ざいさん)をたすけだしてやるんだ。あつくもなんともない。火事だって消してやるのさ」
 村の人たちはすっかりかんしんして、お酒や肉だんごをごちそうしました。
 そのとき、だれかが大声でさけびました。
「火事だー! 火事だー!」
 さあ、あたりは大さわぎになりました。
 火事になった家の主人は、さっそくイェジーじいさんにすがりつきました。
「どうぞ、おたすけください。火事を消してください。だいじな財産を持ちだしてください」
 そんなことをいわれても、できません。
 イェジーじいさんは、ただオロオロして、まわりをうろつきまわるだけです。
 そのうちに、村の人たちはおこりだしました。
「どうしたんだ! さっきの話は、うそだったのか?!」
「うそなものかね、見ているがいい」
 こうなれば、しかたがありません。
 おじいさんは思いきって、火の中へとびこみました。
 でも、とびこみはしましたが、どうすることもできません。
 いまにも、焼け死にそうです。
 おじいさんは、夢中でさけびました。
「サヤエンドウじいさん、たすけてくれえ!」
 するとたちまち、サヤエンドウじいさんが大きなジョウロを持ってやってきました。
「イェジーじいさん、たすけてやろう。だがそのまえに、ほんとうのことをいいなさい。もちをたベなかったとか、火事を消せるとか、うそをついたろう」
 イェジーじいさんは、そんなことをうちあけるくらいなら、焼け死んだほうがましだと思いました。
「いいや、たベたりしない。おまえがたべたんだろう。火事を消せるなんて、いったおぼえもない」
「・・・やれやれ」
 サヤエンドウじいさんは大きなため息をつくと、ジョウロの水を火にかけました。
 火はたちまち消えて、イェジーじいさんはたすかりました。
 さて、二人はまた、森をこえ山をこえて旅をつづけ、やがてひろい川のそばにやってきました。
 川のむこうの丘の上に、美しい町が見えました。
 サヤエンドウじいさんは、その町をさしていいました。
「あの町でしあわせが見つかるだろう。だが、ほらをふいたりうそをつくと、とんでもないさいなんがふりかかってくるからな」
「だいじょうぶ。うそなんかつくものか。やくそくするよ」
と、イェジーじいさんはやくそくしました。
 ところが、サヤエンドウじいさんが昼ねをしているまに、川岸で遊んでいた子どもたちを集めて、もう、ほらをふきはじめました。
「わしは、もぐりの名人だ。一日じゅうだって、水の中にもぐって泳ぐことができるんだよ」
 こういいながら、川にかかった小さな橋の上で、泳ぐまねをして見せました。
 ところがそのとたんに、橋がボキンとおれてしまい、おじいさんは川へまっさかさまに落ちてしまいました。
 イェジーじいさんは、ほんとうは、すこしも泳ぐことができないのです。
 たちまち流されて、おぼれそうになりました。
 おじいさんは、死にものぐるいでさけびます。
「サヤエンドウじいさん、たすけてくれえ!」
 サヤエンドウじいさんは、目をさましてとんでくると、イェジーじいさんの髪の毛をつかんでいいました。
「たすけてやるが、ほんとうのことをいいなさい。もちをたベただろう。ほらも、ふいただろう」
 イェジーじいさんは、いまにも息がとまりそうでしたが、それでも大声でいいはりました。
「もちをたべたのは、おまえだ! ブクブク。わしは、ほらなんかふくものか! ブクブク」
「・・・やれやれ」
 サヤエンドウじいさんは、ため息をつきました。
 でも、だまってイェジーじいさんをたすけあげると、むこう岸の町へつれていきました。
 町の市場では、ちょうど、この国のおきさきのおふれが読みあげられるところでした。
『おきさきさまお気に入りの、はたおり娘のバーシャとスターシャが、頭もあがらないおもい病気。おきさきさまは、たいヘんなお悲しみ。二人の病気がなおらなければ、新しいきものをおめしになれない。そこでおきさきさまは、おふれをだされた。二人の病気をなおしたものには、金貨を山ほどくださると。だが、もしうまくいかないときは、首きり役人にひきわたす』
 サヤエンドウじいさんは、イェジーじいさんをご殿につれていきました。
 王さまの前ヘでると、サヤエンドウじいさんはこういいました。
「わたくしが、はたおり娘の病気をなおしましょう。ただ、一人ずつでなくてはこまります。まずバーシャをなおし、それからスターシャをなおしましょう」
 王さまは、承知(しょうち)しました。
 サヤエンドウじいさんは、にえ湯をいれたカマと、氷水をいれたカマを用意させました。
 それからハチミツのツボと、クリームのツボと、マメをひと袋持ってこさせました。
 すっかりしたくができあがると、死んだようになっているバーシャがはこばれてきました。
 サヤエンドウじいさんは、
「イェジーじいさん。ヘやの戸をしめてくれ。だれもいれちゃいけないよ」
と、いいつけました。
 戸がしまると、サヤエンドウじいさんはバーシャのからだじゅうに、ハチミツとクリームをぬりつけました。
 そして、マメを二つのカマにばらまきました。
 それからバーシャを、さいしょはにえ湯の中につけ、つぎには氷水の中につけて、息を三度ふきかけました。
 するとバーシャは、たちまち元気になり、すぐにとびおきて、美しいレース糸をおりはじめました。
「きょうはこれでいい。スターシャをなおすのは、あすにしよう」
 サヤエンドウじいさんは、そういってどこかヘでていきました。
 さて、バーシャがはたをおる音を聞きつけて、ご殿じゅうの人が集まってきました。
 王さまとおきさきもビックリです。
「まあ、バーシャ。いったいどうしてそんなに元気になったの?」
 バーシャがこたえるまもなく、イェジーじいさんがすすみでてはなしだしました。
「王さま、おきさきさま。バーシャをなおしたのはこのわたくしでございます。あの小人は、ただのてつだいでございます。スターシャだって、かんたんになおしてみせますよ」
 これを聞いたおきさきは、すぐにスターシャの病気もなおすように、イェジーじいさんにいいつけました。
 おきさきは、はやく新しいきものがきたかったのです。
 イェジーじいさんはこまりましたが、でもしかたがありません。
 にえ湯のカマと、氷水のカマと、ハチミツのツボと、クリームのツボと、マメをひと袋用意させました。
 そこへ、スターシャがはこばれてきました。
 イェジーじいさんはヘやの戸をしめると、サヤエンドウじいさんのしたとおり、マメをカマにまき、スターシャにハチミツとクリームをぬりつけました。
 ところが、にえ湯につけたとたん、スターシャはものすごい声をだしました。
 あわてて氷水につけると、もっとものすごいさけび声をあげました。
「たすけてぇー!」
 王さまやおきさきさまが、かけつけてきました。
 見ると、ハチミツとクリームをベッタリからだにつけたスターシャが、いまにも死にそうなようすです。
 イェジーじいさんは、汗をタラタラ流しながら、スターシャにいっしょうけんめい息をふきかけています。
 王さまとおきさきはおこって、イェジーじいさんの首をはねるようにいいつけました。
 そしてとうとう、イェジーじいさんは首きり台の前につれていかれました。
 イェジーじいさんは、なきなきさけびました。
「サヤエンドウじいさん、どこへ、いってしまったんだ。たすけてくれ、たすけてくれ」
 するとたちまち、サヤエンドウじいさんがすがたをあらわしました。
「もちをたべたと、正直にいうかね? ほらをふいたと、正直にいうかね?」
「もちをたべたのは、おまえだ! わしは、ほらなんかふくものか!」
と、おじいさんはいいはりました。
「・・・やれやれ」
 サヤエンドウじいさんは、ため息をつきました。
 でも、王さまにイェジーじいさんの命をたすけてやってくださいとたのんで、スターシャの病気をなおしました。
 王さまとおきさきは、やくそくどおりの金貨の山を、サヤエンドウじいさんにわたしました。
 サヤエンドウじいさんは、船のように大きなマメのさやに、イェジーじいさんと金貨を乗せると、魔法のことばをとなえました。
 すると船は、矢のように空をとんで、イェジーじいさんがはじめてサヤエンドウじいさんにであった畑につきました。
「さあ、この金貨を持っていくがいい。これでおわかれだが、たすけのほしいときは、いつでもいってあげよう。だが、うそをついているうちはたすけてやらないよ」
 イェジーじいさんは、サヤエンドウじいさんにいくどもお礼をいって、まごたちのいる村へ帰っていきました。
 村の近くまでいくと、むこうに赤いうわぎをきた、まごが立っていました。
「おおっ、いま帰ったぞ!」
 おじいさんは、いそいでかけよろうとしました。
と、そのときです。
 とつぜん、おそろしい地ひびきをたてて、小山のようなあばれウシが走ってきました。
 ウシは、赤いうわぎをきた、まごをめがけておそいかかろうとしました。
「サヤエンドウじいさん。たすけてくれ!」
 イェジーじいさんは、大声でよびました。
 サヤエンドウじいさんは、またたくまにあらわれました。
「もちをたべたと、正直にいうかね?」
「たべた! たしかに、わしがたべた! ほらをふいたことをゆるしてくれ! もう、金貨もなにもいらない! おねがいだ! たいせつなまごをたすけてやってくれ!」
 それを聞くと、サヤエンドウじいさんはニッコリ笑って、ウシをシラカバ(→カバノキ科の落葉高木)の木にかえてしまいました。
 それからはイェジーじいさんは、もう二度とほらをふかずに、しあわせにくらしたということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日香りの記念日
きょうの誕生花 → ペチュニア
きょうの誕生日1979年 仲間由紀恵(俳優)


きょうの日本昔話 → 二本のロウソク
きょうの日本昔話 → どうもと、こうも
きょうの世界昔話 → サヤエンドウじいさん
きょうの日本民話 → ほらふき村は子どもまで
きょうのイソップ童話 → おばあさんと目医者
きょうの江戸小話 → 貧乏医者


