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7月31日の世界の昔話 青ひげ


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 7月の世界昔話


7月31日の世界の昔話



青ひげ



青ひげ
ペローの童話 → ペローの童話の詳細


 むかしむかし、大きなおやしきに、ひとりの男の人がすんでいました。
 この人は、お屋敷のくらの中にお金や宝石をたくさんもち、いろいろなところに別荘をもっている大金持ちです。
 でも、青いひげがモジャモジャとはえた、とてもこわい顔をしているので、人々から『青ひげ』とよばれてきらわれていました。
 そしてもうひとつ、青ひげには、ヘんなうわさがありました。
 それは、今までに六人もおくさんをもらったのに、みんなどこかへいなくなってしまうという、うわさでした。
 ある時、青ひげは近くにすむ美しい娘を、お嫁さんにしたいと考えました。
 そこで娘とそのお母さんや兄弟たち、それに友だちもよんで、おいしいごちそうをしてもてなしました。
 みんなは別荘にとまり、何日も何日も、散歩やダンスやつりをして、楽しくすごしました。
 そのあいだ、青ひげはいっしょうけんめいニコニコと、やさしい顔をしていました。
 しばらくすると、娘は青ひげのお嫁さんになってもいいと言いました。
 青ひげは大喜びで、すぐに結婚式(けっこんしき)をあげたのです。
 ある日、青ひげはおくさんをよんでいいました。
「わたしは、明日から大切な用があって旅に出かけることになった。だから、あなたにやしきのカギをあずけていこう」
 そういって、カギのたくさんついているたばをとり出しました。
「これは、家具の入っているくらのカギ。これは、金や銀の食器の棚のカギ。これは、宝石箱のカギ。わたしのるすのあいだ、たいくつだったら、このやしきにいくら友だちをよんでもかまわないし、どの部屋に入ってもかまわないよ。ただし・・・」
 青ひげは急にこわい目をして、おくさんをジロリと見ました。
「この小さなカギだけは、使わないように」
「はい。でも、これはいったいどこのカギなのですか?」
 おくさんがたずねると、青ひげはこたえました。
「ろうかのつきあたりの小さな部屋のカギだ。いいな。その部屋には、ぜったいに入ってはいけないぞ」
「わかりました」
 こうして青ひげは、つぎの日、出かけていきました。
 おくさんは、はじめのうちは友だちをよんで楽しくすごしていましたが、そのうち、たいくつになってきました。
 すると、あのいけないといわれた部屋に入りたくて、たまらなくなりました。
「だめ、いけないわ。
 ・・・いけないかしら。
 ・・・少しだけなら。
 ・・・大丈夫よね。
 ・・・大丈夫よ」
 おくさんは、小さなカギで小さな部屋のドアを開けてしまいました。
「あっ!」
 中を見たおくさんは、ドアのところに立ったまま、ガタガタとふるえだしました。
 部屋のかべには、たくさんの女の人の死体がぶらさがり、ゆかには血がベッタリと、こびりついていたのです。
 それはみんな、青ひげのまえのおくさんたちでした。
「ただいま」
 そこへ、青ひげが帰ってきたのです。
 おくさんはビックリして、カギをゆかに落としてしまいました。
 おくさんはあわててカギをひろうと、ドアにカギをかけて青ひげのいる玄関にいきました。
「お、お、おかえりなさい」
 おくさんを見た青ひげは、ニッコリ笑いました。
「やあ、すっかり、おそくなってしまったね。・・・おや、どうしたんだい? そんなにふるえて」
「い、いえ、べ、べつに」
 ガタガタとふるえるおくさんを見た青ひげは、急にこわい顔になっていいました。
「わたしていたカギを、出してもらおう」
「はっ、はい」
 おくさんがふるえる手で差し出したカギを見た青ひげは、キッ! と、おくさんをにらみつけました。
 カギには、あの部屋で落としたときについた血が付いていたのです。
「・・・いけないといったのに、やっぱり見たんだな」
「ゆるしてください、ゆるしてください」
 おくさんは青ひげのまえにひざまずいて、ないてあやまりました。
 でも青ひげは、ゆるしてくれません。
「おまえは悪い女だ。・・・殺してやる!」
「ゆるしてください、ゆるしてください」
「・・・では、お祈りの時間だけまってやろう」
「ああ、神さま・・・」
 おくさんは、必死で神さまにお祈りします。
 青ひげは刀をぬくと、お祈りをしているおくさんの首をきろうとしました。
 ちょうどその時、玄関のドアがひらいて、ふたりの男の人が入ってきました。
 おくさんのふたりのお兄さんたちが、運よく妹をたずねてきたのです。
 ふたりは妹が首をきられそうなのをしって、すぐに青ひげにとびかかって、殺してしまいました。
 死んだ青ひげには、ほかに、しんせきがいなかったので、お屋敷や別荘、お金や宝石は、ぜんぶおくさんのものになりました。
 おくさんは、それからはずっと幸せにくらしたということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日蓄音機の日
きょうの誕生花 → やなぎらん
きょうの誕生日1967年 本田美奈子(歌手)


