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2月28日の世界の昔話 トラになった王さま


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 2月の世界昔話


2月28日の世界の昔話



トラになった王さま



トラになった王さま
モンゴルの昔話 → モンゴルの国情報


 むかしむかし、モーコ(→モンゴル)の草原に、まずしいヒツジ飼い夫婦が住んでいました。
 子どもがなくて、さびしくくらしていましたが、ある日とつぜん、男の子が生まれたのです。
 二人は喜んで、グナンという名まえをつけました。
 グナンは生まれるとすぐ、歩きだしました。
 一時間ごとに大きくなって、一日もたたないうちに、ふつうのおとなよりも、もっと大きくなってしまいました。
 お父さんとお母さんは、それを見てこまりました。
 こんなに大きな子に、なにをたべさせたらいいのだろうと、心配になったのです。
 すると三日目に、グナンがいいました。
「お母さん、うちはびんぼうで、ぼくがいたら、食べ物にこまるでしょう。どこかへ働きにいかせてください」
 お母さんはいろいろ考えたあげく、王さまのところなら、つかってくださるかもしれないと思いました。
 そこでお父さんとお母さんは、なみだを流しながら、グナンを旅にだしてやりました。
 グナンはとちゅうで、おなかがペコペコになりました。
 なにかたべるものはないだろうかと思っていると、ふいに一匹のオオカミが、とびかかってきました。
「これは、うまいごちそうだ」
 グナンは、こわがるどころか喜んで、そのオオカミをやっつけると、肉を焼いてたべてしまいました。
 それからまた、ドンドン歩いていきました。
 やがて、王さまのご殿につきました。
 王さまはグナンを見ると、ひとつためしてやろうと思って、ウシを一頭、まる焼きにしてだしました。
 するとグナンは、ニコニコしながら、その肉をペロリとたいらげてしまったのです。
 これを見て、王さまはグナンを、自分のおそばつきの家来にしました。
 おそばつきになったグナンは、それからはいつも王さまのおともをして、遠い森へ狩りにいっては、みごとなえものをしとめました。
 ある日のこと、王さまといっしょに、深い森にいったときです。
 ふいにしげみの中から、目を光らせたトラがおどりでてきました。
 王さまは、ビックリ。
 ウマにムチをあてると、命からがらにげだしました。
 家来たちもあわてふためいて、われさきにと頭をかかえてにげました。
 けれども、グナンはおちついたものです。
 とびかかってきたトラの片足をつかんで、ブルンブルンとふりまわし、そばの大きな木をめがけてたたきつけました。
 さすがの大トラも、そのまま死んでしまいました。
 王さまは家に帰りついても、まだウマにしがみついたままで、おりることもできません。
 家来たちがやっとのことで、ウマからはなして助けおろしました。
 ちょうどそこへ、グナンが死んだトラをかついでもどってきました。
 それを見ると、王さまは腰をぬかすほどおどろいて、
「みなのもの、はやく入り口をまもれ。トラを入れるな」
と、ふるえた声でいいました。
「あのう、死んだやつでも、いけないんですか?」
 グナンがそういうと、
「なんだ、はやくそういえばいいのに」
と、王さまはプンプンとおこりました。
 そして王さまはそのトラの皮で、りっぱなしきものをつくりました。
 しいてみると、なんともいえない、いい気持です。
(こんどはひとつ、トラの王の皮で、わしのきものをつくってみよう。それをきたら、さぞすばらしいだろうなあ)
と、思うと、ほんとうにほしくてたまらなくなりました。
 そこで王さまは、グナンをよんで、
「三日のあいだに、トラの王をとらえてこい。とらえてこなければ、おまえの命はないぞ」
と、いいつけました。
 さあ、グナンはこまってしまいました。
 なにしろ、トラの王さまというのが、いったいどんなやつで、どこにいるのか、けんとうもつきません。
 そうかといって、三日のうちにとらえてこなければ、命はないというのです。
 グナンがホトホトこまっていると、
「グナンや。心配することはない。この、あしげのウマに乗っていきなさい」
と、いう声がしました。
 ふりかえってみると、一人のおじいさんがいました。
「トラの王は、遠い北の山のほら穴の中にいる。さあ、これに乗っていきなさい」
 そういうと、おじいさんのすがたは消えて、あとにはあしげのウマだけがのこっていました。
 グナンはさっそく、そのウマに乗って出発しました。
 ウマは、とても走りがはやく、まるではなたれた矢のように走りました。
 しばらく走っていくと、ふいに、
「助けてえ!」
と、いう、子どもの声がしました。
 それは、むこうに見える家のそばから聞こえてきました。
 見ると、一匹のオオカミが、女の子にとびかかろうとしています。
 グナンはウマに乗ったまま、いそいで弓に矢をつがえてはなちました。
 矢はみごとに、オオカミの頭にあたりました。
 女の子は、ぶじに助かりました。
 このとき、家の中から女の子のお母さんがかけだしてきました。
 そして、子どもが助かったのを見ると、お礼にヒツジの骨をさしだしていいました。
「うちはびんぼうで、なにもお礼することができません。せめて、このヒツジの骨をお持ちください。お役にたつときが、きっときます」
 グナンはそれをうけとると、また北ヘむかってウマを走らせました。
 しばらくすると、大きな川にでました。
 わたる橋も、乗る船もありません。
 そのとき、大きなカメが川の中からあらわれて、
「おまえには、この川はわたれないだろう。はやく家に帰りなさい」
と、いいました。
「いや、なんとかして、わたってみせる」
 それを聞くと大ガメは、川の中からはいだしてきて、グナンにいいました。