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10月29日の世界の昔話 わるがしこいクモ


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10月29日の世界の昔話



わるがしこいクモ



わるがしこいクモ
ナイジェリアの昔話 → ナイジェリアの国情報


 むかしむかし、ひでりがつづいて、食べ物がなんにもとれない年がありました。
 たくさんの子どもをかかえたクモがいましたが、たべるものがなんにもないので、みんな、やせていくばかりです。
 ある晴れた日に、クモはゾウの王さまのところへでかけていきました。
「王さま、いつまでもおさかえになりますように。わたくしは、水のカバ王のおつかいでまいりました。あちらには、さかなはすてるほどございますが、ケーキをやくムギがございません。ほんのすこしばかり、ムギをゆずっていただけませんでしょうか。さいしょのとりいれのあとで、カバ王の一番りっぱなウマをお礼にさしあげたいとぞんじます。この話は、ゾウ王さまのお耳にだけいれるようにと、カバ王が申しておりました。ですから、どうぞだれにもおっしゃらないでくださいませ」
 ゾウ王はこたえました。
「よし、カバ王のたのみはひきうけた。だが、なぜひみつにしなければならないのか、わからんのう」
 ゾウ王はさっそく、家来のゾウたちに、百カゴぶんのムギを川へはこばせました。
 クモは先にたって、道案内をしました。
 さいごのゾウがカゴをはこんでしまうと、クモは、
「みなさん、もうあとはわたしがひきうけました。どうか帰って休んでください」
と、いって、ゾウたちを帰しました。
 ゾウたちがいってしまうと、クモは大いそぎで家ヘ帰って、妻や子どもたちをよび集め、ムギをひとつぶのこらず自分の家へはこんでしまいました。
 あくる日、クモは川の中にある、カバ王のご殿へいきました。
「王さま、いつまでもおさかえになりますように。わたくしは陸のゾウ王のおつかいでまいりました。ゾウ王のところには、ケーキをやくムギはいくらでもございますが、スープにいれるさかなが一匹もありません。そこでおねがいでございますが、さかなを百カゴいただけませんでしょうか。さかながふえて、たくさんとれるようになりましたら、一番りっぱなウマをお礼にさしあげると、ゾウ王は申しております」
 カバ王はうなずきました。
「よろしい。ゾウ王ののぞみどおりにしてあげよう。さっそく、みなの者にそうだんして」
 クモは、あわてていいました。
「王さま。ゾウ王からカバ王さまのお耳にだけいれるようにと、かたくいいつけられてまいりました。どうぞ、ひみつにしてくださいませ」
 カバ王はしょうちしました。
 そしてさっそく、家来たちに百カゴのさかなを川岸ヘはこばせました。
「みなさん、あとはわたしがひきうけました。どうか帰って休んでください」
 こういってクモは、カバ王の家来たちを帰しました。
 そして家へとんで帰ると、妻や子どもたちをよび集め、百カゴのさかなを自分の家へはこんでしまいました。
 これで、食べ物の心配はなくなりました。
 クモはどこにもいかないで、一日じゅう、妻や子どもたちと、せっせとつなをつくりはじめました。
 長い長いつなが、できあがりました。
 そして何百万もの貝がらを、そのなわにとおしました。
 さて、とりいれのときがくると、ゾウ王はクモをよびました。
「カバ王がウマをくれるというやくそくを、わすれてはいまいな」
「どうかご安心ください。ちょうどウマをとりにいこうと思っていたところでございます。三日でもどってまいります」
 クモはゾウ王のご殿から帰ると、なわをもって森へでかけました。
 クモは、まいたつなをほどきながら歩いていきました。
 ちょうど、半分ほどといたところで、のこりのつなをおいて、ゾウ王のところへひきかえしました。
「王さま」
 クモは、つなのさきをゾウ王にわたしていいました。
「あしたの夜あけに、カバ王はウマを水からひきだします。このつなの片方のはしにウマをしばります。あすの朝まで、木のみきにつなをまきつけておいてください。木がゆれはじめたら、カバ王のウマがしばられてあばれだしたしるしです。それをごらんになったら、一番力もちの家来たちに、つなをひっぱらせてください。ウマがひきずりよせられるまで、けっしてやめてはいけません」
 ゾウ王はクモのいうとおりに、つなを一番ふとくてガッシリした木のみきにまきつけました。
 その間に、クモはカバ王のご殿ヘかけつけました。
「ゾウ王が、おやくそくのウマをさしあげるようにと申しましたが、わたくし一人では、とてもつれてこられません。そこでウマにつなをつけて、つなをひっぱりよせていただくことにしました。つなの先を川岸の木にしばりつけておきますから、あすの朝、一番力もちの家来たちにひっぱらせてくださいませ。ウマが岸にくるまで、おやめになってはいけません」
 あくる朝はやく、カバたちは川岸にでてみました。
 川岸の大きな木のみきに、つながまきつけてあります。
 カバたちはつなをつかんで、自分のほうヘひっぱりはじめました。
 ゾウたちも、つなをまきつけた木がゆれはじめると、ありったけの力をだして、片ほうのはしをひっぱりはじめました。
 カバがむちゅうでひっぱれば、ゾウもすごい力でひっぱります。
 とうとう、日がくれました。
 ゾウもカバも、つかれきってねむりました。
 そして夜があけると、またもやいっせいにつなひきをはじめました。
 けれどもこのつなひきは、いつまでたっても勝負がつきません。
 日が高くのぼったころ、カバ王は家来にいいました。
「こんなにしてもひっぱれないとは、いったいどんなウマだ? 見てまいれ。カバがウマにかなわないなどという話は、いままで聞いたこともない」
 ちょうどそのころ、ゾウ王も家来にいいつけていました。
「カバ王がくれるというウマは、いったいどんなウマだろう? いってしらべてまいれ。ゾウがウマにかなわないなどという話は、聞いたこともない」
 カバ王とゾウ王の家来たちは、森のまんなかでバッタリ出あいました。
 ゾウは、カバに聞きました。
「みなさん、おそろいでどこへいくのですか?」
 カバは、こたえました。
「あなたがたの王さまから、われわれの王さまにおくられたウマがどんなウマか、見にいくところですよ。つなをつけて一日じゅうひっぱっても、まだひきずってこられないのですからね。ところでみなさんは、どこへいくんですか?」
「われわれも、あなたがたの王さまからのおくりものだという、ウマを見にいくところですよ」
 すると、カバの家来たちはビックリしていいました。
「カバ王がゾウ王にウマをおくるなんて、そんな話はなにも聞いていませんよ。川岸からつなをたどってここまできたんですが、どこにもウマなんていませんでしたよ」
 カバとゾウは、それぞれの王さまのところへひきかえしていきました。
 カバ王はこれを聞くと、火のようにおこりました。
「わしがウマをおくるだと? とんでもない! 百カゴのさかなをおくったではないか。さては、あのクモめがだましたな!」
 ゾウ王も家来の話を聞いておどろきました。
「ウマをもらうのはわしのほうだ。百カゴのムギを、こちらからおくったではないか。さては、クモめがだましたな!」
 ゾウ王はカバ王を、たずねていきました。
「もう、おたがいにむだなつなひきはやめましょう。それより、あのけしからんクモを見つけて、こっぴどくこらしめてやりましょう」
 そのころクモは、ジッと家にかくれて、ゾウ王からだましとったムギと、カバ王からだましとったさかなをたべて、のんきにくらしていました。
 ところが、とうとうムギもさかなも、たべつくしてしまいました。
 だからまた、食べ物をさがしに外へ出なければならなくなりました。
 でも、ゾウやカバに出あいたくはありません。
 クモがあたりを見まわしていると、道ばたに病気で死んだカモシカの皮がありました。
 たちまち、うまい考えがうかびました。
 クモはカモシカの皮をかぶって歩きだしました。
 けれども、そのカモシカのひずめは地面をひきずるだけですし、頭はプラプラとゆれています。
 まったく、見るもあわれなカモシカです。
 すると、むこうからゾウ王がやってきました。
 ゾウは、ヨボヨボのカモシカを見て声をかけました。
「カモシカよ。クモをさがしてくれないかね。わしとカバ王をだましたわるいやつだ」
 クモは、カモシカの声をまねしてこたえました。
「クモをさがすんですって? しーっ、大きな声をださないでください。とんでもないめにあいますよ。わたしをごらんなさい。クモとけんかしたばっかりに、わかい元気なわたしがこのありさまです。クモが足をわたしのほうへむけたとたんに、からだがドンドンとしなびてしまったんですよ」
「ほんとうか!」
 ゾウ王はおどろきました。
「ほんとうですとも。どんなものでも、クモに足をふりあげられたらさいご。骨までしなびてしまいますよ」
 ゾウ王は、おそろしくなって、
「クモをさがすのはやめた。クモにあっても、わしのことはだまっていてくれ。たのむ」
と、あわててにげだしました。
 クモはいそいでカモシカの皮をぬぎすてると、先まわりをしてゾウをまちました。
 そして、すました顔で、
「もしもし、わたしをさがしておいでのようですが」
と、いいながら、足をふりあげるまねをしました。
 ゾウはガタガタとふるえながらさけびました。
「い、いや、ちがう、ちがう。あっちヘいけ。いってくれ、はやく」
 クモは足をふりあげて、思いっきりおどすと、ゆうゆうとひきかえしました。
 そしてまたカモシカの皮をかぶって、こんどは川岸にいきました。
 ちょうどそのとき、カバ王は川岸をさんぽしていました。
 カバ王はカモシカを見て聞きました。
「カモシカよ。クモを見なかったかね? わしはクモをこらしめてやりたいのだ」
 クモは、カモシカの声をまねしていいました。
「おそろしいものをおさがしですね。クモのおかげで、わたしはこんなあわれなすがたになったんですよ。ついさっきまで、元気に走りまわっていたのに、クモに足をふりあげられたとたん、みるみるやせて、しなびてしまいました。あなたも気をつけたほうがいいですよ」
 カバ王はふるえあがって、
「たのむ、わしがさがしていたなどと、クモにいわないでくれ」
と、いうなり、水のなかへもぐってしまいました。
 クモはいそいで皮をぬぎすてて、カバのあとを追いかけました。
「カバはどこだ? 出てこい! クモはここにいるぞ!」
 クモは水にむかって、大きな声でどなりました。
 カバ王はビックリして、深く深くもぐってしまいました。
 そしていちばん深いところまできて、カバはやっと安心しました。
「やれ、やれ。命びろいをした」
 ほんとうに命びろいをしたのは、クモのほうですのにね。