きょうの新作昔話 → ネコ浄瑠璃
きょうの日本昔話 → ゆうれいの酒盛り
きょうの世界昔話 → 青ひげ
きょうの日本民話 → 鳥になったかさ屋
きょうのイソップ童話 → セミ
きょうの江戸小話 → かみなり


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7月30日の世界の昔話 オオカミ退治


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7月30日の世界の昔話



オオカミ退治



オオカミ退治
フランスの昔話 → フランスの国情報


 むかしむかし、キツネがウナギをくわえてうちへかえってきますと、おかみさんと子どもたちがおなかをすかせてまっていました。
「ああ、きょうはごちそうだあ」
 子ギツネたちは大よろこびで、くしにさしたウナギが火の上でやけるのを見ていました。
 ところがこのとき、うちのまえをオオカミがとおりかかりました。
「おや? クンクンクン、いいにおいだな」
 おなかがペコペコのオオカミは、キツネの家へはいろうとしましたが、キツネは戸口をしっかりとしめているので、はいることができません。
「おいおい、キツネくん、あけてくれよ。いいはなしがあるんだ」
 キツネはその声をきいただけで、森の王さまだなとおもいました。
 らんぼうもののオオカミは、王さまというあだながついているのです。
 子ギツネたちはこわがって、ブルブルとふるえました。
「はやくあけてくれよ」
と、オオカミは戸をたたきます。
「だれだい?」
と、キツネがききかえしますと、
「おれだよ」
「おれって、だれだい?」
「なかまのものだよ」
「ほう、わたしはドロボウかなと、おもいましたよ」
「いや、ちがうよ。あけてくれ」
「だめです。きょうはお坊さんがうちにくる日です。お坊さんでないかたは、かえっていただきます」
「じゃあ、いますぐお坊さんになるよ」
「では、お坊さんになるしょうこを見せてください。それにはまず、あたまのけをそらないといけませんよ」
 オオカミはしばらくかんがえて、いいました。
「それもそうだな。じゃあ、ちょっとあたまをそってくれないか?」
「では、戸口にあながあいているので、そこにあたまをつけてみてください。わたしがあたまをそってあげたら、はいってもいいですよ」
「それでは、そうしよう」
と、オオカミは戸口のあなに、あたまをおしつけました。
(よし、いまだ!)
 キツネは、にえたぎっているおゆを、ザーッとオオカミのあたまにかけました。
「うわーっ、あつい、あつい!」
 オオカミはなきべそをかきながら、いのちからがらにげていきました。
「子どもたちよ。オオカミ退治はこうするんだよ」
 キツネがそういいながら子どもたちのほうを見ると、子どもたちはまんぞくそうに、おなかをさすっています。
 お父さんがオオカミ退治をしているあいだに、子どもたちはごちそうのウナギをぜんぶたべてしまったのでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日プロレス記念日
きょうの誕生花 → にちにちそう
きょうの誕生日1928年 荒井注(俳優)


きょうの新作昔話 → ネコ浄瑠璃
きょうの日本昔話 → 鏡の中の親父
きょうの世界昔話 → オオカミ退治
きょうの日本民話 → かえってきたなきがら
きょうのイソップ童話ライオンとイノシシ
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7月29日の世界の昔話 ハンスとカエルの嫁さん


