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5月31日の世界の昔話 長靴をはいたネコ


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5月31日の世界の昔話



長靴をはいたネコ



長靴をはいたネコ

ペローの童話 → ペロー童話の詳細


♪音声配信


 むかしむかし、粉ひきが三人の息子を残して死んでしまいました。
 粉ひきは貧乏でしたから、財産といったら水車小屋(すいしゃごや)と、ロバと、ネコが一匹だけです。
 その中から、一番上の息子が水車小屋をもらい、二番目の息子がロバをもらい、三番目の息子がネコをもらいました。
「あぁー。ネコなんてもらっても、なんの役にもたちやしない。お金もなしに、どうやって暮らしていけばいいのかなあ」
 三番目の息子がグチをこぼすと、ネコがいいました。
「ご主人さま。まあ、そういわないで。わたしに長ぐつを一足と、大きな袋を一つ作ってください。そうしたら、必ずお役に立ってみせますから」
 三番目の息子はしかたなしに、いわれた物を作ってやりました。
「わあ、すてき、すてき。ありがとう」
 ネコはピカピカの長ぐつをはいて、大喜びです。
 さっそく森へ出かけていくと、途中の畑でお百姓(ひゃくしょう)にもらったニンジンを入れた袋を木のそばへ置いて、ジッと、ようすをうかがっていました。
 そこへ、なにも知らないウサギの一行がやってきて、袋の中へ、ピョン、ピョン、ピョン。
「よしよし、この大量のウサギを見れば、王さまも大喜びされるにちがいない」
 この国の王さまは、ウサギが大好物なのです。
 ネコはウサギの入った袋をぶらさげて、王さまのお城へ出かけていきました。
「王さま。このウサギは、わたくしの主人、カラバ公爵(こうしゃく)からの、おくり物でございます」
「これはかたじけない。よしよし、これからお礼にでかけるから、そう、お伝えしてくれ」
 それを聞いたネコは、急いで家ヘもどってきました。
「ご主人さま、ご主人さま、川の中へ入って、おぼれるまねをするのです。さあ、早く、早く」
 そういうと、ネコはありったけの声で、
「たいへん! たいヘん! カラバ公爵さまがおぼれそうだ! おまけにドロボウに服を盗まれた! 助けてください! 助けてください!」
 王さまは、それを聞いてビックリ。
「それ、みんな。早く助けてさしあげろ。ついでに、公爵殿のおめしになる服をさがしてこい」
 そのすきに、ネコは畑で働いているお百姓のところへ走っていくと、
「おい、おまえたち、この畑はだれのものだ?」
「はい、魔法使いさまの物です」
「いや、ちがう。これはカラバ公爵の物だ。だれかに聞かれたら、この畑はカラバ公爵の物だというんだ。さもないと、お前たちを頭からガリガリかじってやるからな!」
 ビックリしたお百姓は、
「へい、申します、申します。ですから、わたしたちを食べないでください」
 そこへ、王さまの馬車がやってきました。
「これこれ、このあたりの畑は、どなたの持ち物じゃな?」
「へい、カラバ公爵さまの畑でございます」
「ほほう、公爵殿は、こんなに広い畑をお持ちじゃったのか」
 王さまは、すっかり感心したようすです。
 そのすきにネコが、またどんどん走っていくと、りっぱなお城がありました。
「ははん、これが魔法使いのお城だな。よしよし、このお城をご主人さまの物にしてやろう」
 ネコはすました顔で、お城の中へ入っていきました。
「魔法使いさま、わたくしは、いだいなる魔法使いでいらっしゃる、あなたさまにお仕えしたくてやってまいりました。どうぞ、わたくしをあなたさまのけらいにしていただけないでしょうか?」
「ほう。けらいになりたいのか。よし、いいだろう」
「はっ、ありがとうございます。ところでいだいな魔法使いさま、うわさによると、あなたさまは、どんな物にでも姿を変えられるそうですが」
「ふふん。見たいというのなら、見せてやる」
 魔法使いは、パッとライオンの姿に早変わりです。
「わあ、おどろいた! でも、さすがのあなたさまも、小さなネズミにだけは化けられないでしょうね」
「なにをいうか。ネズミくらいは、朝めし前だ」
 魔法使いはパッと、小さなネズミに変わってみせました。
「それ、今だ!」
 ネコはヒラリと飛びかかると、ネズミに化けた魔法使いを、パクッと飲みこんでしまいました。
 ちょうどそこへやってきたのが、王さまの馬車です。
 ネコは、うやうやしくおじぎをすると、
「これはこれは、ようこそのお運びで。ここが主人のお城でございます」
「なんと、公爵殿は、こんなりっぱなお城までお持ちじゃったのか」
 感心した王さまは、公爵をお姫さまと結婚させることにしました。
 こうして貧乏だった粉ひきの息子は、ネコのおかげで、すっかりしあわせになりました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 世界禁煙デー
きょうの誕生花 → カラー
きょうの誕生日 → 1967年 萩原正人 (芸人)