おしまい


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10月28日の世界の昔話 金髪姫


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10月28日の世界の昔話



金髪姫



金髪姫
チェコの昔話 → チェコの国情報


 むかしむかし、あるところに、年をとった王さまがいました。
 あるとき、一人のおばあさんが、一匹のさかなを持ってご殿にやってきました。
「王さま、このさかなを焼いてめしあがってごらんなさい。陸を走るけもの、海をおよぐさかな、空をとぶ鳥、どんないきもののことばも、わかるようになりますよ」
 王さまはおばあさんにたくさんのほうびを持たせて帰すと、さっそく、家来のイルジックをよびました。
「このさかなを焼いてまいれ。だが、ひと口もたべてはいかんぞ。たべたら命はないものと思え」
 イルジックは、いつもとちがう王さまの命令をふしぎに思いました。
「それにしてもおかしなさかなだなあ。まるでヘビのようだ。ちょっと味をみるぐらいならいいだろう」
 さかなが焼けると、イルジックはほんのちょっぴりつまみぐいをしました。
 するととつぜん、どこからか、小さな小さな声が聞こえてきました。
「ぼくたちにも、おくれよ!」
 イルジックは、キョロキョロとあたりを見まわしました。
 けれども、二、三匹のハエが台所をとびまわっているだけで、だれもいません。
「おかしいなあ?」
 イルジャックが首をかしげていると、こんどは外で、
「どこへいくんだい? どこへいくんだい?」
と、ふとい声がしました。
「粉屋のところへ」
と、ほそい声がこたえました。
 イルジックがまどからのぞくと、オスのガチョウと、メスのガチョウが外にいました。
「そうか、そうだったのか。このさかなをたべると、動物のことばがわかるんだな」
 イルジックは、もうひと口つまみぐいをしてから、しらん顔で王さまのところへさかなの皿をはこびました。
 ごはんのあとで、王さまはイルジックをおともに、ウマに乗ってさんぽにいきました。
 みどりの野原を通りかかったとき、イルジックのウマが、たのしそうに笑いだしました。
「ああ、ゆかいだなあ。イルジックはかるいから、山だってとびこせそうだよ」
「うらやましいねえ」
と、王さまを乗せているウマが、ためいきをつきました。
「おれもとびはねてみたいよ。だが、このヨボヨボの王さまを乗せていちゃ、むりな話さ。首でも折られちゃたいへんだからね」
「かまわんじゃないか。じいさんが首をおったら、こっちのわかいのを乗せて走りゃいいさ」
と、イルジックのウマがいいました。
 思わず、イルジックはクスッと笑いました。
 王さまは、ジロリとイルジックをにらんでたずねました。
「なにを、笑ったのだ!」
「その、ちょっと、おかしいことを、思いだしまして」
 イルジックは、あわててごまかしましたが、王さまはきげんをわるくして、ひきかえしました。
 ご殿につくと、王さまはイルジックに、お酒をつぐようにいいつけました。
「このさかずきに、ちょうどいっぱい酒をつげ。少なすぎたり、あふれさせたりしたら首をはねるぞ」
 イルジックは、お酒をつぎはじめました。
 ちょうどそのとき、まどから二羽の小鳥がとびこんできました。
 一羽の小鳥は、くちばしに美しい金の髪の毛を三本くわえていました。
「かえせ、かえせ。ぼくのだよ!」
「いやだ。ぼくがひろったんだもの」
「だけど、あの美しいお姫さまが髪の毛をとかしていたとき、髪の毛がおちたのを見つけたのはぼくだよ。二本でいいから、かえしてくれ」
「一本だって、やるものか」
 二羽の小鳥がとびながらうばいあいをしているうちに、一本の髪の毛がゆかにおちてスズのような音をたてました。
 イルジックはつい、そっちのほうをふりむいて、お酒をあふれさせてしまいました。
「もう、おまえの命はないぞ!」
と、王さまはさけびました。
「だが、この金の髪をもつ姫を見つけて、わしのところにつれてくるなら、ゆるしてやろう」
 しかたがありません。
 イルジックはウマに乗って、あてもない旅にでかけました。
 イルジックが森のそばを通りかかると、牧童(ぼくどう→カウボーイ)たちが、しげみを焼いていました。
 しげみの下にはアリづかがあって、いまにもほのおに焼かれそうでした。
 たくさんのアリたちがタマゴをかかえて、オロオロと、にげまわっていました。
 イルジックはウマからとびおりると、しげみをきりはらって火を消し、アリたちをたすけてやりました。
 アリは喜んで、なんどもお礼をいいました。
「ありがとうございます、イルジックさん。なにかこまったときは、わたしたちを思いだしてください。きっとたすけにいきますよ」
 しばらくしてイルジックは、高くそびえたモミの木のそばを通りかかりました。
 モミの木のいただきには、カラスの巣(す)がかかっています。
 木の根もとで二羽のカラスの子が、悲しそうにないていました。
「お父さんもお母さんも、自分のエサをさがしにとんでいってしまったの。ぼくたちはまだとべないし、おなかがペコペコなの」
 イルジックはウマからとびおりると、ウマをころして、その肉をカラスの子にやりました。
 カラスの子は、大喜びでさけびました。
「ありがとう! イルジックさん。こまったときには、きっとたすけにいきますよ」
 ウマがなくなったので、イルジックは歩かなければなりません。
 いく日もいく日もかかって、森を通りぬけると、はてしない海がひろがっていました。
 海べを歩いていくと、二人の漁師がけんかをしていました。
 二人はアミにかかった金のさかなを、うばいあっていたのでした。
 イルジックは持っていたお金をぜんぶやって、さかなを買いとりました。
 それから、さかなを海へはなしてやりました。
 金のさかなは、うれしそうに水から頭をだして、
「ありがとう、イルジックさん。こまったときには、きっとたすけにいきます」
と、さけんで、波のあいだに消えていきました。
 イルジックは二人の漁師に、金の髪の毛をもつ姫を、あてもなくさがしていることをはなしました。
 すると運のいいことに、漁師たちはその姫のことを知っていました。
「ほら、むこうに島が見えるでしょう。あの島のスイショウのご殿にすむ王さまの姫がその方ですよ。姫はいつも夜あけに金の髪をとかします。そのときは空も海もキラキラと光りますよ。あなたはこんなにたくさんのお金をくださったから、お礼に島まで船でつれていってあげましょう。だがお気をつけなさい。王さまには十二人も姫がいるんですが、金髪姫はその中のたった一人ですからね」
 島まで漁師たちに送ってもらったイルジックは、スイショウのご殿の王さまにいいました。
「主人のつかいで、金髪姫に結婚を申しこみにまいりました」
「よろしい、ご主人に娘をさしあげよう。だがその前に、三日のあいだ、わしのいいつけをやりとげてもらわなくてはならない」
 つぎの朝、王さまはイルジックに、第一のしごとをいいつけました。
「金髪姫が野原へ遊びにいったとき、首かざりの糸がきれて、草の中に宝石がちらばってしまった。ひとつのこらずひろい集めて、首かざりをつくってきなさい」
 いってみると、そこはひろいひろい野原でした。
 イルジックは、あちこちさがしましたが、なにも見つかりません。
 時間は、どんどんたっていきます。
「ああ、ここにあのアリがいてくれたらなあ」
 イルジックは、ためいきをつきました。
 すると、
「いますよイルジックさん。なんのご用ですか?」
 いつのまにか、たくさんのアリがイルジックのまわりをはっているではありませんか。
「宝石をひろい集めなくてはならないのに、ひとつも見つからないんだ」
「なんでもありません。すぐ集めてあげましょう」
 アリたちは、サッとちらばっていったかと思うと、たちまち宝石をひとつのこらず集めてきました。
 イルジックはかんたんに、首かざりをつくることができました。
 それを見て、王さまはいいました。
「よくやった、イルジック。だが、あしたのしごとはもっとむずかしいぞ」
 つぎの朝、王さまは二番目のしごとをだしました。
「金髪姫は海で水あびをしているときに、金の指輪をおとしてしまった。その指輪をさがしてきなさい」
 イルジックは、海岸にでてみました。
 しかし、このひろびろとした深い海の、いったいどこに指輪はおちているのでしょう。
 ボンヤリ海岸を歩きまわっているうちに、時間はどんどんたっていきます。
「ああ、ここにあの金のさかながいてくれたらなあ」
 イルジックは、深いためいきをつきました。
 すると、波間がキラキラとかがやいたかと思うと、金のさかなが顔をだしました。
「いますよ、イルジックさん。なんのご用ですか?」
「海の中から、金の指輪をさがさなくてはならないんだ。だが、どうしていいかわからない」
「ああ、さっきカマスにあったら、ひれにその金の指輪をはめていましたよ。すぐにとってきましょう」
 金のさかなは、またたくまに金の指輪を持ってきてくれました。
「よくやったな。イルジック」
 王さまは、指輪をうけとっていいました。
「だが、あしたのしごとはもっとむずかしいぞ」
 つぎの朝、王さまはさいごのしごとをだしました。
「命の水と死の水を持ってきなさい。そうしたら、おまえの主人に金髪姫をやろう」
 いったいどこへいけば、そんな水が見つかるのでしょう。
 イルジックは、でたらめに歩きつづけました。
 そうしているうちに、深い森の中にはいりこみました。
「ああ、ここに、あのカラスの子たちがいてくれたらなあ」
 イルジックは、深いためいきをつきました。
「いますよ、イルジックさん。なんのご用ですか?」
 どこからともなく、すっかり大きくなった二羽のカラスの子がとんできました。
「命の水と死の水をとってこなければならないんだ。いったいどこへいけばいいんだろう?」
「なんでもありません。すぐに持ってきてあげますよ」
 たちまち二羽のカラスは、ふたつの筒を持ってきました。
 ひとつには命の水が、もうひとつには死の水がはいっていました。
 イルジックは大喜びで、王さまのご殿へいそぎました。
 そのとちゅう、森の道にクモの巣がかかっていました。
 巣のまんなかに大きなクモがいて、つかまえたハエの血をすっていました。
 イルジックは、死の水をクモにふりかけました。
 クモはパタッと地面におちて死にました。
 そこで、命の水をハエの死がいにふりかけました。
 するとハエは、みるみるうちに生きかえって、クモの巣をやぶってとびだしました。
「ありがとう、イルジックさん。お礼にあなたを、きっとしあわせにしてあげますよ」
 ハエは、ブンブンうなりながらとんでいきました。
 さて王さまは、イルジックがいいつけられたしごとをやりとげたのを見ると、金髪姫をイルジックの王さまのおきさきにすることをしょうちしました。
 王さまは、イルジックを大広間につれていきました。
 そこには大きなまるいテーブルがあって、十二人の美しい姫がすわっていました。
 みんな頭に、雪のように白いきれをかぶって、髪をかくしていました。
 どの姫の顔もそっくりで、髪の毛を見なくては、だれが金髪姫か見わけがつきません。
「ここにいるのは、みなわしの娘だ。この中から金髪姫を見わけたらつれていくがよい」
 いくら見ても、わかりません。
 イルジックは、考えこんでしまいました。
 すると耳もとで、だれかがブンブンいっています。
「さあ、テーブルのまわりをまわりなさい。わたしが教えてあげますから」
 イルジックは、テーブルのまわりをまわりはじめました。
 一ぴきのハエがそばをとびながら、小さな声で教えてくれます。
「ちがう。・・・ちがう。・・・ちがう。・・・この姫ですよ、金髪姫は」
「この方です。わたしが王さまのおきさきにいただきたいのは!」
 イルジックは、大声でさけびました。
「みごと、そのとおりじゃ」
 王さまは、おどろきの声をあげました。
 金髪姫はたちあがって、白いきれをとりました。
 中からは、すそまでとどく金の髪があらわれました。
 大広間は、まるで太陽がのぼったようにあかるくなりました。
 金髪姫は王さまや姫たちにわかれをつげ、イルジックといっしょに年よりの王さまのところへきました。
 金髪姫をひと目みて、王さまはとびあがって喜びました。
 ご殿では、さっそく結婚式のしたくにとりかかりました。
 ところが、王さまは、
「イルジック。おまえはウマをころしてカラスにたべさせたそうだな。首つりにでもしてやりたいくらいだが、首をきるだけでゆるしてやる」
と、いって、イルジックの首をきらせてしまいました。
 金髪姫は王さまにたのんで、イルジックの首とからだをもらいました。
 そして、首とからだをならべて死の水をふりかけました。
 すると、首とからだがピッタリくっついて、きずのあともなくなりました。
 金髪姫は、こんどは命の水をふりかけました。
 そのとたん、イルジックは元気よくおきあがりました。
 王さまはそれを見ておどろきました。
 イルジックは、ますますわかく美しくなったのです。
 年とった王さまも、わかがえりたくなりました。
「わしの首もきってくれ。わしにもふしぎな水をふりかけてくれ」
 いいつけどおり、王さまの首をきりました。
 まず、命の水をふりかけましたが、どうしても首とからだがつきません。
 そこで死の水をふりかけると、首とからだはつきましたが、もう命の水はのこっていませんでした。
 ですから王さまは、生きかえることができませんでした。
 けれども、国に王さまがいなくてはこまります。
 そこで動物のことばも聞きわけられる、かしこいイルジックが、新しい王さまにえらばれました。
 そして金髪姫と結婚して、しあわせにくらしたということです。