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7月29日の世界の昔話



ハンスとカエルの嫁さん



ハンスとカエルの嫁さん
ドイツの昔話 → ドイツの国情報


 むかしむかし、ある小さな美しい村に、お母さんと三人の息子が住んでいました。
 お母さんは、住んでいるこの家を三人の息子のうち、誰にあげようかとまよっていました。
 一番上の息子は、とても勉強ができましたが、働くのはあまり好きではありません。
 二番目の息子は、とてもよく働くのですが、ひどいケチでした。
 三番目の息子は、とてもやさしいのですが、おひとよしで、すぐにだまされてしまいます。
 お母さんはある日、いいことを思いつきました。
 さっそく息子たちをよぶと、お母さんは三束の亜麻(あま→アマ科の一年草)を一束ずつ手渡して言いました。
「お前たち、この亜麻を好きな娘さんにつむいでもらいなさい。一番上手につむいで、いい織物(おりもの)をこしらえた娘さんを連れてきた息子に、この家をゆずろうと思うの」
「そりゃあ、いい考えだ!」
 一番上の息子と二番目の息子は、亜麻の束を持ってすぐに家を飛び出して行きました。
(ぼくの好きな娘は、つむぐのが上手だからね。家があれば、結婚してもちょっとだけ働けばいいんだ、あとは好きな勉強ができるぞ)
 一番上の息子はそう思い、二番目の息子は、
(俺の好きな娘はつむぐのが早いのさ。おまけに金持ちだから、俺が家さえ持っていれば、金をどっさり持って嫁に来てくれるだろう)
と、思ったのです。
 でも、三番目の息子は、しょんぼりと亜麻の束を持って家を出ました。
(ぼくには好きな娘もいないし。・・・こまったなあ)
行く所もないので、いつもの散歩道(さんぽみち)の沼地(ぬまち)をブラブラしていると、どこからか、しゃがれた声がしました。
「ハンス、何かお困りかい? ケロ」
「だれだ?」
 立ちどまってあたりを見ると、小さな木のしげみから、一匹のヒキガエルが飛び出して来たのです。
 ヒキガエルは、丸い目でハンスを見つめていいました。
「ハンス、どうしたの? ケロ」
 ハンスはおどろいて、言いました。
「ヒキガエルが、しゃべった!」
「ビックリしなくても大丈夫だ。ケロ。それより、なにを困っているんだ? ケロ」
 そう言われてハンスは、
「まあ、ヒキガエルに話しても仕方ないけど。じつは・・・」
と、お母さんに言いつけられたことを話して聞かせました。
 するとヒキガエルは、ハンスのひざに飛びのって言いました。
「それじゃあ、ハンス。わたしにやらせてよ。ケロケロ。わたしが一番なら、ハンスの花嫁さんね。ケロ。教会結婚式には、白い花嫁衣装を用意して待っててね。ケロ。約束よ。ケロケロ」
 ヒキガエルがあまりにうれしそうに言うので、ハンスはつい、亜麻の束を渡してしまいました。
 ヒキガエルは亜麻の束を抱えると、木のしげみをはねまわり、どこかへ行ってしまいました。
「ああ、行っちゃった。それにしても、俺はなんてまぬけなんだろう。カエルなんかにあげちまったら、あの家をすてたも同じじゃないか」
と、ハンスはかたをガックリと落としました。
 次の日、ハンスが沼地へ出かけて行ってビックリ。
 小さな木のしげみに、フワリと大きな花がさいたような、きれいな織物がかかっているではありませんか。
 手にとってながめると、なんだか心の中があたたかくなり、誰でもひとめみたらほほ笑んでしまうほどのできばえです。
 ハンスはその織物を持って、家にもどりました。
 お母さんは、そのハンスの持ってきた織物をひとめ見たとたんにこう言いました。
「ハンスの織物が一番上等だよ。この家は約束どおり、ハンスにあげましょう。さあハンス、お前の花嫁さんを連れておいで。花嫁衣装を用意して、教会で式をあげましょう」
「あ、それが、その・・・」
 ハンスは、何と答えたらよいかこまってしまいました。
「さあ、なにをグズグズしているの。はやく連れておいで」
 お母さんにせかされたハンスは、花嫁衣装(はなよめいしょう)の用意をして教会へ行き、牧師(ぼくし)さんに結婚式のお願いをしました。
 一番上の息子も、二番目の息子も、上手な織物を持ってきましたが、ハンスの持ってきた織物にはかなわなかったのです。
 二人ともハンスが家をもらうのをとてもくやしがり、なんとか花嫁が来ないことをいのりました。
 夕方になり、村の人が教会に集まって、結婚式が始まりました。
 でも、牧師さんの前に立っているのは、ハンス一人です。
 村の人たちは、ヒソヒソ言いました。
「花嫁は、どうしたのかね?」
 二人の兄さんは。顔を見合わせてニヤリと笑いました。
「このまま花嫁が来なけりゃ、この結婚はなかったことになるぞ」
「それに、お母さんとの約束もなかったことになるぞ」
 ハンスは恥ずかしくて恥ずかしくて、どこかへ逃げてしまいたい気持ちです。
 このまま花嫁がいないのも恥ずかしいし、もしきても、ヒキガエルの花嫁と結婚するのも恥ずかしいし。
 どっちにしても恥ずかしくて、ハンスはヒキガエルに亜麻の束を渡したことをくやみました。
 そのとき、教会の扉(とびら)が開きました。
 村の人たちは、いっせいにふりかえります。
 扉を押してはいって来たのは、あのヒキガエルでした。
 ヒキガエルは、ピョンピョン飛びはねながらハンスと牧師さんの方へやって来ました。
 そして、ハンスと牧師さんにペコリと頭を下げてあいさつをすると、花嫁衣装のある控室(ひかえしつ)に行ったのです。
 ハンスはヒキガエルのあとを追いかけました。
 するとヒキガエルは、ハンスの目の前で花縁衣装に飛び込んだのです。
「あっ!」
 なんと、ヒキガエルが花嫁衣装に飛び込んだとたん、花のようにかわいらしい娘さんの姿になったのです。
 娘さんがハンスに言いました。
「ありがとう。ハンスさんが私を花嫁にしてくれたので、悪い魔法がとけました。さあ、結婚式をはじめましょう」
 娘さんとハンスは結婚して、幸せに暮らしました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 肉の日
きょうの誕生花 → ダリア
きょうの誕生日1947年 せんだみつお(タレント)


きょうの新作昔話 → 小野小町のどくろ
きょうの日本昔話 → しっぺ太郎
きょうの世界昔話 → ハンスとカエルの嫁さん
きょうの日本民話 → 十数えてごらん
きょうのイソップ童話旅人と真実の女神
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7月28日の世界の昔話 人魚のしかえし