きょうの日本昔話 → おんぼろ寺のカニもんどう
きょうの世界昔話 → 長靴をはいたネコ
きょうの日本民話 → 家宝の皿
きょうのイソップ童話 → ミツバチとヒツジ飼い
きょうの江戸小話 → じしゃく宿


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5月30日の世界の昔話 金貨のはいったさいふ


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5月30日の世界の昔話



金貨のはいったさいふ



金貨のはいったさいふ

フランスの昔話 → フランスの国情報


♪音声配信


 むかしむかし、わかいオンドリが、金貨の入ったさいふを見つけました。
 けれど食いしんぼうのオンドリは、お百姓のおかみさんのさしだしたムギつぶやおかしと、金貨の入ったさいふをとりかえてしまいました。
 それを聞いたお父さんニワトリは、たいへんおこって、
「さいふをとりもどしてこい!」
と、いいました。
 オンドリがションボリ歩いていくと、オオカミにあいました。
 オンドリは、いいことを思いつきました。
「ねえ、オオカミさん、きみにムギつぶになってほしいんだ。そして、ぼくのおなかの中に入ってほしいんだ」
 わけを話してたのむと、オオカミはムギつぶにすがたをかえて、オンドリはそれをのみこみました。
 少し行くと、こんどはキツネにあいました。
 そしてキツネもなかまになり、キビつぶにすがたをかえると、オンドリのおなかに入りました。
 またすすんでいくと、川に出ました。
 川もなかまになり、砂つぶになって、オンドリのおなかの中に入りました。
 オンドリはお百姓の家につくと、ありったけの声でさけびました。
「ぼくの金貨の入ったさいふをかえしてくれ!」
 すると、お百姓とおかみさんは、オンドリをウシ小屋にとじこめました。
 とたんに、おなかの中にいたオオカミがとびだして、ウシをおなかいっぱいに食べると、にげていってしまいました。
 つぎの朝、それを見たお百姓たちはなきわめき、オンドリをニワトリ小屋にとじこめました。
 するとこんどは、キツネがおなかの中からとびだして、ニワトリをぜんぶ殺してさっさとにげていきました。
 まっ赤になっておこったおかみさんは、オンドリをかまどの中になげこみました。
 とたんに川がとびだして、お百姓の家も畑もおしながしました。
 おぼれてはたいへんと、お百姓たちもにげだしました。
 オンドリは、やねの上にとびあがってよろこびました。
 それからお百姓の家の中に入って、とうとう金貨の入ったさいふを見つけたのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ごみゼロの日
きょうの誕生花 → おだまき
きょうの誕生日 → 1937年 左とん平 (俳優)




きょうの日本昔話 → ヘビ酒をのんださむらい
きょうの世界昔話 → 金貨のはいったさいふ
きょうの日本民話 → 六助いなり
きょうのイソップ童話 → 女主人とめしつかいの女たち
きょうの江戸小話 → むだなしるし