 このお話しは、チェコの民話の中でも、たいへん有名です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日速記記念日
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10月27日の世界の昔話 ふしぎなブドウ


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10月27日の世界の昔話



ふしぎなブドウ



ふしぎなブドウ
中国の昔話 → 中国の国情報


 むかしむかし、ある村に、とても心のやさしい娘がいました。
 この娘のひとみの一つが、ブドウのようにかがやいていたので、村の人びとは娘のことを「ブドウ姫」と、よんでいました。
 娘が十二才になったとき、お父さんとお母さんが病気でなくなってしまいました。
 娘は、おばさんの家にひきとられることになりました。
 このおばさんは、たいそういじわるな人で、いつも娘につらくあたっていましたが、ある日とうとう、娘を家からおいだしてしまったのです。
 しかし、娘は悲しんで泣いたりはしません。
 昼は村のガチョウのせわをし、夜は川のほとりのやなぎの木にもたれてねむりました。
 一人ぼっちの娘の友だちはガチョウたちで、さびしくなると、ガチョウをだいて歌をうたいます。
 するとガチョウたちも、娘の歌にあわせて「ガア、ガア」と、うたうのでした。
 それから一年ほどたったころ、おばさんに女の赤ちゃんが生まれました。
 この赤ちゃんは生まれつき、目が見えませんでした。
「ブドウ姫にいじわるをしたから、きっとバチがあたったんだ」
 村人たちは、こんなわるくちをいいました。
 おばさんは、くやしくてなりません。
 さて、お月見の夜のこと。
 娘は川岸にすわって、水にうつる月の光をボンヤリとながめていました。
 するとそこへ、おばさんが通りかかりました。
 町へお月見のごちそうを買いにいった帰りなのでしょうか。
 おいしそうなブドウがはいったカゴをかかえています。
「おばさん」
と、娘はいいました。
「わたしにそのブドウをひとふさわけてくださいな。朝からごはんをたべていないので、おなかがすいてなりません」
 おばさんは立ちどまり、おそろしい顔で娘をにらみつけました。
「そういえば、だれかがおまえの目を、ブドウのようだとかいっていたね。どれ、見せてごらん」
 おばさんはそういうと、いきなり砂をつかんで、娘の目の中にグイグイとすりこんだのです。
「キャーーーァ!」
 かわいそうに娘は、目をつぶされて川のほとりで泣きつづけました。
 泣きながらふと、むかしお母さんからきいた話を思いだしました。
「遠い山のなかに、野ブドウがなっているの。それはふしぎなブドウで、たべるとどんなに目のわるい人でもすぐになおるそうよ」
 娘はそのふしぎなブドウをさがそうと、川の流れにそってあるきはじめました。
「ふしぎなブドウさえ見つかれば、わたしの目も、おばさんの赤ちゃんの目もなおるし、ほかの目のわるい人にもきっとよろこんでもらえるわ」
 こうして十日もあるきつづけていると、とつぜん、クマのうなり声がしました。
 娘はそばの木によじのぼって、ジッとしていました。
 クマはグルグル木のまわりをまわっていましたが、そのうちに、むこうの谷のほうへ行ってしまいました。
 ホッとしていると、こんどはきゅうに、木がグラグラとゆれました。
 木の上に、一羽のタカがまいおりたのです。
 タカのつばさは木をスッポリとおおいかくしてしまうほど大きく、ツメは鉄の針のようでした。
 するどい刀(かたな)のようなくちばしで、木をつっつくたびに、木はガッガッと音をたててゆれます。
 娘はどうなることかと、ガタガタふるえていました。
 しかしタカは、娘に気づかずに、
「ギャオ!」
と、ないて、とびたっていきました。
 でもそのとき、風がピューとふいてきて、娘は木の枝からふきとばされてしまいました。
 地面に落ちたときに、足をくじいてしまったので、娘は、はっていくことにしました。
 こうして、また十日がすぎていきました。
 娘の着物はボロボロにやぶれ、顔や手に血がにじんでいます。
 ひどいつかれのために、娘の黒くつややかだった髪も、いつのまにかまっ白になってしまいました。
「どこまで行ったら、あのふしぎなブドウが見つかるのでしょう」
 娘は、なんどもあきらめて、ひき返そうとしました。
 しかしそのたびに、勇気をふるいおこして、前へ前へと進んでいきました。
「いちど心にきめたことは、さいごまでやりとおさなくては」
 そのうちに、つめたくてやわらかなものにぶつかりました。
 それは、大きなヘビでした。
 でも娘は目が見えないので、へいきでそのヘビの背中の上をまっすぐはっていきました。
 そのとき、ヘビがみぶるいをしたので、娘はあっというまにふかい谷底へまっさかさまです。
「ドシーン!」
 娘は谷底にたおれたまま、動くこともできません。
「わたし、このままここで死んでしまうのね。・・・お母さん」
 娘は、まぼろしのお母さんにむかっていいました。
 そのとき、娘の顔に、フワッと何かがふれました。
 さわってみると、草のつるのようなものです。
 そしてそのつるの先に、水の玉のようなものがぶらさがっていました。
 (もしかしたら)
 娘は水の玉をひきちぎって、そっとなめてみました。
 すると、いままでとじていた目がパッとひらき、光がいちどにとびこんできたではありませんか。
 水の玉だと思ったのは、さがしていたブドウだったのです。
 見えるようになった目で、あたりを見回してみると、いちめんにブドウがしげり、キラキラと光をはじいています。
 野の花がさき、小鳥たちが楽しそうにさえずっています。
「目が見えるということは、こんなにすばらしいことだったのね」
 娘はブドウのつるの上にすわって、歌をうたいはじめました。
 うたいながらブドウのつるで、カゴをひとつあみました。
「はやく村へかえって、目のわるい人たちに、ブドウをわけてあげましょう」
 カゴいっぱいブドウをつみおわったとき、あたりがきゅうに、くらくかげってきました。
「どうしたのかしら?」
 すると、うしろのほうから、
「おーい」
と、よぶ声がしました。
 ふりむいてみると、大男が山をまたいでくるところです。
 大男は肩に緑の布をまとい、頭に金のかんむりをかぶり、足に水晶(すいしょう)のクツをはき、手に銀のつえをもっています。
「娘よ。ここへ、なにしにきた!」
 高い高い空の上から、大男の声がひびいてきました。
 娘は、すこしもおそれずにいいました。
「はい、ふしぎなブドウをさがしに」
 大男はうなずいて、
「わしは、この森と草原と山の王だ。どうだ娘。わしといっしょに、このすばらしい国でくらさないか?」
と、娘をだきあげて、森をゆびさしました。
 そこには、めずらしい宝石がかぞえきれないほどたくさんきらめいていました。
「ここにあるくだものも、宝石も、みんなおれのものだ。どうだ。おれの娘にならないか。そうすればわしの城にすみ、しあわせにくらすことができるのだぞ」
「ありがとう。でも、わたしは村へ帰らなければなりません。村に帰って、目が見えなくて悲しんでいる人びとに、ブドウをあげなければ」
「バカもの!」
 大男はおこって、娘をふきとばしました。
 娘は空高くふきあげられ、星のきらめくなかをグルグルとまわって落ちてきました。
 大男は、娘をうけとめると、
「村へ帰っても、つらいことばかりだろう。どうだ。わしのそばでくらすか?」
「いいえ。わたしはどうしても村へ帰ります」
「・・・そうか、わしはおまえのようなこころのやさしい、すばらしい娘とくらしたいと思っていた。だがあきらめよう。さあ、村へ帰るがいい」
と、娘に一本の緑の小枝をわたしました。
 大男からもらった緑の小枝をにぎりしめると、風のように早く走ることができました。
 娘はブドウのカゴをかかえて、なつかしい村へ帰っていったということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → テディベアの日
きょうの誕生花 → ななかまど
きょうの誕生日1966年 高嶋政伸(俳優)