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7月28日の世界の昔話



人魚のしかえし



人魚のしかえし
デンマークの昔話 → デンマークの国情報


 むかしむかし、北のつめたい海に、一人のうつくしい人魚(にんぎょ)がすんでいました。
 この人魚は五頭のウシを飼っていて、とてもだいじにしていました。
 人魚は毎日、ウシを近くの島までつれていっては、おなかがいっぱいになるまで草を食べさせてやりました。
 ところでこの島には、ちょっといじわるな人間たちが住んでいました。
 その人たちは、
(この島の草は、人魚の飼っているウシになんか食わせてやりたくないな)
と、思っていましたから、ある時とうとう、人魚の飼っているウシをとってしまいました。
「わたしのウシをかえしてください!」
 人魚はないて、人間たちにたのみました。
「いやだね。かえすもんか。でも、おまえがこしにまいている帯(おび)をくれたら、ウシをかえしてやる」
「だけど、この帯は人魚だけしか使うことができないんです。人間が持っていても、少しも役に立たない帯ですよ」
「うそをつくな! その帯には宝石がたくさん付いているじゃないか。その宝石があったら、おれたちは大金持ちになれる。さあ、ウシをかえしてやるから帯をよこせ!」
 人魚はウシをとてもかわいがっていましたから、帯を人間たちに渡して、ウシをかえしてもらいました。
 でも、なんだかくやしくてたまりません。
 そこで島の海岸まできたところで、ウシに言いました。
「さあ、砂をほって、いじわるな人間たちにしかえしをしてやりなさい」
 ウシたちは砂をツノでつついたり、足でけったりしはじめました。
 砂が風でまいあがり、いじわるな人間たちの住んでいる村の方へ飛んでいきました。
 そして、人間たちの家をうめてしまいました。
 あわててにげだした人間たちは、
「ふん! こっちには宝石のいっぱいついた帯があるんだ。これがあれば、他の村で大きな城だってたてられるさ」
と、ニコニコ顔です。
 でも、人魚からとりあげた帯をよく見ると、宝石など1つもついていません。
 いつまのにかその帯は、ただのコンブにかわっていたのでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日花火の日
きょうの誕生花 → スズラン
きょうの誕生日1955年 村上ショージ (タレント)


きょうの日本昔話 → おいてけぼり
きょうの世界昔話 → ヒツジ飼いの少年
きょうの日本民話 → うそ五ろうとはねおうぎ
きょうのイソップ童話ビーバー
きょうの江戸小話 → みょうが宿


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7月27日の世界の昔話 ネコとヒョウ


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7月27日の世界の昔話



ネコとヒョウ



ネコとヒョウ
中国の昔話 → 中国の国情報


 むかしむかし、ネコとヒョウはおなじ家に、なかよくくらしていました。
 ネコはたいへんかしこくて、ヒョウのできないことも、みんなできました。
 ですからいつも、ヒョウにいろいろと教えてやっていました。
 ある日のこと、ネコがいいました。
「人間には火というものがあって、ものを煮(に)たり、焼いたりできるそうだ。ぼくたちも、火をもらってこようじゃないか」
「うん、それはいい考えだ」
と、ヒョウはさんせいしました。
 そこでネコは、人間の住んでいる村まで、火をもらいにいきました。
 トン、トン、トン。
「どなたですか?」
「火を、わけてください」
と、ネコはたのみました。
 おかみさんが、かまどの火を、すこしわけてくれました。
 そのとき、かまどの上からごはんの煮える、おいしそうなにおいがただよってきました。
(ああ、うまそうなにおいだ。たべたいな)
と、ネコは思いました。
 けれども家ではヒョウがまっていることを考えて、まず、火を持って帰ることにしました。
 ところが、自分の家のかどぐちまできたとき、また、さっきのごはんのことを思いだしました。
 そこでもらってきた火をもみ消して、もういちど、火をもらいにいくことにしました。
 さっきの家にもどっていきましたが、まだ、ごはんは煮えていません。
 しかたがないので、
「あのう、火がとちゅうで、消えてしまいましたので」
と、いって、もう一度、火をもらって帰ってきました。
 けれども、山の家のかどぐちまでくると、また、ごはんのことを思いだしました。
 そこでまた、火をもみ消して、もういっペんさっきの家にもどっていきました。
 こうして、なんどもなんどもおなじことをくりかえしているうちに、やっと、ごはんができあがりました。
 やさしいおかみさんは、
「さあ、おまえもおあがり」
と、いって、ごはんをほんのすこし、わけてくれました。
 ネコは、はじめてごはんをたべました。
 そのおいしいこと。
「ああ、人間はえらいなあ。火をつかって、こんなおいしいものを煮て、たべるんだもの」
と、すっかり感心してしまいました。
 そこで火は持たずに、自分の家へかけもどって、ヒョウにいいました。
「人間はえらいもんだよ、ぼくなんかより、ずっとずっといろんなことができるんだ。だからぼくは、これからは人間のところへいって、くらすことにきめたよ。きみとはもう、おわかれだ」
「いやだ!」
と、ヒョウはいいました。
 そして、ギロリと目をむきました。
 ネコはりこうで、なんでもできましたが、ヒョウのほうがからだも大きくて、力もつよいのです。
 ですからヒョウにはんたいされて、ネコはこまってしまいました。
 どうしたら、ヒョウのやつに承知させることができるだろう。
 ネコは、いっしょうけんめい考えました。
 そのうちに、ふと、いいことを思いつきました。
 ネコは、わざとニコニコしながら、
「そうそう、ヒョウくん。ぼくはきみに、まだ木のぼりを教えてあげていなかったね」
「うん、まだだ」
「じゃ、これから教えてあげよう」
「ほんとうかい」
 ヒョウは喜んで、ついてきました。
 ネコはヒョウに、木のぼりを教えました。
 ヒョウはネコのあとから、えっちらおっちら、高い木の上にのぼりました。
 するとネコは、いきなりその木から、フジのつるをめがけてパッととびうつりました。
 そしてそのまま、スルスルとすべりおりると、人間の住む村へかけていってしまいました。
 さて、ネコはヒョウに木のぼりだけ教えて、木からおりることは教えなかったので、ヒョウはおりることができず、こまってしまいました。
 おなかがすいて、グーグーなってきました。
 それでも、どうすることもできません。
 そのうちに、とうとうがまんできなくなって、ネコのやったように、フジのつるをめがけてとびつきました。
 ところがとびついたとたんにつるがきれて、ヒョウはまっさかさまに地面におちてしまいました。
 そのときヒョウは、首をいためてしまいました。
 ですからヒョウは、いまでも道を歩くとき首をあげることができませんし、木のぼりは上手でも、おりるのが下手なのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日スイカの日
きょうの誕生花 → フィソステギア
きょうの誕生日1930年 高島忠夫(俳優)