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5月29日の世界の昔話 ヤギとライオン


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5月29日の世界の昔話



ヤギとライオン



ヤギとライオン

トリニダード・トバゴの昔話 → トリニダード・トバゴの国情報


♪音声配信


 むかしむかし、あるヤギが夕立(ゆうだち)にあいました。
 トリニダードの夕立は、ものすごいいきおいでふるのです。
 ライオンが家のまどから、ずぶぬれのヤギを見ました。
 ライオンはヤギに、
「家にはいって、雨やどりをしないか?」
と、声をかけました。
 ヤギはありがたいことだと思って、ライオンの家ヘはいりました。
 するとライオンは、大声でいいました。
「ヤギくん。すわりたまえ。雨やどりのあいだ、ヴァイオリンをひいてあげよう」
 ヤギはますます、ありがたいことだと思って腰をかけました。
 ライオンはヴァイオリンをとりだすと、ひきながらうたいだしました。
♪雨のふる日にゃ。
♪家にいて、家にいて。
♪雨のふる日にゃ、家にいて。
♪おいしい肉のおいでをまつさ。
 ヤギは、そのおいしい肉が自分のことだとわかったのでビックリ。
 でも、おちついていいました。
「ライオンさん、いいヴァイオリンをお持ちですねえ。わたしにもちょっとひかせてくれませんか?」
「さあ、さあ、どうぞ」
 ライオンは上きげんで、ヴァイオリンをかしてくれました。
 ヤギはヴァイオリンをかりると、ひきながらうたいました。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪一万びきのライオン、一万びきのライオン。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪きょうはなんびき、ころそうか。
 こんどはライオンが、ビックリしました。
(ヤギがライオンをころすなんて、本当だろうか?)
 ライオンは首をかしげましたが、用心したほうがいいと考えて、大声でおかみさんをよびました。
「おい、おい、たきぎをとってこい!」
 この雨のなかをたきぎをとりにいけといわれて、おかみさんはおどろきました。
 それでもしかたなくでかけようとすると、ライオンは小さな声でいいました。
「帰ってくるなよ」
 ヤギは聞こえないふりをしていましたが、こんどはもっと大きく早口でうたいだしました。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪一万びきのライオン、一万びきのライオン。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪きょうはなんびき、ころそうか。
 ライオンは、こんどは息子をよびました。
「森へいって、おっかさんがなにをグズグズしているのか見てこい」
 そして、小さな声でつけたしました。
「帰ってくるなよ」
 ヤギは聞こえなかったふりをしていました。
 そして、ものすごい大声で、ものすごい早さでうたいつづけました。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪一万びきのライオン、一万びきのライオン。
♪きのう、ころした。一万びきのライオン。
♪きょうはなんびき、ころそうか。
 あんまり早口でわめいたので、ヤギはヘトヘトにくたびれました。
 それでもヤギは、うたうのをやめませんでした。
 とうとうライオンは、こわくていてもたってもいられなくなりました。
「ヤギくん、しつれい。ちょっとうちのやつらをさがしにいってくるよ。どうぞゆっくり休んでいてくれたまえ」
と、いうと、ライオンは大いそぎで家からでていってしまいました。
 ライオンが見えなくなったとたん、ヤギはヴァイオリンをほうりだして、いちもくさんににげだしました。
 それからというもの、ヤギはけっして、ライオンの家の前の道を通らなかったということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → こんにゃくの日
きょうの誕生花 → ジャーマンアイリス
きょうの誕生日 → 1937年 美空ひばり (歌手)


きょうの新作昔話 → 老人と三人の若者
きょうの日本昔話 → しかられたゆうれい
きょうの世界昔話 → ヤギとライオン
きょうの日本民話 → わらしべの王子
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5月28日の世界の昔話 ヒツジ飼いの少年


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5月28日の世界の昔話



ヒツジ飼いの少年



ヒツジ飼いの少年

グリム童話 → グリム童話の詳細


♪音声配信


 むかしむかし、とてもかしこいヒツジ飼いの少年がいました。
 そのことが王さまの耳に入り、王さまはその少年をお城によびつけると、こういいました。
「わしがおまえに三つの問(と)いをだす。これにうまくこたえることができたら、わしはおまえをわが子と思って、わしの城においてやるぞ」
 すると少年がいいました。
「その三つの問いというのはなんですか?」
 王さまがいいました。
「海のなかには水が何てきあるかな?」
「王さま、地球の上の川をのこらずせきとめてください。そしたら、海の水が何てきあるのか数えましょう」
 こう少年はこたえました。
 そこで王さまはいいました。
「なかなかやるな。では、つぎの間いじゃ。空には星がいくつあるかの?」
 すると、ヒツジ飼いの少年は、
「どうか、大きな紙とペンをください」
と、いって、用意された大きな紙の上ヘ、ペンで一面に小さな点をうちました。
「できました。空には、ちょうどこの紙の上の点とおなじ数だけの星があります。さあ、かぞえてみてください」
 まるで見えないくらいの小さい点で、だれにも数えることができません。
「では三番目の問いはこうじゃ、永遠というものは、何秒だ?」
 するとヒツジ飼いの少年がいいました。
「ポンメルンにダイヤモンドの山があります。この山は高さが一里(→やく四キロ)、はばが一里、奥行きが一里あります。このお山へ百年目ごとに一羽の小鳥がやってきて、くちばしをお山でみがくのでございます。こうやって小鳥がきてはみがくために、このお山がのこらずすりへってなくなったときに、永遠の第一秒がたつのでございます」
 それを聞いた王さまは、ヒツジ飼いの少年にいいました。
「おまえはこれからは、このお城でわしといっしょにくらすがよい。わしはおまえを、じぶんの子どものつもりでみてやるからな」


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 花火の日
きょうの誕生花 → スズラン
きょうの誕生日 → 1955年 村上ショージ (タレント)




きょうの日本昔話 → おいてけぼり
きょうの世界昔話 → ヒツジ飼いの少年
きょうの日本民話 → うそ五ろうとはねおうぎ
きょうのイソップ童話 → ビーバー
きょうの江戸小話 → みょうが宿