きょうの日本昔話 → テングの羽うちわ
きょうの世界昔話 → ふしぎなブドウ
きょうの日本民話 → 洪水から村をすくった若者
きょうのイソップ童話ねむっているイヌとオオカミ
きょうの江戸小話 → 鬼のたまご


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10月26日の世界の昔話 クマの子ハンス


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10月26日の世界の昔話



クマの子ハンス



クマの子ハンス
シュトルムの童話 → シュトルムの童話の詳細


 むかしむかし、ハンスという男の子が、炭焼きの仕事をしているお父さんとお母さんとくらしていました。
 ハンスはとても力持ちで、小さな木なら、草を引きぬくようにひっこぬいてしまいます。
 子イヌをだきしめたら、あまりの力に子イヌをグッタリさせてしまうほどでした。
 ある日、ハンスが森で一人であそんでいると、子クマを人間に殺されたクマが、しかえしをしようと飛びかかりました。
 ふつうの子どもなら、ひとはたきで死んでしまうのに、ハンスはクマにはたかれたってへいきです。
 そのうちに、クマは子グマをだくようにハンスをだきしめると、森のおくのほら穴につれて行きました
 そして、やわらかい干し草の上にそっとおろしました。
「わあ、気持ちいいなあ」
 ハンスはニッコリ笑うと、そのままねむってしまいました。
 それからしばらくして、あまいかおりで目をさましてビックリ。
 つみたてのイチゴが、山のようにつんであります。
 クマは、
「さあ、お食べなさい」
と、いうように首をふりました。
 ハンスは大喜びで、おいしいイチゴを食べました。
 そのあと、クマのあたたかいおっぱいを、ゴクゴクとのみました。
 こうしてハンスは、クマと一緒(いっしょ)にくらすようになりました。
 クマはハンスのために、毎日食べ物をとって来て、おっぱいをたっぷり飲ませてくれました。
 ハンスはグングン大きくなり、やがてりっぱな若者になりました。
 でもクマは、ハンスが外に出られないように、いつも穴の入り口を岩でふさいでいました。
 きっと、二度と子どもを失いたくないと思ったからでしょう。
 ところが、ある日のこと。
 いつものようにクマが岩のふたをして出かけたあと、ハンスは岩を押してみました。
 ぐっ、ぐぐぐーーー。
 なんと、岩が動いたのです。
 クマのおっぱいを飲んでそだったハンスは、クマと同じくらいの力持ちになったのです。
 岩は少しずつ動き、やがてハンスは明るい光につつまれました。
 ついに、岩がはずれたのです。
 森は緑でまぶしく、花も草も一本一本かがやいて、うれしそうに風にゆれています。
「ああ、なんてすてきなんだろう」
 ハンスはむねいっぱいに、森の空気をすいました。
 そして、すぐにかけ出しました。
 ハンスは走り続けて、小さな炭焼き小屋につきました。
「すみません、水を一杯飲ませてください」
 いきなり入ってきた若者に、炭焼き小屋の夫婦(ふうふ)はビックリしましたが、ハンスの肩に、いなくなった自分の子どもとおなじホクロがあるのを見つけて、おどろきの声を上げました。
「ああっ、お前は、私たちの息子ハンスにちがいない」
 ハンスの方もビックリです。
「お父さん、お母さん!」
 髪は白くなったけれど、小さかったころかわいがってくれた、やさしいお父さんとお母さんです。
 その日からハンスは、お父さんやお母さんと一緒(いっしょ)に、炭焼きの仕事を始めました。
 でもしばらくすると、どこか広い世界へ行き、自分の力をためしたくてたまらなくなりました。
「ぼくを旅に出してください。必ずもどって来ます」
 ハンスがたのむと、お父さんもお母さんも気持ちよくうなずいて、見おくってくれました。
 ハンスは、しばらく国中を旅しました。
 そうして、そろそろはたらき口を見つけようと、大きな農家にたのみました。
 農家の主人は、ハンスの丈夫そうな体を見て、果物畑の仕事をまかせることにしました。
 ハンスはリンゴ畑へ行き、次々とリンゴを取るはずでしたが、力がありすぎるため、ちょっとリンゴを引っばると、木の枝がバキバキおれてしまうのです。
「だんなさま、リンゴの木は、みんなくさっています」
 ハンスが言うと、主人はおこるよりもおどろいて、
「何という力持ちだ。お前には森の木をたおしてもらおう」
と、ハンスにオノを渡しました。
 でも、ハンスはオノなど使わずに、木から木へクサリをつなぎ、「エイッ!」と引っぱりました。
 そのとたん、木はドスンドスンとたおれるのです。
 主人も、仕事なかまもビックリです。
「あんな力持ちがいたら、何をされるかわからない」
「そうだ、ハンスをおこらせたら、殺されてしまうかもしれない」
 そこでみんなで、ハンスをやっつけてしまおうと相談(そうだん)しました。
 そしてある日、主人が言いました。
「ハンス、井戸(いど)の中にかくしてある宝(たから)をとって来ておくれ」
「はい。わかりました」
 ハンスは喜んで、井戸の中におりました。
 でもそのとたん、主人も仕事なかまも、ハンスめがけて大きな石を投げつけたのです。
 でも、ハンスにはいたくもかゆくもありません。
 ハンスは、井戸の底から主人にこう言いました。
「宝物は見つかりませんよ。いまから上にあがりますから、井戸の入り口であばれるニワトリをどかしてください。さっきからゴミが落ちてきて、目にはいってかゆいんですよ」
 主人たちは、あわてて石を投げるのをやめました。
 大きな石をゴミだというハンスには、とうていかないません。
 主人はハンスにお金をたくさんあげて、出ていってもらうことにしました。
 仕事をなくしたハンスが、ションボリ歩いていると、お城のまどから町をながめているお姫さまの姿が見えました。
「ああ、なんて美しいんだろう。でも、なぜあんなにかなしそうなんだろう?」
 ハンスがつぶやくと、通りかかったおじいさんが教えてくれました。
「お姫さまは、大男と結婚させられるのじゃ。王さまは大男をたおしたら、その者に国を半分やり、お姫さまと結婚させるとおふれを出している。でも、今まで誰一人として、大男をたおすことはできなかったのじゃよ」
「よし、それならぼくがやってみるよ」
 ハンスは剣と、かぶとと、よろいを買って身につけると、そのままお城にむかいました。
 そして王さまに、
「ぼくが大男をたおしてみせます!」
と、言ったのです。
 ハンスは元気よく、大男の住む森へ出かけて行きました。
 大男はハンスを見ると、フンと鼻で笑いました。
 そして大きな剣を、グサリと土につきさしました。
「お前に、この剣が引き抜けるか?」
 するとハンスは、その剣をスルリと土から引き抜くと、空にむかって投げました。
 大男の剣は青空でキラリと光り、大男の目の前にまっすぐ落ちてきて、そのまま土にささりました。
「じゃあ、次はこれを抜いてみてください」
 大男は汗だくになって、なんとかその剣を引き抜きました。
(こいつには、美しい姫をとられるかもしれない)
 大男は急にやさしい顔になり、ハンスに言いました。
「なあ、俺の宝は全部お前にやろう。しかし、姫だけは俺にくれないか?」
 ハンスは、大きく首を横にふりました。
「いやです。姫は、ぼくの結婚する相手だ!」
 ハンスはそう言いきると、大男にむかって行きました。
 そして大男の頭を思いっきりなぐると、一発でたおしてしまったのです。
 ハンスが大男をたおしたのを知り、王さまは大喜びです。
 お姫さまも、ハンスのように強くて勇敢(ゆうかん)な男の人と結婚できることを、心の底から喜びました。
 ハンスは、お姫さまとすぐに結婚式をあげました。
 それから、お父さんとお母さんの待つ炭焼き小屋へ、お姫さまをつれて行きました。
 お父さんもお母さんも、飛び上って喜びました。
 つぎにハンスは、お姫さまと家来(けらい)を連れて、森へ出かけました。
「いったい、どこへいらっしゃるの?」
 そうたずねるお姫さまに、ハンスは答えました。
「もう一人の、お母さんのところさ」
 ハンスの行ったところは、森の中の大きなほら穴でした。
 ほら穴には、クマが今にも死にそうに横たわっていました。
 ハンスはお姫さまの手をひいて、クマのそばへ行き、やさしく言いました。
「お母さん、ぼくをそだててくれてありがとう。おかげでぼくは力のある男になり、お姫さまと結婚することができました」
 するとクマはうす目をあけ、涙を一すじ流しました。
 クマはハンスがもどって来たことを、心から喜んで泣いているのです。
 そしてハンスに体をなでられながら、天国へ旅立ったのです。
 ハンスはお姫さまと二人で、クマのお墓(はか)をつくりました。
 それから、炭焼きのお父さんとお母さんをお城へ連れて帰り、みんなで仲良くくらしました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日サーカスの日
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10月25日の世界の昔話 悪魔をだましたイワン