きょうの新作昔話 → お豊虫(とよむし)
きょうの日本昔話 → 母親にばけたネコ
きょうの世界昔話 → ネコとヒョウ
きょうの日本民話 → オオカミの恩返し
きょうのイソップ童話金のライオンを見つけた男
きょうの江戸小話 → カニのふんどし


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7月26日の世界の昔話 ウサギのお嫁さん


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7月26日の世界の昔話



ウサギのお嫁さん



ウサギのお嫁さん
グリム童話 → グリム童話の詳細


 むかしむかし、あるところに、ウサギがピョンピョンピョンと、はねながらやってきました。
 畑のキャベツを、食べに来たのです。
「しっ、しっ。毎日食べに来てはだめよ」
 女の子が、手をふりました。
 ウサギは赤い目をクリッとこちらへむけると、みじかいしっぽをふっていいました。
「おいで、かわいい女の子。わたしのしっぽへのっかって、わたしのおうちへいらっしゃい」
 女の子は、みじかいしっぽへのりたくなり、はしっていってのりました。
背中へ、しっかりつかまりなよ」
 ウサギはこういって、とびだしました。
 ピョンピョンピョン。
 畑をよこぎって、ウサギの家につきました。
 そして女の子を、台所へいれました。
「かわいいわたしのお嫁さん。キャベツで、お料理をつくっておくれ。わたしは、友だちよんでくるよ」
 ウサギはうれしそうに、ながい耳をふりながら、でていきました。
 まもなく、おおぜいのウサギをつれてきました。
 カラスの牧師(ぼくし)さんも、黒い服をきてきました。
 ウサギが、女の子をよびました。
「かわいいわたしのお嫁さん。お客さまがおそろいだよ。でておいで」
 女の子は、シクシクと泣き出しました。
 ウサギのお嫁さんになるのはいやだからです。
 ウサギが、またよびました。
「お嫁さん、お嫁さん。お客さまがまっているよ。はやくでておいで」
 女の子は小さなイスに、自分のボウシをかぶせました。
 自分の服もきせました。
 自分のクツしたもはかせました。
 自分の身代わりをつくろうというのです。
 そして女の子は、うらぐちからコッソリとにげだしました。
 ウサギが、またよびました。
「お嫁さん、お嫁さん。あんまりおそいと、お客さまはおかえりだよ」
「・・・」
 へんじがありません。
 ウサギは、台所へきました。
「はやくしなよ。はやくしないとだめだよ」
 ウサギは、トントントンと、お嫁さんのボウシをたたきました。
 すると、ポトンとボウシがおちました。
 スルリと、服もぬげました。
 そこにあったのは、女の子のクツしたをはいたイスだけです。
「ややっ。お嫁さんに、にげられてしまったよ」
 ウサギは、結婚式に来ていたみんなに笑われてしまいました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日幽霊の日
きょうの誕生花 → ステファノティス
きょうの誕生日1950年 萩原健一(俳優)




きょうの日本昔話 → クモおんな
きょうの世界昔話 → ウサギのお嫁さん
きょうの日本民話 → あやしい火の行列
きょうのイソップ童話 → ペテン師
きょうの江戸小話 → ろうそくちくわ