「なかなか、しっかりした若者だな。ひとつ、おまえにたのみがある」
「ぼくに、できることなら」
「わしの左の目が、いたくてたまらん。この目玉を新しいのにとりかえたいのだ。てつだってくれないか?」
「いいとも、てつだってやろう」
 グナンは、カメの目玉をほじくりだしてやりました。
 そのとたん、カメは一匹のリュウになって、
「ありがとう。おかげでさっぱりした。その目玉を持って、川をいきなさい」
と、いうと、天ヘとびさっていきました。
 グナンが手の中の目玉を見ると、キラキラとかがやく、スイショウの玉にかわっていました。
 グナンはいわれたとおりに玉を持って、ウマを走らせて、川の中にとびこみました。
と、ふしぎなことに、川の水は二つにわかれました。
 川のまんなかに、道があらわれたのです。
 グナンはウマにまたがったまま、らくらくと、川をわたることができました。
 しばらくいくと、ある家の前で、ヒツジ飼いのおじいさんがなみだを流していました。
「おじいさん。どうかしたんですか?」
 グナンは、ウマをとめて聞きました。
「はい。娘がきのう、トラの王にさらわれてしまいました」
と、おじいさんはこたえました。
「なにっ。トラの王だって。では、やつの住みかも近いにちがいない。おじいさん。わたしがきっと、助けだしてあげます」
 そういうなり、グナンはウマにムチをあてて、北にむかってとぶようにかけていきました。
 日がくれかかったころ、グナンは、トラの住みかを見つけました。
 トラは、山の上の岩のほら穴に住んでいました。
 その入り口には、十何匹ものトラが番をしています。
 グナンがほら穴に近づくと、番をしていたトラが、うなり声をあげておそいかかってきました。
 グナンが持っていたヒツジの骨を投げてやると、トラはいっせいに骨に集まりました。
 そのすきに、グナンはほら穴の中にとびこみました。
 ほら穴のおくには、一人の娘がすわっていました。
 グナンを見ると、ビックリして、
「さ、はやく、にげてください。トラの王は朝でかけて、もう帰るころです」
「いや、あなたを助けるのがさきです。さあ、はやくこのウマに乗ってください」
 二人がほら穴をでると、トラどもは、まだヒツジの骨をうばいあってたベています。
 グナンはウマにムチをあてて、風のように山をかけおりました。
 このとき、とつぜんあやしい風がふきだしました。
 ふりかえって見ると、ものすごいかいぶつが追いかけてきます。
 そのかいぶつは、頭はトラで、からだは人間、おまけにからだじゅうに、金色の毛がはえているのです。
 これが、トラ王なのです。
 グナンはウマを走らせたまま、ふりむきながら矢をはなちました。
 矢はトラ王の片目にあたり、おこったトラ王はひと声ほえたてると、ツメをのばして、グナンをウマからひきずりおろしました。
 そして地面の中へ、腰までめりこませてしまいました。
 グナンは、すぐにもがきでると、こんどは反対に、トラ王を首までめりこませてしまいました。
 そしてトラ王の頭の上に、大きな岩をドシン! と、投げおとしました。
 さすがのトラ王も、これで死んでしまいました。
 グナンは、死んだトラ王をひきずって、娘の家にもどりました。
 するとおじいさんは、グナンに、
「ほんとうに娘を助けてくださって、お礼のことばもありません。どうか、この娘をよめにもらってください」
と、いいました。
 娘は、グナンのお嫁さんになりました。
 グナンはトラの王をころして、おまけに美しいお嫁さんまでつれて、王さまのもとに帰ってきました。
 王さまはそれを見ると、こんどはねたましくなりました。
 そこでさっそく、グナンにいいつけました。
「おまえの妻(つま)に、トラ王の皮でわしのきものをつくらせろ。そのとき、トラの毛が一本でもぬけ落ちたら、罰(ばつ)として妻をさしだせ」
 グナンのお嫁さんは、その命令どおりに、トラ王の皮できものをぬいあげました。
 王さまはその皮のきものを見ると、すっかり喜びました。
 国じゅうの人びとに、このきものをきた自分のすがたを見せて、じまんしたくなりました。
 そこで命令をだして、国じゅうの人びとを集めました。
 いよいよ、にぎやかな宴会(えんかい)がはじまりました。
 音楽が高らかになりひびくと、王さまは高い台の上に立って、サッと手をふりました。
 それをあいずに、つつみをささげた家来がしずかに台にのぼって、中から金色に光るトラ王の皮のきものをとりだしました。
 家来は、人びとの前に三度ふりかざして見せてから、王さまのからだにきせかけました。
と、そのとたん、王さまの口は見る見るさけて、ほんもののトラになって、ウォーッと、ほえたのです。
 人びとは、ビックリ。
 いちもくさんに、にげだしました。
 トラは、ヒラリと台からとびおりると、にげまどう人びとを追いまわしました。
 グナンは、どうしていいかわかりません。
 そのうちにトラは、ますますあばれまわり、人びとのなきさけぶ声は高くなりました。
 グナンはトラを退治しようとけっしんしましたが、弓も矢も持っていません。
 どうしようかと思っているうちに、そのトラが、グナンめがけておそいかかってきました。
 けれどグナンは、すこしもおそれません。
 トラのしっぽをつかまえると、ブンブンとふりまわして、地面へ一気にたたきつけました。
 それを見て、人びとはまた、集まってきました。
 そしてトラの死がいを、地面の下に、深くうずめてしまいました。
 それからのちは、この草原にも、平和な毎日がつづくようになりました。
 グナンは美しい妻をつれ、あしげのウマに乗って、お父さんお母さんのまっているわが家に帰っていきました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日バカヤローの日
きょうの誕生花 → みすみそう(ゆきわりそう)
きょうの誕生日1978年 菊川怜 (タレント)