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10月25日の世界の昔話



悪魔をだましたイワン



悪魔をだましたイワン
ベラルーシ共和国の昔話 → ベラルーシの国情報


 むかしむかし、あるところに、三人の息子をもったおじいさんとおばあさんがいました。
 一家はその日の食べ物にもこまるほど、貧乏(びんぼう)でした。
 そのうちに、おばあさんが死にました。
 おじいさんもおばあさんのあとを追うように、おもい病気になりました。
 おじいさんは死ぬまえに、息子たちをよんでいいました。
「おまえたちにわけてやるものもないが、こんなものでがまんしておくれ」
 こういって、一番上の息子には黄色いネコをやり、まんなかの息子にはひきうすを、一番下の息子のイワンには、わらじをつくる木の皮をやりました。
 おじいさんが死んでしばらくすると、息子たちは世の中にでてみようと思いました。
 一番上の兄さんは、黄色いネコをだいて、仕事をさがしにいきました。
 ドンドン歩いていくと、夜になりました。
 兄さんは一けんの家の戸をたたいて、とめてもらおうとしました。
 すると家の人が、こんなことをいいました。
「旅のおかた、この家はどこもかしこもネズミだらけで、ホトホトこまっています。あなたも、かじられてしまいますよ」
「心配いりません。なんとかなるでしょう」
 兄さんは、黄色いネコといっしょに、ゆかの上へねました。
 つぎの朝、家の人は目をさましてみてビックリ。
 ゆかの上に、ネズミの死がいが山のようにつんであって、そばで黄色いふしぎなけものが、のどをゴロゴロならしているではありませんか。
 その国の人たちは、ネコという動物を見たことがなかったのです。
「旅のおかた、おねがいです。どうかこのけものを売ってください」
「とんでもない。これは売りものではありません」
と、兄さんはことわりました。
 この話はたちまち、この国の王さまの耳にはいりました。
 王さまは、自分のご殿に兄さんをとまらせました。
 ネコはかたっぱしから、ネズミを殺しました。
 あくる朝、山のようなネズミの死がいを見た王さまは、黄色いけものがほしくてほしくてたまりません。
「なんでも、ほしいものをいいなさい。そのかわり、そのけものをゆずってくれ」
「王さま。銀貨をのこらずまいてくだされば、ネコをさしあげましょう」
 王さまはしかたなく、自分の銀貨をありったけ、まきちらしました。
 上の兄さんは、銀貨を集めて国ヘ帰りました。
 そして、りっぱな家をたてて、お嫁さんをむかえて、しあわせにくらしました。
 それを見たまんなかの兄さんも、ひきうすをかついで、しあわせを見つけにでかけました。
 ドンドン歩いていくと、夜になりました。
 見ると、森のそばに一けんの小屋があります。
 それは、だれも住んでいない小屋でした。
 まんなかの兄さんは、そこにとまることにしました。
 その晩、ドロボウたちが、その小屋にはいってきて、ぬすんできた金貨をゆかにつみあげました。
 そのとき、小屋のすみでねていたまんなかの兄さんが、ねがえりをうちました。
 そのはずみにひきうすにぶつかって、ガラガラガラン! と大きな音をたてました。
 おどろいたドロボウたちは、金貨をほうりだして、いちもくさんににげていきました。
 まんなかの兄さんは、金貨をひろい集めて国へ帰りました。
 そして、上の兄さんのように、しあわせにくらしました。
 それを見た、すえっ子のイワンはいいました。
「どれ、こんどはぼくが、運だめしをする番だ」
 イワンはわらじをはいて、旅にでかけました。
 ドンドン歩いていくうちに、わらじがボロボロになってきました。
 イワンは沼地のそばにすわって、新しいわらじをつくるために、木の皮をさきはじめました。
 するととつぜん、沼にブクブクブクと、あわがたって、悪魔(あくま)があらわれました。
「やあ、イワン。なにをしているんだね?」
「見ればわかるだろう。ひもをつくっているんだよ」
「なにに、つかうのかね?」
「この沼から、おまえたち悪魔をひっぱりだして、市場(いちば)で売ろうと思ってね。なにしろここには、悪魔がウヨウヨいるからな。さぞかし、もうかるだろうよ」
「ちょっと、まってくれよ! イワン、いや、イワンさん。それはこまるよ。なんでもほしいものをだすから、それだけはかんべんしてくれよ」
「そうだな。ボウシにいっぱい金貨をくれれば、ゆるしてやろう」
「それぐらいなら、おやすいご用だ」
 悪魔が金貨をとりに沼の中にもぐったすきに、イワンは、ほそくてふかい穴をほって、その上に自分のそこのぬけたボウシを乗せました。
 やがて悪魔が、金貨の袋を持ってもどってきました。
 悪魔は、イワンのボウシのなかに金貨を流しました。
 けれども、ちっとも金貨はたまりません。
 悪魔は、
(おかしいなあ)
と、思いましたが、しかたなく、またひと袋持ってきました。
 これでどうにか、ボウシはいっぱいになりました。
「さあ、一人ではおもくて持ちあげられまい。てつだってやろう」
「いや、てつだってくれなくてもいいよ」
 イワンはことわりましたが、悪魔は聞きません。
 よいしょと、ボウシを持ちあげて、ボウシの下の穴を見つけてしまいました。
「こいつ、だましたな! どうしてやるか、親分のところへ聞きにいってくるから、まってろ!」
 話を聞いた親分は、悪魔の中で一番の力もちを、イワンのところへやりました。
 力もちは沼からとびだすと、イワンにいいました。
「すもうに勝ったほうが、金貨をとることにしよう」
(よわったなあ。こんなやつには、かないっこないぞ)
と、イワンは思いながら、あたりを見まわしました。
 むこうのモミの木の下に、大きなクマがすわっています。
 イワンは、悪魔にいいました。
「いいとも。だが、おれとすもうをとるまえに、あそこにおれのじいさんがいるから、まず、じいさんとやってみろ」
 力もちは、クマのところヘかけていきました。
「さあ、こい。じいさん」
 クマはたちあがると、いきなり悪魔をつかみました。
 その力のものすごいこと。
 悪魔の力もちはとてもかなわず、やっとのことでにげだしました。
「とてもだめです。イワンのじいさんにだってかないません」
 それを聞いた悪魔の親分は、こんどは一番足のはやい男をやりました。
 はや足は沼からとびだして、イワンにいいました。
「かけっこに勝ったほうが、金貨をとることにしよう」
 イワンは、あたりを見まわしました。
 見ると、ヤブの下にウサギがいます。
「いいとも。だがそのまえに、あそこにいる、すえの息子とやってみろ」
 はや足は、さっそくウサギのそばへかけていこうとしました。
 ところが、ウサギは悪魔がきたものですから、ビックリしてヤブの中へとびこみました。
 はや足はむちゅうで追いかけましたが、どうしても、ウサギに追いつくことはできません。
 それを聞いた悪魔の親分は、こんどこそと、口笛の名人をやりました。
 笛ふきは沼からとびだして、イワンにいいました。
「口笛のうまいほうが、金貨をとることにしよう」
「いいとも。まず、おまえさんからだ」
 悪魔が口笛をふくと、森の木はふるえて、木の葉がちりました。
 イワンがふく番になりました。
 イワンは、悪魔にいいました。
「さて、笛ふきくん。目をしばっておいたほうがいいよ。さもないと、おでこのほうヘ、目がずりあがってしまうからな」
 笛ふきはおどろいて、布でかたく目をしばりました。
「さあ、ふいてくれ」
 笛ふきがいうと、イワンはこん棒をふりあげて、えいっとばかりに、笛ふきのひたいをなぐりつけました。
 笛ふきはあまりの痛さに、腰をぬかしそうになりました。
「これはほんの小手しらベ。こんどは、もっとでっかいやつをふくぞ」
「や、やめてくれ。もうたくさんだ。金貨はおまえにやるから、口笛だけはやめてくれ」
 そこでイワンは、山ほどの金貨をかついで、めでたく国へ帰りました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日民間航空記念日
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きょうの誕生日1959年 ラッキィ池田(振附師)