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7月25日の世界の昔話 双子の妖精


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7月25日の世界の昔話



双子の妖精



双子の妖精
フランスの昔話 → フランスの国情報


 むかしむかし、とてもゆうかんな双子(ふたご)の若者がいました。
 ある日の夕方、双子の若者が町の用事をすませて、大きな森の道を家へとむかっていると、どこからかかわいらしい笑い声が聞こえてきました。
 双子の若者が声の方に行ってみると、それは花のように美しい、双子の妖精(ようせい)でした。
 双子の妖精は、双子の若者に言いました。
「もし、私たちと結婚してくださるのなら、あなた方をとても幸せに、そしてあなた方のように、勇気のある息子をうみましょう」
 双子の若者は喜んで、兄さんは姉さんの妖精と、弟は妹の妖精と結婚する約束をしました。
 双子の妖精はうれしそうに、双子の兄弟を見つめていいました。
「夜明けまでに、森の入口にある教会へいらしてください。結婚式をあげましょう。けれども、水一滴、パン一きれ、何一つ食べずに来てくださいね。約束を守ってくださらなければ、不幸(ふこう)なことが起こります」
「わかりました。そんな約束ぐらい、なんでもありません」
 双子の若者は家にもどると結婚式の準備をして、お母さんに夕食をすすめられても、水一滴飲みませんでした。
 そして夜中の二時になると、双子の若者はこっそり家を抜け出して、約束の教会に向かいました。
 でも途中の畑の道で、弟は大ムギの一粒をとって、よく実っているかどうか歯でかんで試してみようと、口に入れてしまったのです。
 教会につくと、妹の妖精はかなしそうな顔で弟に言いました。
「ざんねんです。あなたは私との約束を守ってくれませんでした。結婚できれば私は人間の娘になり、あなたに幸せのすべてをあげられたのに」
 そして妹の妖精は、森にさしこむ月の光の中に消えてしまいました。
 弟は、悲しそうに言いました。
「私はこれから旅に出ます。兄さん、幸せになってください」
 そしてそのまま、教会を出て行きました。
 双子の兄さんと双子の妖精の姉さんは、弟を見送ると結婚式をあげました。
 そして結婚式のあと、妖精は兄さんにたのみました。
「これから先どんなことがあっても、私のことを気が変だとか、妖精だとか言わないでくださいね」
「そんなことは言うものか」
 兄さんは、やさしく妖精をだきしめました。
 主人となった兄さんと、奥さんになった妖精は、とても仲良くくらしました。
 それから七年がたち、二人は大きな屋敷で七人の元気な男の子を育てていました。
 ある日、主人は町へ出かける用事ができました。
 妖精は、その留守に空を見上げると、畑で働く人たちに向かって言いました。
「みんな、もうすぐ嵐(あらし)が来ます。すぐにムギをかりいれなさい」
 けれど、畑の人たちは口々に言いました。
「奥さま、こんないい天気の日には、嵐なんぞ来ませんよ。それにムギの刈りいれは一週間先の方が、もっとパンパンにふくらんで、いいムギになります」
 でも妖精は、
「それでも、かりいれなさい」
と、ゆずらないので、畑の人たちは仕方なくかりいれを始めました。
 そこへ、主人が帰ってきました。
 畑の人たちからわけを聞くと、怒って奥さんにこう言ってしまったのです。
「こんなに空が青いのに、なんてことを言うのだ。お前は変なんじゃないのか!」
 そのとたん、奥さんの顔色が変わりました。
「あなた、そのことばは言わないでって、お願いしたのに!」
 そして妖精の奥さんは風に乗って、空へと飛んで行ってしまいました。
 そのあと、空にはまっ黒な雲が広がり、カミナリが鳴りひびいたかと思うと、こうずいになりそうなほどの大雨がふったのです。
 主人は妖精を探して、さまよい歩きました。
 けれどどうしても、妖精を見つけることはできません。
 七人の息子たちは、お母さんを恋しがって泣きました。
 何日かたった夜明け、七人の息子たちのところへ妖精がやって来ました。
 そして、金のくしで一人ずつ髪をといてやりました。
「お母さんがこうして会いに来ることは、絶対にひみつですよ。もし誰かほかの人に知れたら、もう会えなくなるのですよ」
 七人の息子たちは、その約束を守りました。
 けれども、いつも髪の毛がきれいになっている息子たちを不思議に思い、主人は夜明けに、こっそり子ども部屋をのぞきました。
 すると妖精が来ていたので、主人は子ども部屋にとび込んで、ひざまずきました。
「どうか、このままここにいておくれ!」
 妖精はさけび声をあげて、どこかへ逃げていきました。
 それから、二度と姿を見せることはありませんでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日かき氷の日
きょうの誕生花 → むぎわらぎく
きょうの誕生日1964年 高島礼子(俳優)




きょうの日本昔話 → 山の中のネコの家
きょうの世界昔話 → 双子の妖精
きょうの日本民話 → 産女のゆうれい
きょうのイソップ童話 → 旅人とクマ
きょうの江戸小話 → 安全水泳法