きょうの新作昔話 → まこもが池のオシドリ
きょうの日本昔話 → クラゲのおつかい
きょうの世界昔話 → トラになった王さま
きょうの日本民話 → カッパのわび証文
きょうのイソップ童話 → 足をけがしたふりをするロバとオオカミ
きょうの江戸小話 → おれじゃない


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2月27日の世界の昔話 わすれな草


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2月27日の世界の昔話



わすれな草



わすれな草
スイスの昔話 → スイスの国情報


 むかしむかし、あるところに、とてもなかのよい男の子と女の子がいました。
 あるとき、この二人が山のぼりにでかけました。
 手をつないで歌をうたい、ズンズンとのぼっていくと、やがて川が見えてきました。
「あら、あんなところに花がさいてる」
 女の子がいいました。
 ゴウゴウとながれる川のすぐそばに、青い花がさいていたのです。
 男の子は大好きな女の子のために、その花をとってきてあげようと思いました。
 体がぬれるのも気にしないで、男の子は岩をのぼっていきます。
 ところが、その花に手をのばしたとたん、川の水で足がすべりました。
 男の子はあわてて花をつむと、女の子にむかってその花をなげました。
 そしてそのまま川におちると、すごいはやさで流されていきます。
 ゴウゴウという水の音にまじって、男の子の声が聞こえてきました。
「大好きだよ! いつまでも、ぼくをわすれないでね!」
 そのときから、その青い花には「わたしをわすれないでね」という意味の『わすれな草』という名まえがついたそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日新撰組の日
きょうの誕生花 → サキシフラガ(くもまぐさ)
きょうの誕生日1969年 富田靖子 (俳優)


きょうの新作昔話 → 大アワビの怒り
きょうの日本昔話 → 旅は道連れ
きょうの世界昔話 → わすれな草
きょうの日本民話 → カッパと伝次の約束
きょうのイソップ童話ライオンの皮を着たロバとキツネ
きょうの江戸小話 → ふとん