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10月24日の世界の昔話 魔術の本


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10月24日の世界の昔話



魔術の本



魔術の本
エジプトの昔話 → エジプトの国情報


 むかしむかし、あるところに、サトニ・力ーメスという、ふしぎな王子がいました。
 この王子は、ふつうの人にはわからない魔術(まじゅつ)の本がよめるし、魔法(まほう)もつかえるのです。
 ある日、王さまのところへきた学者がいいました。
「王子さま。神さまのかいた魔術の本を、ほしくはないですか?」
「ほしい! どんな魔術なの? 本はどこにあるの?」
「本には呪文(じゅもん)が書いてあり、はじめのをとなえると、山や海に魔法がかけられます。つぎをとなえると、死んでも地の底で生きられるのです。その本は、ネフェルカプタハ王子のお墓の中にあります」
 王子のサトニは、すぐに王さまのところへとんでいって、この話しをしました。
「ぼく、神さまのかいた魔術の本がほしいんです。どうか、弟と行かせてください」
 すると王さまは、ニッコリわらっていいました。
「では、気をつけていきなさい」
 サトニがよろこんでへやからでてくると、さっきの学者がきました。
「王子さま。用心しないとあぶないですよ。このほこと、たいまつをもっていってください」
「うん。ありがとう」
 サトニと弟のアンハトホルラーはしたくをすると、教えてもらった墓場へつきました。
「これはすごい数だ!」
「そうだね。さがすのが、たいへんだよ」
 二人は順番に調べていきましたが、ネフェルカプタハ王子のお墓は、なかなか見つかりません。
 つぎの日も、一日さがしましたが見つかりません。
 でも、とうとう三日目のあるとき、
「あっ、あった! ここに、ネフェルカプ夕ハ王子の墓とかいてある」
「でも、どうやって中へはいるの?」
「大丈夫。ぼくにまかせて」
 サトニが呪文をとなえると、目の前の地面がバカッとわれました。
「さあ、はいるんだ」
 お墓の中は、まるで大広間のようでした。
 たいまつの火でてらしながら、サトニとアンハトホルラーはすすんでいきます。
「おや? あそこにあかりがみえる」
 近づくと、死んだ人間のミイラが三つならべてありました。
 ミイラのあいだには、本がみえます。
「あれが、神さまのかいた魔術の本だな」
 サトニが本をとろうとすると、そばのミイラが、きゅうにたちあがりました。
「だれだ! これは、とってはいけない」
「ぼくは、ウシルマリ王の王子、サトニだ。悪いが、この本をもらっていくぞ」
 サトニが、本を持っていこうとすると、
おねがい。もっていかないで。わたしは、ネフェルカプタハ王子のきさきです。王子が神さまの本をほしがったために、わたしたち親子三人は、地上での命をなくしてしまったのですから」
 おきさきは、かなしそうにたのみました。
「どんなめにあったの?」
「王子は、神さまの本がコプトスのちかくのナイル川のそこにあるときいたのです。それで、わたしもついていきました」
「それから、どうしたの?」
「コプトスにつくと、王子は人形の水夫(すいふ)を作りました。呪文をとなえると人形はうごきだして、川をさがしはじめたのです。そして三日目に、本のはいっている金のはこをもってあがってきたのです」
「それは、すばらしい」
「王子はよろこんで、川ぎしにかえっていきました。でも、わたしと子どもは神さまのいかりで、川におとされてしまったのです。かなしんだ王子は、たいせつな本をだいて水にとびこみました。それで三人は、こうして本とお墓にいるのです。ですから、どうぞもっていかないでください」
「うーん。それは気のどくだが、ぼくは神さまの魔法が知りたいんだ。悪いけど、本はもらっていくよ」
と、いって、サトニが手をだそうとすると、となりの男のミイラが、ガバッと、おきあがりました。
「サトニよ。きさきがいま、わたしたちのかなしいはなしをしたのに、それでももっていくというのか? ・・・だったら、イヌしょうぎできめよう。もしきみがかったら、本はあげよう」
 二人は、しょうぎばんのまえにすわりました。
 でも、ネフェルカプタハ王子のつよいこと。
「サトニ、きみのまけだ。バツとして、あなにはいるんだ」
 ネプェルカプタハは、土の中にサトニを足までおしこみました。
「おにいさん、しっかりして」
 そばから、弟がおうえんします。
「よし、こんどこそ勝つからな」
 サトニは、二度目のしょうぶをやりました。
 でも、またまけたのです。
 こんどは、腰までおしこまれました。
 次の三度目もサトニのまけで、耳までうめられました。
 これ以上、もうジッとしてはいられません。
「アンハトホルラー。すぐおしろへかえって、まじないのおふだをもってきて」
 弟は大急ぎでまじないのふだをもってきて、おにいさんのむねにあてました。
「これで、だいじょうぶ」
 サトニはふしぎな力で、スポッと土の中からぬけだしました。
「それ、にげろ!」
 サトニは神さまの本をつかむと、弟と一緒に、お墓からにげだしました。
 するとあたりがまっ暗になり、お妃が、ワッとなきだしました。
「かなしがらなくてもいいよ。本は、いまにきっととりかえしてみせるから」
 王子のネフェルカプ夕ハがいいました。
 さて、お墓のそとにでたサトニは、あなをしっかりうめました。
「よかったね、おにいさん」
「ありがとう、アンハトホルラー。たすけてもらったおかげで、とうとう本をもってこられたよ」
 二人はよろこんでお城へかえると、王さまにすっかりはなしました。
「その本かね。では、すぐお墓へかえしにいってきなさい。かえさないと、あのかしこい王子が、きっととりかえしにやってくるからね」
「いいえ、かえしたりしません。せっかくじぶんのものになったのに。とりかえしにきたら、まけずにたたかいます」
 いく日かたって、サトニは召使いをつれて、神殿へいきました。
 すると美しい少女が、侍女をつれておまいりにきました。
「きれいな姫だなあ。いったいだれだろう?」
 サトニは聞くと、召使いが答えました。
「テブブともうします。お父さんは、オンクトの町にある神殿で、女神をまつっておられるそうです」
「じゃ、あってほしいといってきてくれ」
 しばらくして、召使いは帰ってきていいました。
「どうぞ、うちへおいでくださいといわれました」
 サトニがさっそくでかけると、テブブが笑顔で出むかえます。
「おまちしていました。王子さま」
 とおされたのは、宝石でかざられたへやでした。
「どうか、ぼくのお嫁さんになってください。それをおねがいにきました」
 サトニがいうと、テブブは、またニッコリわらいました。
「はい。わたしも王子さまのお嫁さんにしていただくのは、うれしいですわ」
「よかった。本当にありがとう」
 それからテブブは、金のさかずきにお酒をついで、サトニにのませました。
 よってねむってしまったサトニは、目がさめてハッとしました。
 服がはぎとられて、台所にねています。
「これは、どういうわけだ?」
 おどろいてあたりをみまわしていると、りっぱな男があらわれました。
「サトニ、これは警告(けいこく)だ。はやく本を返さないと、この次はもっとおそろしい目にあうぞ」
 お城へかえったサトニは、このできごとを王さまにはなしました。
「だから、注意をしておいたではないか。あの神さまの本を、かえさないからだよ。さあ、はやく本をかえしてくるのだ。いつまでも持っていると、いまに殺されるかもしれない。さあ、すぐいきなさい」
「はい。おしいけれど、かえしてきます」
 あきらめたサトニは、神さまの本を持って、お墓におりていきました。
 するとまっ暗だったあたりが、パッとあかるくなりました。
「おや、サトニがきましたよ。神さまが、つれてきてくださったのですわ」
 お妃のミイラが、うれしそうにいいました。
「やっぱり、本がかえってきたね」
 ネフェルカプタハも、よろこんでわらいだしました。
「ごめんなさい。どうか、ゆるしてください」
「いや、いいんだよ、サトニ」
 三人はなかなおりをしました。
 それからサトニは、入ってきたあなを、しっかりうめてかえりました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日国際連合デー
きょうの誕生花 → コトネアスター(べにしたん)
きょうの誕生日1973年 ゴリけん(芸人)




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きょうの世界昔話 → 魔術の本
きょうの日本民話 → 弘法井戸
きょうのイソップ童話 → オオカミとヤギ
きょうの江戸小話 → ネズミの嫁入り


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10月23日の世界の昔話 ロバの王子


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10月23日の世界の昔話



ロバの王子



ロバの王子
グリム童話 → グリム童話の詳細


 むかしむかし、あるところに、王さまとお妃(きさき)とがすんでいました。
 二人はお金持ちだったので、なんでもほしいものはもっていましたが、ただひとつ、子どもというものがありません。
 そのことをお妃はなげいて、
「わたしは、なにもはえない畑みたいなものだわ」
と、口ぐせのようにいうのです。
 だけど、神さまがお妃の願いをかなえてくださる日がやってきました。
 ところがいよいよ子どもが生まれてみると、それは人間の子どもではなくて、ロバの子だったのです。
 お妃はこんどこそは、ほんとうになげきかなしんで、
「ロバの子が生まれるくらいなら、いっそ子どもなんかないほうがまし。この子は川ヘなげこんで、魚に食ベさせてしまってください」
と、いったのです。
 でも王さまは、いいました。
「いや、そんなことはいけない。神さまがおさずけになったのだから、これでもやっぱりわしの世つぎの息子じゃ。わしが死んだあとは、とうぜん玉座(ぎょくざ)について、王さまのかんむりをいただくベきものじゃ」
 こうしてロバの王子はそだてられることになり、やがて大きくなりました。
 このロバの王子はとっても明るい子で、いつもそこらじゅうをはねまわっています。
 また、音楽が大すきで、あるとき有名な楽師(がくし)のところへいくと、
「わたしをあなたの弟子にして、あなたみたいにリュートがうまくひけるようにおしえてください」
と、いいました。
「ざんねんながら、若さま、それはむつかしいことでございましょう。あなたのお指は、とうていリュートをひくようにはできていません。大きすぎます、とても絃(げん)がもちますまい」
 こういって楽師はこたえましたが、ロバの王子は、どうしてもリュートがならいたいというのです。
 こうしてリュートをならうことになった王子は、それはそれはいっしょうけんめいに練習して、しまいには先生とおなじくらいうまくひけるようになりました。
 さてあるとき、わかい王子がなにか考えこみながらブラブラ歩いていますと、いつのまにか泉(いずみ)のそばにきていました。
 そこで泉のなかをのぞきこむと、カガミのようにすんだ水に、ロバのすがたをしたじぶんのすがたがうつっているのでした。
 それを見ると、王子はすっかりなさけなくなって、おともをただ一人つれて旅にでてしまいました。
 二人はあちこちさまよいまわったあげく、やがて年とった王さまのおさめる国ヘきました。
 その王さまには、ビックリするほど美しいお姫さまがいます。
「ぼくらは、ここに足をとめることにしよう」
 ロバの王子は正門をたたいて、大きな声でよびました。
「お客さまのおつきだぞ。門をあけておとおしもうせ!」
 でも、門はあきませんでした。
 すると王子は、そこヘこしをおろしてリュートをとりだすと、二本の前足で、それはみごとにかきならしました。
 ビックリした門番は、王さまのところヘ走っていきました。
「門のまえにロバの子がおりまして、リュートをそれはみごとに、まるで名人のようにひいております」
「そうか、それならばその楽人をここヘとおせ」
と、王さまはいいました。
 ところが、入ってきたのはロバの子ですから、みんなはこのリュートひきをわらいものにしました。
 それでロバは、きたない下男の部屋ヘつれていかれて、そこで食事をすることになりました。
 するとロバは、きげんをわるくしていいました。
「ぼくは世間なみのいやしいロバではない。高貴の生まれなのだぞ」
 そうするとみんなは、
「そんならおまえは、兵隊のなかまになりな」
と、いいました。
「いや、ぼくは王さまのおそばにすわるんだ」
 こうロバがいうと、王さまは笑いながら、
「そうか。ではおまえののぞみどおりにしてやろう。ロバや、わしのそばヘおいで」
と、上機嫌にいいました。
 そして聞きました。
「ロバや、わしの娘をどう思うな」
 ロバはお姫さまをジッと見つめると、こっくりとうなずきました。
「これほど美しいかたには、まだおめにかかったことがございません」
「そうか、では姫のそばヘすわるがよい」
「はい。それこそ、わたしにふさわしいことでございます」
 ロバはこういって、お姫さまのそばにすわって食ベたりのんだりしましたが、そのふるまいはいかにも上品なので、王さまはとても気に入りました。
 こうしてロバは、かなり長いあいだ王さまのご殿にとどまっていましたが、やがて、
(こんなことをしていてもなんにもならない。そろそろ、うちヘかえらなくては)
と、考えました。
 そして、かなしそうに頭をたれて王さまのまえヘでると、おひまをいただきたいとおねがいしたのです。
 けれども王さまは、このロバがすっかりすきになっていました。
「ロバや、いったいどうしたのだ。わしのそばにいるがよいぞ。おまえののぞみのものはなんでもあげよう。金貨がほしいのか?」
「いいえ」
 ロバは首をふりました。
「では、りっぱな道具やかざりがほしいのか?」
「いいえ」
「わしの国でも半分ほしいのか?」
「いいえ、とんでもないこと」
「そうか。おまえを満足させるものが、なにかあるといいのだがな。・・・そうだ、わしのきれいな娘を、よめにもらいたくはないか?」
 すると、
「はい、お姫さまをいただきとうぞんじます!」
 それこそロバが、まえまえからのぞんでいたことでした。
 こうして、それはすばらしい結婚式があげられました。
 やがて夜になると、花よめと花むこは寝室へ案内されていきました。
 ロバのすることが、今夜もちゃんと礼儀にかなっているかどうか知りたいと思った王さまは、一人の家来に、寝室にかくれているようにいいつけました。
 さて、二人が寝室に入りますと、花むこは戸口にかんぬきをさしてから、あたりを見まわしていましたが、花よめとただ二人だけだと思うと、いきなりロバの皮をぬぎすてました。
 するとそこに立っているのは、いかにも美しくて上品な一人の若者でした。
「ぼくがどういう人間だかわかりましたね。これならあなたにだって、そうつりあわないこともないでしょう」
 それを見ると、花よめは大よろこびで、おむこさんにキスをしました。
 しかし、つぎの朝になると、おむこさんはとびおきるなり、またロバの皮をきてしまいます。
 やがて、年とった王さまがやってきました。
「おまえはちゃんとした人間を夫にもたないで、さぞ、かなしくているのだろうね」
 するとお姫さまは、首を横にふって、
「どういたしまして、おとうさま。わたし、あの人を世界一美しい人のように愛していますわ。そうして、一生つれそおうと思っていますのよ」
 王さまはこれをきいて、ふしぎに思いましたが、そこヘかくれていた家来がでてきて、見たことをすっかり話しました。
「そんなことが、あるのだろうか」
「それならば、今夜はごじぶんで見はっていてごらんなさいまし。きっとその目でごらんになりますでしょう。ところで王さま、あの毛皮をとりあげて火にくベてしまったら、あのかたはほんとうのすがたになるのではございませんか」
「なるほど、うまい考えじゃ」
 王さまは夜になって若夫婦がやすむと、こっそりと寝室ヘしのびこみました。
 寝台に近づいてみると、月の光をあびて、いかにもりっぱな若者がやすんでいて、ぬいだ毛皮が床の上においてあるではありませんか。
 王さまはそれをとると、火の中になげこんで、すっかり灰にしてしまいました。
 朝になり、王子は毛皮をさがしましたが、どこにも毛皮がありません。
 王子はおどろいて、いかにも心配そうにしょんぼりしていいました。
「いよいよ、ぼくはここをにげださなくちゃならないのだな」
 こうして王子がそとヘでると、そこには王さまが立っていて、おっしゃるのでした。
「息子や、そんなにいそいでどこヘいくのだ。なにを考えているのだ? ここにおいで。おまえはほんとうにりっぱな人間だ。わしをすてていってはいけないよ。わしはこれからおまえに国の半分をやろう。そして、わしが死んだら全部をうけつぐのだ」
 そこで年とった王さまは、王子に国の半分をやりました。
 それから一年すると、王さまがなくなりましたので、王子は国のぜんぶをおさめました。
 やがてじぶんの国の王さまもなくなって、二つの国を治める王さまになったということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日電信電話記念日
きょうの誕生花 → あけび
きょうの誕生日1973年 はしのえみ(タレント)