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7月24日の世界の昔話 ショウガパンのぼうや


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7月24日の世界の昔話



ショウガパンのぼうや



ショウガパンのぼうや
イギリスの昔話 → イギリスの国情報


 むかしむかし、あるところに、パンを焼くのが大好きなおばあさんがいました。
 おばあさんは一人ぼっちだったので、ある日、小麦粉をこねながら一人ごとをいいました。
「そうだわ、ショウガパンのぼうやをつくりましょう。人間の子どもとそっくりな、かわいいぼうやをつくりましょう」
 おばあさんは一生けんめい小麦粉をこねて、ショウガパンのぼうやをこしらえると、焼きガマに入れました。
「さあ、もう焼けたころね」
 三時間たって、おばあさんが焼きガマをあけると、こんがり焼けたショウガパンのぼうやが飛び出してきました。
「まあまあ、なんておいしそうなぼうやでしょ」
 おばあさんが、ショウガパンのぼうやをテーブルにのせたとたん、ぼうやはピョコンと飛びあがると、
「ぼくはショウガパンでできてるけど、食べられるのなんかいやだよ!」
と、いって、どんどん走り出してしまったのです。
「待ってよ、待ってよ。あたしのぼうや」
 おばあさんが、あわててぼうやをおいかけましたが、
「つかまるもんか」
 ショウガパンのぼうやはドンドン走っていって、小さなほらあなをみつけると、ピョンと飛び込みました。
 でも、ぼうやが飛びこんだのは、ドブネズミの住んでいる、ほら穴だったのです。
「おや。なんておいしそうなぼうやだろう。お昼ごはんに、ちょうどいいぞ」
 ドブネズミは、ぼうやを見つけて大喜びです。
「ドブネズミになんか、つかまるもんか」
 ショウガパンのぼうやは、また逃げ出しました。
 さて、そのショウガパンのぼうやとドブネズミを見つけたものがありました。
 それはネコです。
「おや、ごちそうが走っていくぞ。ニャアー」
 ネコはニャアニャア鳴きながら、ショウガパンのぼうやとドブネズミを追いかけてきました。
 さて、ショウガパンのぼうやと、ドブネズミと、ネコを見つけたものがありました。
 それは、大きなイヌです。
「なんて、おいしそうなぼうやだろう。ワン」
 イヌは、ワンワンほえながら追いかけてきました。
「待ってよ、待ってよ。あたしのぼうや」
 ショウガパンのぼうやと、ドブネズミと、ネコと、イヌのあとから、おばあさんが追いかけます。
「なんだ、なんだ」
「わあ、おいしそうなショウガパンのぼうやが走っていくぞ。つかまえて食ベてやろう」
 走っていくぼうやを見つけて、町の人がさけびました。
 さあ、大変です。
 ショウガパンのぼうやの後ろから、町じゅうの人が追いかけてきます。
「どうしよう。だれか助けて!」
 ショウガパンのぼうやは、走って走って足が取れてしまいそうです。
 そのとき、ショウガパンのぼうやは、子どもが忘れていったおもちゃ飛行機を見つけました。
「いいものがあったぞ。あの飛行機に乗って空の向こうへ逃げていこう。そうすれば、だれも追いつけやしないぞ」
 ショウガパンのぼうやは、おもちゃの飛行機に飛び乗ると、青い空のかなたへいってしまいました。
 今ごろは、おかしの国についていることでしょう。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日劇画の日
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きょうの誕生日1963年 河合奈保子(歌手)


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7月23日の世界の昔話 ガチョウ番の少女


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7月23日の世界の昔話



ガチョウ番の少女



ガチョウ番の少女
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 むかしむかし、あるところに、年おいた妃(きさき)とお姫さまが住んでいました。
 お姫さまが、ある国へお嫁にいく日がやってきました。
 妃はたくさんの嫁入り道具を持たせると、お姫さまの侍女(じじょ)もウマに乗せて送りだしました。
 その時、妃は自分の血を三滴(てき)たらした白い布を渡し、
「きっと、何かの役に立つでしょう」
と、いいました。
 移動の途中、お姫さまはのどがかわいて侍女にたのみました。
「あの、のどがかわいたので、川の水をくんできてくれませんか?」
 すると侍女は、
「ふん! えらそうに。自分でくんできなさいよ!」
と、いって、いうことを聞いてくれません。
 お姫さまがなげいていると、妃にもらった三滴の血がいいました。
「これをお妃さまが知ったら、心臓がはれつなさいますよ。さあ、もういちど侍女に命令するのです」
「でも・・・」
 おとなしいお姫さまは、なにも言えませんでした。
 しばらくすると、侍女がお姫さまにいいました。
「あんた、あたしとウマをかえなさい! いいウマに乗るのはあたしよ。それから、服も取りかえるのよ!」
と、いったのです。
 お姫さまはしかたなくウマと服を取りかえると、侍女のウマに乗ったままで、結婚相手の王の待つ城へととうちゃくしました。
 お姫さまのウマにのった侍女は、王さまの前に進み出るといいました。
「こんにちは、王さま。わたしが、王子さまの結婚相手の姫です。そしてあれはわたしの侍女です。役立たずですが、こき使ってやってください」
 侍女の言葉に、お姫さまはビックリ。
「あ、あの。わたしは・・・」
 お姫さまが本当のことを言おうとすると、お姫さまに化けた侍女がこわい顔でにらみました。
「はやく下がりなさい! クズクズすると、ムチを打つわよ!」
 こうしてこの日から、お姫さまはガチョウの世話をする、ガチョウ番になってしまったのです。
 さて、お姫さまに化けた侍女は、すっかりお姫さま気取りで、結婚相手の王子にたのみました。
「わたしの連れてきたウマを殺してくださいな」
 侍女は自分の秘密を知っているウマが、いつ本当のことを告げてしまうかと、心配でならなかったのです。
 こうして、お姫さまのウマは殺されました。
 ガチョウ番になったお姫さまは、この話を聞くとたいへんかなしみ、ウマの皮をはごうとする職人にたのんで、その首をもらうと、門の壁にかざりました。
 それからガチョウ番のお姫さまは、ガチョウの世話をするたびに、そのウマの首に話しかけたのです。
 その事を知ったまわりの人たちは、気持ち悪がって、この話を王さまに報告しました。
「そのガチョウ番ときたら、ウマの首と会話してるのです。しかも、ウマの首もそれに返事をするのですよ」
「そうか。もしかするとそのガチョウ番は、魔女(まじょ)かもしれない。よし、たしかめてみよう」
 そして娘とウマの会話をきいた王さまは、彼女こそが本当のお姫さまで、王子と結婚しようとしている女が侍女だと知ったのです。
 王はガチョウ番の娘をよぶと、彼女に王女の衣装(いしょう)をきせてみました。
 すると、あの侍女とは比べものにならないほどの美しさです。
 さっそく王さまは王子をよんで、こっちが本物のお姫さまだと告げました。
 本物のお姫さまの美しさに一目ぼれした王子は、ニセ者のお姫さまにワナをしかけることにしました。
 その日の夜のパーティーで、王子はニセ者のお姫さまにたずねました。
「じつは、自分の主人をだまして、その主人の相手と結婚しようとする女がいるのだが、姫はどうするべきだと思う?」
 まさか、自分の事とは思っていないニセ者のお姫さまは、
「そんなとんでもない女は、すぐに死刑にするべきでしょう」
と、答えたのです。
「そうか、ではそうしよう」
 ニセ者のお姫さまは、すぐに死刑になりました。
 そして本物のお姫さまは王子さまと結婚して、いつまでもしあわせにくらしたのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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7月22日の世界の昔話 オオカミ男