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2月26日の世界の昔話 ソバとゆうだち


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2月26日の世界の昔話



ソバとゆうだち



ソバとゆうだち
アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細


 むかしむかし、あるところに、ひろいひろい畑がありました。
 その畑では、大ムギや、小ムギや、カラスムギがたくさんつくってあります。
 ソバの畑もありました。
 ソバは、ツンとすまして、
「ぼくだって、ムギなんかにまけやしない。ぼくの花はリンゴの花のように白くてきれいだ。ねえ、そこのかわやなぎ(→ヤナギ科の落葉低木)さん。そうでしょう?」
「・・・・・・」
 かわやなぎは、そんなことはどうだっていい、というような顔をしていました。
「なんだ、あんなバカな木。年をとりすぎて、体の中に草がはえてるんじゃないか?」
と、ソバはプンプンおこりました。
 でも、ふるいかわやなぎの木のさけめに、草がはえているのはほんとうでした。
 そのとき、ひどいゆうだちがやってきました。
 いなびかりがして、ゴロゴロと大きなカミナリがなりました。
 そして、バケツをひっくり返したように、大つぶの雨がはげしくふってきました。
 畑のさくもつは、みんな頭を下げて、花びらをとじ、ゆうだちがすぎるのをまちました。
 それなのに、ソバだけはいばって、そりかえっています。
「ソバさん、頭をお下げなさいな」
 ほかのさくもつがいいました。
「だれに頭を下げるんだね? なんのために?」
「つよい雨に、たたきつけられます。はげしいイナヅマに目がくらみます。あのイナズマの中には、天の神さまがいらっしゃるんですよ」
「よし、ぼくは神さまを見てやろう」
 ソバはいっそう、そりかえりました。
 そのとき、まるで世界中が、火につつまれたかとおもうほど、はげしくイナズマが光ました。
「あっ!」
 こうして、ゆうだちはとおりすぎていきました。
 雨はやみ、日の光がさしてきました。
 むこうの山からこちらの山へ、きれいなにじのはしがかかりました。
 さくもつも花も、さっきの雨ですっかり元気になりました。
 だれもが顔をあげて、きれいなにじを見ました。
「・・・きれい」
 ゆうだちのあとはせいせいして、なんともいえないいいきもちです。
 その中で、ソバだけがしおれきって、まるで元気がありません。
 頭を下げることを知らないソバは、ゆうだちにうたれて、クタクタになっていました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日咸臨丸の日
きょうの誕生花 → スノードロップ
きょうの誕生日1956年 桑田佳祐 (ミュージシャン)


きょうの新作昔話 → 大平長者
きょうの日本昔話 → ひっぱりあいず
きょうの世界昔話 → ソバとゆうだち
きょうの日本民話 → おたつ女郎
きょうのイソップ童話 → 旅に出たディオゲネス
きょうの江戸小話 → 七の字