きょうの新作昔話 → 小クラウス、大クラウス
きょうの日本昔話 → 化け上手
きょうの世界昔話 → ロバの王子
きょうの日本民話 → しょうじにうつる大ギツネ
きょうのイソップ童話 → 同じ重さの荷物をはこぶロバとラバ
きょうの江戸小話 → ウシ


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10月22日の世界の昔話 トム・ティット・トット


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10月22日の世界の昔話



トム・ティット・トット



トム・ティット・トット
イギリスの昔話 → イギリスの国情報


 むかしむかし、美人だけど食いしん坊でおっちょこちょいの娘と、そのお母さんがすんでいました。
 ある日、お母さんがパイを五つ焼きました。
 ところが焼きすぎてしまって、パイの皮がかたくなってしまったのです。
 そこで、お母さんは、
「娘や、このパイのやわらかさがもどってくるまで、棚(たな)にならべておいておくれ」
と、娘にいいつけました。
 けれども娘は、かんちがいをして、
「あら、パイがもどってくるなら、わたしが食べてもだいじょうぶね」
と、五つのパイを、みんな食べてしまいました。
 晩ごはんの時、これを知ったお母さんはガッカリです。
 お母さんは糸車をもち出すと、糸をつむぎながら歌い出しました。
♪うちの娘が、食ベちゃった
♪パイを五つも、食べちゃった
 そこへ、王さまが通りかかって、
「これこれ、いま、なんと歌っていたのだ?」
と、たずねました。
 お母さんは、本当のことを知られてははずかしいので、あわてて歌を歌いかえました。
♪うちの娘が、つうむいだ
♪糸を五かせも、つうむいだ
 かせとは、ワタやアサからつむいだ糸をまく道具のことで、ふつうの人には、一日に一かせも糸をつむぐことはできません。
 王さまは、すっかり感心して
「一日に五かせも糸をつむぐとは、すばらしい娘だ。ぜひ、わしのおきさきにもらいたい。おきさきになったら、一年のうち十一ヶ月は、なんでもすきなことをやらせてやろう。だが、さいごのひと月だけは、毎日、五かせの糸をつむいでもらおう。もしできなければ、娘は殺してしまうぞ」
 お母さんは、よろこんでしょうちしました。
 結婚してしまえば、糸をつむぐ約束など、なんとかなると思ったからです。
 こうして娘は、おきさきさまになりました。
 美しい服に、おいしいごちそうに、たくさんのめしつかい。
 娘は十一ヶ月のあいだ、本当に幸せでした。
 ところが、その十一ヶ月もさいごの日になると、王さまは娘を、これまで見たこともない部屋につれていきました。
 そこには糸車が一台と、イスがひとつあるだけでした。
 王さまは、娘を部屋に入れると、
「明日から、この部屋で糸をつむぐのだ。夜までに五かせの糸をつむがないと、首をきってしまうからな」
と、いって、出ていってしまいました。
「どうしよう? ・・・わたし、糸なんてつむげないのに」
 娘がシクシクないていると、だれかがトントンと、まどをたたく音がします。
 娘がまどをあけると、長いしっぽをはやした、小さな小オニがたっていました。
「なんでないているんだい? おれが力になってやってもいいよ」
と、小オニが、いいました。
 そこで娘は、思いきって今までのことをみんなはなしました。
「よし、おれが糸をつむいでやるよ。毎朝、アサをもっていって、夜までには五かせの糸にしてきてやろう」
 小オニはそういってから、ニヤリとわらいました。
「そのかわり、ひと月のうちにおれの名まえをあててみろ。毎晩、三回ずついわせてやるからな。あたらなかったら、おまえはおれのお嫁さんになるんだ」
(ひと月のうちなら、名まえくらいあてられるでしょう)
と、思った娘は、小オニのいうことをしょうちしました。
 つぎの日、娘は一日分のアサと食事といっしょに、部屋にとじこめられました。
 トントン。
 さっそく、まどをたたく音がします。
 娘がまどをあけると、あの小オニがたっていました。
 小オニはアサをうけとると、すぐにすがたをけしましたが、夜にはちゃんと、五かせの糸にしてもってきました。
「さあ、おれの名まえをあててみろ」
「ビル? それともネッド? もしかしてマーク?」
 娘は三つの名まえをいいましたが、あたりません。
 小オニはうれしそうに、しっぽをクルクルまわすと、出ていってしまいました。
 それからは毎朝、小オニがやってきて、アサを五かせの糸につむいできてくれました。
 でも、どうしても名まえはあたりません。
 娘はだんだん、こわくなってきました。
 さて、いよいよ明日がさいごの日です。
「明日の夜を、楽しみにしてるぜ」
と、いって、小オニは帰っていきました。
 そのあと、王さまがやってきていいました。
「まいにち、よくがんばったな。これでわしも、おまえを殺さずにすみそうだ。それはそうと、おまえのつむぐ糸は評判がよいぞ。おまえのようなはたらき者の妻(つま)がいて、わしも鼻が高い。ほうびに糸をつむぐのは今日が最後で、今後は一生、糸をつむがなくともよいぞ。さて、今夜はここで、おまえと食事をしよう」
 その食事の時に、王さまは急に思い出しわらいをしていいました。
「わしは今日、狩りにいって、おかしなものを見たぞ。小さな穴の中で、小オニが糸車をまわしているんだ。そいつはわしに見られているとも知らず、長いしっぽをふりながら歌っておった。『ミニー、ミニー、ノット、おれの名まえは、トム・ティット・トット』とな」
 これを聞いた娘は、どんなにうれしかったことでしょう。
 もう、小オニのお嫁さんにならなくてすみます。
 つぎの日の夜になりました。
 小オニは娘に糸をわたすと、ゾッとするようなわらい顔でいいました。
「さあ、おれの名まえをあててもらおうか」
「ソロモンかしら?」
 娘は、わざとまちがえていいました。
「ちがう、ちがう」
「それなら、ゼベダイ?」
 娘はまた、わざとまちがえていいました。
 小オニは娘がふたつもまちがえたので、うれしそうにいいました.。
「ちがう、ちがう。さあ、あとひとつだ。今度まちがえたら、おれのお嫁さんになるんだぞ」
 小オニは、うれしそうにしっぽをまわしながら、娘のそばに近づいてきました。
 すると娘は、わらいながら小オニを指さしていいました。
「ミニー、ミニー、ノット、おまえの名まえは、トム・ティット・トットね」
「ウギャー! なぜ、わかったんだー!」
 小オニはさけぶと、暗やみの中ににげていきました。
 そしてそれを、とびらのすき間からのぞき見していた王さまは、まんぞくそうにほほえみました。


おしまい


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