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5月27日の世界の昔話 かしこいお医者のやせ薬


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5月27日の世界の昔話



かしこいお医者のやせぐすり



かしこいお医者のやせ薬

タンザニアの昔話 → タンザニアの国情報


♪音声配信


 むかしむかし、あるところに、ふとった女の人がいました。
 あまりにもふとりすぎて、もう、歩くのがやっとというありさまです。
 女の人はどうにかしてやせたいと思って、ヨタヨタと、お医者のところへいきました。
「先生、わたしはドンドンふとるばかりで、いまにはれつしそうです。ぜひ、やせるお薬をください」
 女の人は、いっしょうけんめいにたのみました。
「きょうは、しんさつ代だけはらっておかえりなさい。あしたまた、きてください」
 お医者は高いお金をとって、女の人をかえしました。
 あくる日、女の人はお医者のところヘいきました。
 お医者は、女の人の頭のてっぺんから足の先までながめました。
 それからお医者は、おもおもしくはなしだしました。
「おくさん。きのうわたしは、2万1783さつの書物をよみ、1800万の星をうらなってみました。それによると、あなたはあと七日しか命がありません。もうじき死ぬのに、くすりもいらないでしょう。お帰りになって死ぬときをおまちなさい」
「!!!!!!」
 ふとった女の人は、それを聞いてガタガタふるえだしました。
 帰るとちゅうも帰ってからも、死ぬことばかり考えつづけました。
 朝から晩まで、あとなん日、あとなん時間生きていられるかと、そればかり考えつづけました。
 なんにも、のどを通りません。
 夜もねむれません。
 女の人は日ましに、いいえ、一時間ごとにやせていきました。
 七日間がすぎました。
 女の人はかくごをきめると、しずかに横になって、死ぬのをまちました。
 けれども、いっこうに死にません。
 八日すぎても、九日すぎても、やっぱり死にません。
 十日目になると、とうとう女の人はがまんできなくなって、お医者のところへかけつけました。
 すっかりやせた女の人は、らくらくと走ることができました。
「あなたは、なんてへたくそなお医者なんでしょう! あんなにお金をとっておきながら、人をだましたのね! 七日したら死ぬって、おっしゃいましたけど、もう、きょうは十日目ですよ。このとおり、ピンピンしているじゃありませんか!」
 女の人は、ものすごいいきおいでもんくをいいました。
 お医者は、おちつきはらって聞いていましたが、ふと、女の人に聞きかえしました。
「ちょっとうかがいますが。あなたはいま、ふとっていますか? やせていますか?」
 女の人は、こたえました。
「やせましたとも。死ぬのがおそろしくて、食べ物ものどを通りませんでしたからね」
 すると、お医者はいいました。
「そうでしょう。その、おそろしいと思う気持が、やせぐすりだったのですよ。これでもあなたは、わたしをへたくそな医者だと、いわれるのですか?」
「あっ・・・」
 女の人は気がついて、笑いだしました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 百人一首の日
きょうの誕生花 → つるばら
きょうの誕生日 → 1955年 内藤剛志 (俳優)


きょうの新作昔話 → ネズミのしっぽ
きょうの日本昔話 → さんぽするひとだま
きょうの世界昔話 → かしこいお医者のやせ薬
きょうの日本民話 → 海にしずんだ島
きょうのイソップ童話 → ラッパ手
きょうの江戸小話 → 飛脚


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5月26日の世界の昔話 月の見ていた話二十六夜


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5月26日の世界の昔話



月の見ていた話二十六夜



月の見ていた話二十六夜

アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細


♪音声配信


 こんばんわ。
 わたしは、高い空の上にいる月です。
 タ方から朝になるまで、いろんな国のいろんなところをながめます。
 では、ゆうべ見たことを、話してあげましょう。
 夜明けのことです。
 大きな町のどの煙突(えんとつ)も、まだ煙(けむり)をはいていません。
 だってまだ、みんな眠っている時間ですもの。
 でも、わたしはただ一つ、おきている煙突を見つけました。
 ただし煙突から出てきたのは煙ではなく、とびきり元気のいい男の子の口笛(くちぶえ)でした。
 煙突からピョコンと男の子が顔を出したとき、わたしは思わずふき出してしまいましたよ。
 だって、おでこと鼻の頭と右のほっぺが、すすでまっ黒なんですもの。
 でも、そんなことは気にしない様子で、男の子は煙突のふちに両手をかけると、いきなり大きな声でさけびました。
「ばんざーい!」
 この子は、煙突掃除屋(えんとつそうじや)さんだったのです。
 男の子は生まれて初めて、煙突の中をてっぺんまでのぼってきたのです。
 そのときちょうど、太陽が東の空に姿を現わしました。
 男の子は、明るくなった町を見わたして言いました。
「町がおいらを見てる!」
 そして、わたしを見あげて言いました。
「お月さんも、おいらを見てる!」
 それから、
「お日さまも、おいらを見てる! ばんざーい!」
 ほうきをクルクルふりまわしながら、とってもうれしそうでしたよ。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 東名高速道路開通記念日
きょうの誕生花 → わさび
きょうの誕生日 → 1959年 健 (トミーズ)