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2月25日の世界の昔話 やまのおかしら


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2月25日の世界の昔話



やまのおかしら



やまのおかしら
フィリピンの昔話 → フィリピンの国情報


 むかしむかし、マヨンという山の近くに、シヌクアンという大男がいました。
 からだじゅうが、けもののように毛むくじゃらで、かみの毛もかれ草のようにのびほうだいです。
 風がふくと、からだの毛やかみの毛が、ビュー、ビューと、音をたてるのです。
 でも、子どもずきのやさしい若者で、よく、子どもたちをあつめては、
「さあ、坊やたち。みんなでおじさんの腕(うで)にぶらさがってみな」
と、ふとい腕をのばしてやります。
 すると子どもたちは、ふとい腕でブランコをしたり、さかあがりをしたりしてあそびました。
 また、力持ちで親切なシヌクアンは、村じゅうの力しごとをてつだって、みんなから喜ばれていました。
 ある日、シヌクアンのところへ、山のけものたちがぞろぞろとやってきました。
「なんだ、おまえたち。さては、また畑をあらしにきたんだな?」
 シヌクアンがいうと、けものたちはあわてて手をふっていいました。
「と、とんでもございません。シヌクアンさまのような力持ちのおられるところへ、どうして畑をあらしになどくるものですか。じつは、おねがいがあってまいりました。わたしたちけものの、お頭(かしら)になってほしいのです」
「なに、お頭にだって?」
「はい。シヌクアンさまほど、人のためにつくす人はおられません。それで、そういうかたこそ、けもののお頭になっていただきたいという、みんなののぞみなのです」
 シヌクアンはしばらく考えていましたが、やがて、毛むくじゃらの胸をボンとたたいていいました。
「よし。頭になってやろう」
 あくる朝、シヌクアンがまだねているうちに、一羽の小鳥がやってきました。
「お頭。いつでもこまったことがあったら相談にくるようにとおっしゃったので、さっそくおねがいにまいりました。じつは、わたしが住んでいる森のおくに、沼(ぬま)があるのですが、そこのカエルどもがギャアギャアうるさくないてこまっているのです」
「ふーん。しかし、カエルは歌がすきだから、みんなで歌でもうたっているんだろう」
 シヌクアンは、ねむい目をこすりながら小鳥をなだめました。
「いえいえ。それがきたない声で夜どおしわめくんですからたまりません。おかげで小鳥たちは、ひと晩じゅうねられなくてフラフラです。どうか、カエルどもをこらしめてください」
「ふーん。それはカエルが悪いようだ。よし、カエルをつれてこい」
 小鳥にいわれて、年とったカエルがシヌクアンのところへやってきました。
 シヌクアンは、さっそく小鳥の話をしてカエルをしかると、カエルはふくれっつらでこたえました。
「お頭。わたしたちカエルが、夜どおしないているのは、歌がすきなためではありません」
「なに、それならどういうわけだ?」
「カメが悪いからですよ。カメがあの大きな重い家をせおったまま、ドボンドボンと沼(ぬま)へとびこむので、あぶなくってしょうがないんです。それで下じきになってつぶされないように、自分のいるところをカメに知らせるためにないているんですよ」
 シヌクアンはきいているうちに、カエルのいうことがもっともだと思いました。
「そうか。そうだったのか。よし、けしからんカメをよべ」
 年とったカエルは、やはり年とったカメをつれてきました。
 でも、カメはなにもいわないうちから、首をすくめてだまっています。
「こらこら、カメ。だまっていてはわからん。カエルのいうことがほんとうなら、こんやから家をせおったまま、沼へとびこんではならんぞ」
「お頭さま。それはお話がちがいます。わたしどもは、カエルさんにけがをさせるつもりで沼へとびこむのではありません。沼のあたりに住んでいるホタルが、ボウボウともえている火をもってとびまわるので、家がやかれてはたいへんだと、沼へとびこむのでございます」
「ふーん。それはしらなかった。ホタルが火遊びをしていては、なるほどあぶない。ホタルをよんで、こらしめてやらねばならん」
 カメとホタルはつれだって、シヌクアンのところへやってきました。
「お頭。おまたせいたしました。こいつが火遊びをしているホタルでございます」
「うそです。わたしたちはそんなあぶない遊びなど、一度もしたことがありません」
と、ホタルがいいました。
「ほう、それならなぜ、火をもってとびまわっているんだね」
「はい。悪いのはカどもです。チクリ、チクリと、するどい剣でわたしたちをさしますので、しかたなしにわたしたちは火をつけて、夜どおしカの見はりをしているのです」
と、ホタルがわけを話しました。
「さてさて、ひとつのできごとでも調べれば調べるほどむずかしいものだ。しかし、これはどうやらカが悪いようだ。カをよんで、よくいいきかせてやらねばならぬ」
 シヌクアンはホタルにいいつけて、カをよびにやらせました。
 まもなくカは、ブンブンいいながらやってきました。
「これこれ、カ。お頭のシヌクアンさまにごあいさつをしないか」
 ホタルがいいましたが、カはあいかわらず、ブーン、ブーンというばかり。
「こら、カ。おまえは、やたらにその剣でホタルをつきさすそうだが、それにまちがいないか?」
 シヌクアンがききましたが、カはプクッとふくれたまま、へんじをしようとしません。
「へんじができないところをみると、おまえのしわざだな。よし。バツとしてろうやにいれてやる」
 シヌクアンはカをつかまえて、ろうやの中へいれました。
 でもまだ、ほかのカがその近くをブンブンととんでいます。
「ようし。みんなつかまえろ」
 シヌクアンはみんなといっしょに、ほかのカもつかまえました。
 そして山のほら穴の中へ、とじこめてしまいました。
「やれやれ。これですこしは、こたえたろう」
 山のけものたちは、みんなホッとしました。
 ところがメスのカはあやまったので、ゆるしてもらいましたが、オスのカだけは、どうしてもあやまりません。
 それでとうとう、長いあいだとじこめられているあいだに、オスのカは声をだすのを忘れてしまいました。
 でもシヌクアンのおかげで、マヨンの山はみんなたのしく、しあわせにくらせるようになりました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日夕刊紙の日
きょうの誕生花 → カランコエ
きょうの誕生日1972年 有野晋哉 (芸人)


きょうの新作昔話 → さかな売りとキツネ
きょうの日本昔話 → カニにまけたネコ
きょうの世界昔話 → やまのおかしら
きょうの日本民話 → よっぱらったスズメ
きょうのイソップ童話家がらくらべをするキツネとサル
きょうの江戸小話 → まんじゅうこわい