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7月22日の世界の昔話



オオカミ男



オオカミ
イギリスの昔話 → イギリスの国情報


 むかしむかし、ある村に、ハンスとクンツという、人のよいお百姓(ひゃくしょう)さんがすんでいました。
 ある日のこと、二人はたきぎをひろいに森へ出かけていきました。
 道のとちゅうで、二人は一人の男にであいました。
「こんにちは。あなたがたは森へいくのですか? わたしも、おともさせてくださいよ」
 男はたきぎをしばるつなをもっていたので、二人はすっかりしんじて、
「ああ、いいとも。いっしょにいきましょう」
と、いいました。
 男はキバのようなするどい歯をして、こわい目つきをしていたのですが、人のよいハンスとクンツは、男にしんせつにしてあげました。
 そして楽しく話をしながら、森まで歩いていきました。
 さて、森についた三人は、さっそくたきぎをひろい集めて、たばにしていきました。
「さあさあ、これだけ集めればじゅうぶんだ。そろそろ帰りましょうか」
 三人は重いたきぎをせおい、あせをふきふき歩きました。
 やがて、ひろい野原にさしかかりました。
「ああ、あつい、あつい。あせがびっしょりだ。どうです。たきぎをおろして、このあたりで休みませんか?」
 ハンスがいうと、男も答えました。
「まったく、重たくてかなわん」
 みんなは大きな木の下で、ひと休みすることにしました。
 遠くの方に、五、六頭のウマが、子ウマを連れて草を食べているのが見えました。
「少し、昼寝でもしませんか?」
「ああ、いいですね」
 ハンスもクンツも賛成しました。
 ハンスはすぐにねむってしまい、クンツもウトウトしていた、その時です。
 後ろの方で、ガサガサと音がしたのです。
(おや、何の音だろう?)
 クンツは寝返りをうつと、そっと、うす目で音のする方を見ました。
 ちょうど、男が服を脱いでいるところでした。
 そして裸になった男は、たちまち灰色のおそろしいオオカミになったのです。
 オオカミはウマのいる方へものすごい早さでかけていくと、そこにいた子ウマにとびかかって、あっという間に食べてしまったのです。
「うむ、あまりうまくないウマだったな。まあいい、口直しに、後であの2人の人間を食ってやろう」
 オオカミは口の周りについた血を長い舌でペロリとなめ回すと、人間の姿になって服を着て、なにくわぬ顔で2人を起こしました。
「そろそろ起きて、出発しようか?」
 ハンスは、すぐに起きあがりました。
 クンツは恐怖のあまり、ガタガタとふるえていましたが、オオカミにばれないよう、なんとかふるえをがまんして起きあがりました。
 三人はしばらく道を歩いていましたが、オオカミの男が、とつぜんお腹を押さえて立ち止まりました。
「あいてて! あいてててて!」
 クンツには、その理由がすぐにわかりました。
「やい、オオカミ男め! 子ウマを一頭たいらげれば、誰だって腹が痛くなるさ。さあハンス。逃げるならいまのうちだ!」
「なんだと、おまえたちも食ってやる!」
 オオカミ男は2人を追いかけましたが、お腹が痛くてうまく走れません。
 ハンスとクンツは、なんとかオオカミ男から逃げることが出来ました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日下駄の日
きょうの誕生花 → まつよいぐさ
きょうの誕生日1959年 森公美子(オペラ歌手)


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