きょうの日本昔話 → 舌をぬくおばけ
きょうの世界昔話 → 月の見ていた話二十六夜
きょうの日本民話 → 人間のことばを話したウマ
きょうのイソップ童話 → 歌手
きょうの江戸小話 → 死んだのは病人


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5月25日の世界の昔話 美女と野獣


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5月25日の世界の昔話



美女と野獣



美女と野獣

フランスの昔話 → フランスの国情報


♪音声配信


 むかしむかし、あるところに、商人が三人の娘とくらしていました。
 三人のうちでも末娘のベルは、とても美しく、心がやさしいのでひょうばんです。
 ある時、お父さんが仕事で近くの町ヘ出かけることになると、一番上の姉さんがいいました。
「お月さまの色をした服を買ってきて」
 すると、二番目の姉さんも、
「お日さまの色をした服を買ってきて」
と、ねだりました。
 でも、ベルは何もいわないので、かわいそうに思ったお父さんが何度も聞くと、
「・・・バラの花が、一本ほしいわ」
と、答えました。
 仕事を終えたお父さんは、姉さんたちの服を買いました。
 でも、バラの花はどこにもありません。
 おまけに帰るとちゅう、道にまよってしまったのです。
 こまっていると、遠くにあかりが見えました。
 近づいてみると、とてもりっぱなお城です。
 けれど、いくらよんでも、お城からはだれも出てきません。
 ふと見ると、庭にきれいなバラの花が咲いています。
「みごとなバラだ。これをベルのおみやげにしよう」
 お父さんはベルのために、赤いバラをひとえだおりました。
「なにをする!」
 そのとたん、目のまえにおそろしい野獣(やじゅう)の顔をした男があらわれました。
「だいじなバラをぬすんだな、ゆるさんぞ! いいか、おまえの娘を一人ここへつれてこい。さもないと、いのちはないと思え!」
と、いって、野獣の男はパッとすがたをけしました。
 お父さんはふるえながら道をさがして、やっとのことで家にたどりつきました。
 お父さんがまっさおな顔で野獣の話をすると、ベルはいいました。
「お父さん、ごめんなさい。わたしがバラをねだったせいです。野獣のところへはわたしがまいります」
「しかし・・・」
「いいえ、わたしがまいります」
 ベルがいいはるので、お父さんはなくなく、ベルをお城へつれていきました。
 するとたちまち、野獣が出てきて、
「この娘はあずかっておく。おまえは帰れ!」
と、お父さんをおい返しました。
 ベルはこわくてこわくて、ブルブルとふるえていました。
 でも、野獣はやさしい声で、ベルにいいました。
「こわがらなくてもいいよ。この城はあなたの城。食べ物も着る物も、ほしいものはみんな一人でに出てくる。どうぞ、楽しくおくらしなさい」
 野獣は、時どき食事をしにくるだけでした。
 でも見かけとちがって、いつもやさしい野獣に、ベルはうれしくなりました。
 ある日、野獣は遠くの物を見ることが出来る、ふしぎな鏡をベルにくれました。
 ベルがその鏡で自分の家のようすを見てみますと、なんと、病気でねているお父さんのすがたがうつっていたのです。
 お父さんはベルのことがしんぱいで、病気になってしまったのでした。
「おねがい、お父さんのおみまいにいかせてください」
「いいよ。・・・でも、かならず帰ってきておくれ」
 ベルが家に帰ると、お父さんは大よろこびで、すぐに病気がなおってしまいました。
 けれど姉さんたちにひきとめられて、ベルはなかなかお城へもどれません。
 そんなある晩、今にも死にそうな野獣のゆめをみました。
「たいヘんだわ。はやく帰らなければ」
 むちゅうで道を走り、やっとお城ヘついた時、野獣はグッタリして、もう口もきけません。
「ごめんなさい、ごめんなさい。わたしが帰らなかったせいなのね。ほんとうにごめんなさい」
 ベルは涙を、ポロポロとこぼしました。
 そして、その涙が野獣のかおにおちたとたん、野獣は、りっぱな王子さまにかわったのです。
「ありがとう、ベル。おかげで魔法がとけました。やさしい人が、ぼくのためにないてくれなければ、魔法はとけなかったのです。・・・ベル、どうかぼくと結婚してください」
「はい」
 やがて二人は結婚して、幸せにくらしました。