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2月24日の世界の昔話 橋の上の幸福


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2月24日の世界の昔話



橋の上の幸福



橋の上の幸福
ポーランドの昔話 → ポーランドの国情報


 むかしむかし、スウーピア川のほとりに、小さな家がありました。
 この家には、お父さんとお母さん、それに子どもが三人ですんでいました。
 お父さんは働き者でしたが、くらしはまずしいので、三人の子どもたちはいつもおなかをすかしていました。
 毎年春になるころには、この家ではパンを一切れも食べられなくなり、ゆでたジャガイモにヤギのミルクをかけて食べる日が何日も続くのです。
 ある年の春、そのジャガイモもなくなったため、お父さんはスウーピア川につりに出かけました。
「どうか、魚の一匹でもつれますように」
 神さまにおいのりしてつりを始めましたが、とうとう夜になっても一匹もつれません。
 お父さんは、トボトボと家に帰りました。
 家では、子どもたちとお母さんがねむっていました。
 テーブルの上には、ヤギのミルクがほんの少しお皿にのこっています。
「ああ、今夜もヤギのミルクだけだったのか。そのうちに、ヤギもやせてしまってミルクを出さなくなるだろう」
 お父さんは大きなため息をついて、ワラのベッドにもぐりこみました。
 そしてその夜、お父さんは夢を見ました。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
と、夢の中で誰かが言うのです。
 朝になり、お父さんは目をさましてその言葉をくり返しました。
「シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うか。・・・いや、ただの夢じゃないか。本気にするなんてバカバカしい」
 お父さんはそう思って、その日もつりに出かけました。
 けれども魚は、夜になってもつれません。
 そしてまた、同じ夢を見たのです。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
 お父さんは、首をかしげました。
「二日も続けて同じ夢を見るなんて、もしかすると・・・。いや、腹がすきすぎて、どうかしてしまったのかもしれない」
 お父さんはそう思いながら、また川へつりに行きました。
 けれど、きのうと同じように魚はつれず、その夜また、同じ夢を見たのです。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
 朝になり、お父さんはお母さんに夢の話をしました。
「どうも、三日も続けて見るってことは、夢のおつげは神のおつげかもしれねえ。そんな気がしてきたんだ」
 すると、お母さんはまじめな顔でこう言いました。
「きっとそうですよ。ちょうどシチェチンでは市場もたつから、お前さん、ついでに働いておいでよ。パンの一斤(きん→重量の単位で、1斤は約600グラム)くらいかせげるかもしれないよ。だって、神さまのお告げだもの。パンの一斤くらいめぐんでくださるわよ」
「そうだな。そうしよう」
 お父さんは、さっそく出かけて行きました。
 途中で友だちの馬車(ばしゃ)に会ったので乗せてもらい、お父さんは三日後にシチェチンの大橋につきました。
 夢のお告げどおり、お父さんは大橋の上でジッと立って幸福を待ちました。
 でも、夕方になっても何も起こりません。
 今から市場へ行って仕事を探すには遅すぎますし、宿に泊まるお金など持っているはずはありません。
「しかたない。今夜は橋の下で眠るか」
 お父さんが冷たい風に身を震わせると、一人の老人が近づいて来ました。
「どうしたね。こんなところでふるえて」
「はい、それは・・・」
 お父さんは、三日続けて見た夢の話をしました。
 すると老人は手をたたいて笑い、こう言ったのです。
「そうか、そうか。実はな、わしも同じ夢を三日続けて見たんじゃよ。なんでもスウーピア川のほとりにまずしい五人家族の家があってな。その家の暖炉(だんろ)の下に大金がうめてあるからほれと言うんじゃ。しかし、誰がそんな夢の話を信じるかね」
 話を聞き終わると、お父さんは老人の手をとり、
「そうですね。私が馬鹿だった。すぐ帰ります」
と、別れをつげ、大橋から遠い家まで走って行きました。
 スウーピア川のほとりの五人家族のまずしい家と言ったら、お父さんの家しかありません。
 お父さんは走って走って、友だちの馬車に追いつき、三日後には家に帰りつきました。
「あら、あなた、おかえり。それで、パンは?」
と、出むかえるお母さんと子どもに返事もせず、お父さんはオノでいきなりレンガの暖炉をこわし始めました。
「あなた、何するの!」
 おどろいたお母さんがとめようとしましたが、暖炉をこわしたお父さんは、次に暖炉の下をほり始めたのです。
 お母さんも子どもたちも、お父さんがあまりにもしんけんなので、何も言わずにそばでジッと見ていました。
 そしてしばらくすると、お父さんがさけびました。
「あったぞ!」
 そして、土の中から大ナベを重たそうに引きあげると、それをテーブルに運んでふたをとりました。
「まあ!」
 大ナベの中には、金貨がたくさん入っていたのです。
「あなた! 夢のおつげはこれだったのね!」
「そうさ! これが、夢でおつげのあった幸福だったんだ」
 お父さんはその金貨で、パンとソーセージを山ほど買い、子どもたちとお母さんにおなかいっぱいに食べさせました。
 じつはこの金貨は、お父さんのひいじいさんがためたものでした。
 ひいじいさんは、この金貨でレストランを開こうと考えていたのです。
 そのことを思い出したお父さんは、のこった金貨でシチェチンの大橋にレストランを開きました。
 そのレストランはとても人気を集めて、家族はしあわせにくらしたのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 月光仮面の日
きょうの誕生花 → クロッカス
きょうの誕生日1967年 コージー冨田 (タレント)