※ クロアチア国に伝わる美女と野獣のお話し → ローザとジバル


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 広辞苑記念日
きょうの誕生花 → ラナンキュラク
きょうの誕生日 → 1976年 シェイン・コスギ (俳優)


きょうの新作昔話 → ライオン王子の先生
きょうの日本昔話 → ネコの大芝居
きょうの世界昔話 → 美女と野獣
きょうの日本民話 → 言い負かされたタヌキ
きょうのイソップ童話 → 金のオノ、銀のオノ
きょうの江戸小話 → にくまれぐち


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5月24日の世界の昔話 漁師とそのおかみさんの話


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5月24日の世界の昔話



漁師とそのおかみさんの話



漁師とそのおかみさんの話
グリム童話 →グリム童話の詳細


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 むかしむかし、漁師(りょうし)とおかみさんが、きたなくて小さな家に住んでいました。
 ある日、漁師がつりに出かけると、一匹のカレイがつれました。
「おおっ、これは立派なカレイだ。よし、さっそく町へ売りに行こう」
 漁師はそういって、カレイをカゴに入れようとすると、そのカレイが漁師に話しかけてきたのです。
「漁師のおじさん。実はわたしは、魔法をかけられた王子なのです。お礼はしますから、わたしを海へ戻してください」
 言葉を話すカレイに漁師はビックリしましたが、やがてカレイをカゴから出してやると言いました。
「それはかわいそうに。お礼なんていいから、はやく海にかえりなさい。それから、二度と人間につかまるんじゃないよ」
 漁師はカレイを、そのまま海へはなしてやりました。
 さて、漁師が家に帰ってそのことをおかみさんに話しますと、おかみさんはたいそう怒っていいました。
「バカだね! お礼をするといっているのだから、何か願いごとでもかなえてもらえばよかったんだよ。たとえば、こんなきたない家じゃなく、小さくてもあたらしい家がほしいとかね。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイのところにいって、願いをかなえてもらうんだよ!」
 漁師はしかたなくもう一度海に行って、カレイに話しかけました。
 するとカレイが海から出てきて、漁師にいいました。
「家に戻ってごらん。小さいけど、あたらしい家になっているよ」
 漁師が家に帰ってみると、おかみさんが小さいけれどあたらしい家の前でよろこんでいました。
 しばらくは小さいけれどあたらしい家に住んでいましたが、やがておかみさんがいいました。
「こんな小さな家じゃなく、石造りのご殿に住みたいねえ。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイに言っておいで」
 漁師が海に行ってカレイにそのことを話すと、カレイは言いました。
「家に戻ってごらん。小さな家が、石造りのご殿になっているよ」
 家に戻ってみると、小さな家はとても大きな石造りのご殿になっていました。
 大きな石造りのご殿に、おかみさんはすっかり満足しましたが、やがてそれにもあきてしまい、また漁師にいいました。
「家ばかり大きくても、家来(けらい)がいないとつまらないね。やっぱり、家来のたくさんいる大貴族(だいきぞく)でないと。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイに言っておいで」
「でもおまえ、よくばりすぎじゃないのか。大きな家をもらっただけでいいじゃないか」
 漁師がそういうと、おかみさんはこわい顔で漁師をにらみつけました。
「なに言っているんだい! 命を助けてやったんだから、そのくらい当然だよ。さあ、はやくいっておいで!」
 漁師はしかたなく、もう一度カレイにお願いしました。
 でもカレイは少しもいやな顔をせずに、ニッコリ笑っていいました。
「家に戻ってごらん。大貴族になっているよ」
 家に帰ってみると、おかみさんは大勢の家来にかこまれた、大貴族になっていました。
 大貴族になって、なに不自由ない生活でしたが、おかみさんはこれにもあきて、また漁師にいいました。
「いくら貴族といっても、しょせんは王さまのけらい。こんどは王さまになりたいね。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイに言っておいで」
「・・・・・・」
 おかみさんのわがままに、漁師はあきれてものがいえませんでした。
 しかし、おかみさんにせかされると、しかたなくもう一度カレイのところへいき、はずかしそうにおかみさんの願いをいいました。
「家に戻ってごらん。王さまになっているよ」
 家に戻ってみると家はお城にかわっており、おかみさんのまわりには、大勢の貴族や大臣がいました。
 とうとう王さまになったおかみさんですが、やがて王さまにもあきてしまいました。
「王さまよりも、法王(ほうおう)さまの方がえらいからね。こんどは法王さまになりたいね。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイに言っておいで」
 漁師からその願いを聞いたカレイは、少しビックリしたようすですが、こんども願いをかなえてくれました。
「家に戻ってごらん。法王さまになっているよ」
 家に帰ってみると、おかみさんは多くの王さまをしたがえた、法王さまになっていました。
 とうとう、人間で一番えらい人になったのです。
 でもやがて、おかみさんは法王さまにもあきてしまい、漁師にいいました。
「法王さまといっても、しょせんは神さまのしもべ。こんどは神さまになりたいね。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイに言っておいで」
 その言葉に漁師は、泣いておかみさんにたのみました。
「神さまだなんて、そんなおそれおおい。おねがいだから、やめておくれ」
 でも、おかみさんは考えをかえようとしません。
 漁師はしかたなく、もう一度カレイのところへいきました。
 するとカレイは、あきれた顔でいいました。
「お帰りなさい。おかみさんはむかしのあばら家にいますよ」
 漁師が家に帰ってみると、お城も家来たちもみんな消えてしまって、前のきたなくて小さな家だけがのこっていました。
 それから漁師とおかみさんは、いままでどおりのまずしい生活をおくったということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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5月23日の世界の昔話 キツネとガチョウ