きょうの新作昔話 → 長者の森
きょうの日本昔話 → よっぱらいのばけものたいじ
きょうの世界昔話 → 橋の上の幸福
きょうの日本民話 → 爺婆かぼちゃ
きょうのイソップ童話 → よっぱらいとおかみさん
きょうの江戸小話 → 小男のねがい


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2月23日の世界の昔話 かしこいグレーテル


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 2月の世界昔話


2月23日の世界の昔話



かしこいグレーテル



かしこいグレーテル
グリム童話 → グリム童話の詳細


 むかしむかし、あるお屋敷の主人が、お手伝いのグレーテルに言いました。
「今日の晩ごはんは友だちといっしょに食べるから、ニワトリの丸焼きを作っておくれ」
 それでグレーテルは、夕方になるとニワトリを焼き始めました。
「だんなさま。お友だちは来ましたか? もうすぐニワトリの丸焼きができますよ」
「いや、まだ来ないんだ、どうしたのかな?」
 やがて、ニワトリの丸焼きが出来ました。
「だんなさま。お友だちは来ましたか?」
「それがまだなんだ。すぐよんでくるから、丸焼きを皿にのせておいてくれ」
 主人が外へ飛び出すと、グレーテルは丸焼きが上手に出来たかどうか確かめるために、一口パクリと食べてみました。
「うん、おいしくできたわ」
 ニッコリ笑って、グレーテルは丸焼きを皿にのせました。
 でも、主人は帰ってきません。
「丸焼きは、あたたかい方がおいしいのに」
 そう言って、グレーテルはまた丸焼きをパクリ。
 それでも、主人は戻ってきません。
 だから、もう一口パクリ。
 そのあとも、
「まだかしら」
 パクリ。
「おそいわねえ」
 パクリ。
「冷めちゃうのに」
 パクリ。
 とうとう、ニワトリの丸焼きを全部食べてしまいました。
 そこへ主人が帰ってきて、
「友だちはもうすぐ来るらしい。わたしは今のうちに、食事の時に使うナイフをよく切れるようにしておくよ」
と、ナイフをとぎ始めました。
 さあたいへん。
 自分がニワトリの丸焼きを食べてしまったことを主人に知れたら、グレーテルは怒られてしまいます。
 どうするか、なやんでいるとき、ついに主人の友だちが来ました。
「あっ、そうだわ」
 わるぢえをひらめいたグレーテルは、急いで玄関(げんかん)に行くと、主人の友だちにこっそり言いました。
「あなたがなかなか来ないので、だんなさまはカンカンに怒っています。どうやら、あなたの耳を切ってしまうつもりらしいですよ」
 友だちはビックリして、あわてて逃げました。
 その足音を聞いて、主人はナイフを持ったまま。
「おーい、どうしてうちでごはんを食べないんだよう」
と、追いかけました。
 そのまま二人は一晩中、町を走り回っていました。
 おかげでグレーテルは、ニワトリの丸焼きを食べたことを主人に知られなくてすみました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日税理士の日
きょうの誕生花 → じんちょうげ
きょうの誕生日1956年 野口五郎 (歌手)


きょうの新作昔話 → 踊る三毛猫
きょうの日本昔話 → ひろったさいふ
きょうの世界昔話 → かしこいグレーテル
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2月22日の世界の昔話 おばあさんと山のヤギ