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5月23日の世界の昔話



キツネとガチョウ



キツネとガチョウ

グリム童話 → グリム童話の詳細


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 むかしむかし、あるキツネが草原ヘやってきました。
 草原には、よくふとったガチョウのむれがすわっていました。
 すると、キツネはわらいながらいいました。
「これはついているぞ。これだけいれば、とうぶん食べ物に困ることはない」
 キツネに気づいたガチョウのむれは、あわれっぽく命ごいをはじめました。
 でも、キツネはすこしもききいれようとはしません。
「命ごいをしてもむださ。おまえたちは、みんな死ぬことにきまってるんだ」
 すると一羽のガチョウが、勇気をだしていいました。
「わたしたちあわれな鳥どもが、このわかい元気いっぱいの命をどうしてもすてなければならないのでしたら、どうかそのまえに、わたしたちがおいのりをすることをおゆるしください。みんなが罪のあるままで死にませんように。それさえすみましたら、わたしたちはあなたの前に一列にならびましょう」
「よかろう」
と、キツネはいいました。
「それはもっともなことだ。さあ、いのるがいい、ぼくはそのあいだ、待ってやろう」
 まずさいしょの一羽が、ひどく長いいのりをはじめました。
 ガア、ガア、ガア、ガア・・・。
 さいしょの一羽がなかなか終わらないので、二番目は待ちきれずに、
 ガア、ガア、ガア、ガア・・・。
と、はじめました。
 それから三番目、四番目と、それにならいました。
 こうしてしまいには、みんながいっしょになって、ガア、ガア、ガア、ガアとなきました。
 そして今でも、
 ガア、ガア、ガア、ガアとないているのです。


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5月22日の世界の昔話 空飛ぶじゅうたん


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5月22日の世界の昔話



空飛ぶじゅうたん



空飛ぶじゅうたん

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 むかしむかし、インドのある王さまには、三人の王子がいました。
 王子たちの名まえは、「フーセイン」、「アリ」、「アーメッド」です。
 また王さまは、なくなった兄の娘の「ヌーロニハル」もかわいがって、いっしょにお城にすまわせていました。
 さてある時、とてもこまったことがおこりました。
「ヌーロニハルと結婚したいのです」
と、王子たちが三人ともいい出したのです。
 でも、三人と結婚するわけにはいきません。
 王さまは、考えたすえにいいました。
「では、この世で一番めずらしいものを見つけてきた者に、姫との結婚をゆるすとしよう」
 そこで王子たちは、めずらしいものを探すためにべつべつに旅に出て、帰りに宿屋でおちあいました。
「ほら、ぼくのめずらしいものはこれだぞ」
 三人はとくいになって、手に入れたものを見せあいました。
 フーセインは、自由に空をとべるじゅうたん。
 アリは、どんな遠いところでも見えるぼうえんきょう。
 アーメッドは、においをかぐと病気がなおるリンゴでした。
 そして三人でぼうえんきょうをのぞくと、ヌーロニハルが病気で苦しんでいるのが見えたのです。
「大変だ! すぐに帰らないと」
 三人は空とぶじゅうたんにとびのって、お城ヘかけつけました。
 そして魔法のリンゴのおかげで、ヌーロニハルはたちまち元気をとりもどしました。
 王さまは大よろこびのあと、大よわりです。
 三人の持ってきた三つの品はどれもめずらしいもので、どれもヌーロニハルを助けるのに役だったからです。
 考えなおした王さまは、いいました。
「矢を一番遠くまで飛ばしたものを、姫のむこにきめるとしよう」
 そこで王子たちはならんで、矢をはなちました。
 アーメッドの矢が一番飛んだのですが、飛びすぎてどこかへいって見つからないので、王さまは二番目に遠くまでとばしたアリをむこにきめました。
「見つからないからだめだなんて、こんなくやしいことがあるもんか!」
 アーメッドはがまんできずに、矢をさがしてどんどん歩いていきました。
 矢は、山のふもとの岩の上におちていました。
「おやっ? 岩にとびらがあるぞ」
 アーメッドがとびらをあけると、そこには美しい姫がたっていました。
「ようこそ、アーメッドさま。わたしはぺリパヌー姫ともうします」
 アーメッドは、ひと目でぺリパヌー姫に心をひかれました。
 やがて二人は結婚し、幸せな月日がすぎました。
「いちど、父上にあいにいってこよう」
 ひさしぶりにお城へかえったアーメッドを見て、王さまはたいそうよろこびました。
「元気か? おまえがいなくなったあと、フーセインも空とぶじゅうたんで旅に出てしまい、さみしいかぎりだ。今はどこでくらしているのだ?」
「それはいえません。そのかわり、わたしは月に一度、お城へ帰ってまいります」
 これを聞きつけて、大臣がいいました。
「王さま、アーメッドさまはヌーロニハル姫と結婚できなかったのをうらんで、今にせめてくるかもしれません」
「そんな、ばかな」
 王さまは、気にもとめませんでした。
 でもある日、そっと魔法使いにアーメッドをさがさせますと、魔法使いが言いました。
「王さまたいへんです! 王子さまはわたしよりずっと魔法の力がある姫と結婚して、宝石のかがやくお城にすんでいます」
 王さまは、あわてました。
「そんなにすごい魔法を使えるなら、この国をのっとることなどかんたんであろう。しかし、アーメッドがそんなことをするはずが・・・」
 そこへ、大臣と魔法使いがいいました。
「いいえ、王さま。アーメッドさまは必ずせめてきます。かわいそうですが、アーメッドさまに何かを失敗させて、それを理由に処刑(しょけい→死刑)しましょう」
 つぎの月になり、アーメッドがきた時、王さまは大臣と魔法使いに教えられた、とんでもない注文を出しました。
「わしの軍隊がぜんぶすっぽり入ってしまい、たためば手のひらにのるような、そんなテントをもってきてくれないか」
 アーメッドはおどろいて自分の城ヘ帰り、それをぺリパヌー姫にはなしました。
「お気のどくに。王さまはきっと、だれかにおどかされていらっしゃるのですね。・・・はい、これがそのテントです」
 さすがは、力がある魔法使い。
 姫はかんたんに、注文のテントをアーメッドにわたしたのです。
 アーメッドはそれをもって、王さまのところヘいきました。
 本当にテントの中に軍隊が入るのを見て、王さまのおどろいたことといったらありません。
 王さまはまた、大臣と魔法使いに教えられた、むちゃなことをいいました。
「ライオンの泉の水をくんできておくれ。あれを飲むと、長生きできるそうだから」
 アーメッドは、ため息をつきました。
 その泉にはおそろしいライオンがいて、近づく人間を食い殺すのです。
 でも話を聞いたぺリパヌー姫は、アーメッドにいいました。
「だいじょうぶですよ、アーメッド。ライオンにヒツジの肉をなげればいいのです」
 アーメッドは、ライオンがヒツジの肉を食ベているあいだに、水をくむことができました。
「アーメッドは、まったくふしぎな力をもっている。・・・だが、まさか、これはだめだろう」
 王さまは大臣と魔法使いに教えられた、三回目の注文を出しました。
「身長が一メートル、ひげの長さが十メートルあって、とても力持ちのじいさんをつれてきてくれ」
「今度ばかりは、もうだめだ」
 まえよりふかいため息をついたアーメッドに、ぺリパヌー姫はいいました。
「ご心配なく、アーメッド」
 そういったかと思うと、王さまののぞみどおりの人があらわれました。
 おどろいたことに、それは姫のお兄さんのシャイパルだったのです。
 アーメッド王子とシャイパルは、王さまのところへ急ぎました。
 そして、
「大臣に魔法使い! 王さまをそそのかしてアーメッドを殺そうとした罪は重いぞ!」
 シャイパルは鉄の棒をビュンビュンふりまわして、その風で大臣と魔法使いをまどの外にふきとばしました。
 王さまは、ハッと顔をあげていいました。
「悪かったアーメッド。ゆるしておくれ」
 王さまが心からあやまると、アリもヌーロニハル姫もかけよってきて、心からアーメッドをむかえました。
「それにしても、フーセインもはやくもどってくればいいのに。今ごろ空とぶじゅうたんで、どこをとんでいるんだろう?」
 みんなはそういって、空を見あげました。


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