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2月22日の世界の昔話



おばあさんと山のヤギ



おばあさんと山のヤギ
アルバニアの昔話 → アルバニアの国情報


 むかしむかし、山のふもとの小さな家に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 冬のある日、おじいさんとおばあさんは、つまらないことからけんかをしてしまいました。
「なんてガンコなんだろう。わたしはここを出て行くよ!」
 怒ったおばあさんは外へ飛び出すと、さむい北風の吹く中、山の中へズンズンと歩いて行きました。
 気がつくと、日も暮れてしまいました。
 今からもどっても、この寒さでは途中で凍え死んでしまうでしょう。
「どうしよう?」
 出てくる涙も、凍ってしまう寒さです。
 そのとき、むこうにポツンとあかりが見えました。
「ああ、誰かが住んでいるんだ。行ってみましょう」
 やっとたどりついたその家は、岩のほら穴に木のとびらがついています。
 あかりは、そのとびらのすきまからもれていました。
 トントントン。
 とびらをたたくと、出てきたのは一匹のヤギです。
「あの、一晩、泊めてくださいな!」
 おばあさんは、ヤギのむこうに誰かいるのだろうと思って、大声で言いました。
 すると、ヤギが答えたのです。
「わたしらが怖くなかったら、どうぞ」
「まあ! ・・・いいえ、怖いだなんて。ヤギはうちにもいましたから大丈夫ですよ。しゃべれるヤギは、初めてですが」
 おばあさんは、しゃべるヤギにおどきましたが、早く中にはいりたいのでそう言いました。
 ヤギはおばあさんを、ランプのともる部屋に連れて行ってくれました。
 部屋のまんなかには大きなテーブルがあり、そのテーブルをかこんで、六匹のヤギがご飯を食べていました。
 その家にいたのは、七つの目があるヤギ、六つの目があるヤギ、五つの目のヤギ、四つ目のヤギ、三つ目のヤギ、それに扉をあけた二つ目のヤギと、一つ目のヤギでした。
 おばあさんは怖ろしくてドキドキしましたが、寒い山にいるよりはましです。
「こんばんわ、七匹のヤギさん」
 おばあさんがあいさつをすると、七つの目のヤギが、ヤギの乳のスープやチーズをすすめてくれました。
 おばあさんは、大喜びでごちそうになりました。
 ヤギの乳で作ったスープやチーズはとってもおいしくて、おばあさんはすぐに元気になりました。
 ごちそうになったお礼に、おばあさんはヤギたちに昔話を話したり、歌をうたって聞かせました。
 ヤギたちはとても喜んで、おばあさんに言いました。
「よかったら、ずっとここにいてください」
 おばあさんは次の日からそうじをしたり、草を干してベッドを気持ちよくしたりと、いっしょうけんめいヤギのために働きました。
 ヤギたちは乳をしぼり、ヨーグルトやバターをたくさん作ります。
 おばあさんはそれを食べて、とても元気に過ごしました。
 寒い日は続きましたが、久しぶりに空が晴れたので、おばあさんはおじいさんの様子を見に行くことにしました。
「けんかをして飛び出してきたけど、やっぱり心配だもの」
 おばあさんが出かけようとすると、七匹のヤギはヨーグルトのツボを持たせてくれました。
「おじいさんへのおみやげに持っていって。でも、また帰って来てね」
「ええ。ありがとう」
 山を下りてなつかしいわが家に帰ると、畑は凍りつき、家は汚れてこわれそうでした。
 ギイギイとなる家のとびらを開けると、おばあさんはひめいをあげました。
 なんと、おじいさんが凍え死んでいたのです。
「ああ、おじいさん、どうしましょう」
 おばあさんは泣きながら、おじいさんのくちびるにヤギのヨーグルトをぬってあげました。
 すると、どうでしょう。
 おじいさんの目が、パッチリと開いたのです。
 おばあさんは大喜びです。
 そしておばあさんは、これまでのことを話して、
「おじいさんも、いっしょにヤギとくらしましょう」
と、さそいました。
 おじいさんは首にマフラーをまくと、おばあさんといっしょに行くことにしました。
 けれども、七つの目のヤギや、六つの目のヤギを見たとたん、おじいさんは怖がって
「ギャアアアー!」
と、さけんでしまったのです。
 その声におどろいて、七匹のヤギはどこかへ逃げてしまいました。
「おじいさん、なんてひどい声を出すのです! おじいさんは、あのヤギたちのくれたヨーグルトで生き返ったんですよ。わたしはなにがあってもヤギたちを見つけて、あやまって連れて帰りますからね」
 おばあさんは、一人でヤギたちをさがしに行きました。
 途中、何度も転んだり、強い風に谷底へつき落とされそうにもなりましたが、でもおばあさんはあきらめません。
「ヤギや、出て来ておくれ。おじいさんは良い人よ」
 そう言って、探し続けました。
 すると夕方になって、ヤギは一匹、また一匹と出て来ました。
「おばあさん、ほんとうにおじいさんは良い人?」
「私たちを、怖がったりしない?」
「ええ。ちょっとビックリしただけ。帰ればわかるわ、おじいさんはとてもやさしい人だってことが」
 おばあさんは、七匹のヤギといっしょにほら穴の家にもどりました。
 するとおじいさんは、
「おかえり!」
と、飛び出して来て、七匹のヤギのほっぺたに、順番にキスをしました。
 それから、おじいさんが暖炉(だんろ)にまきをくべてあたためておいた部屋で、おじいさんの作ったヤギの乳のスープとパンをみんなで食べたのです。
 そうして、おばあさんとおじいさんはヤギたちと仲良くくらし、ヤギの乳のごちそうを食べて、とても長生きしたそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日猫の日
きょうの誕生花 → アフェランドラ
きょうの誕生日1948年 都はるみ (歌手)


きょうの新作昔話 → 一枚のうろこ
きょうの日本昔話 → つめときばをとられたネコ
きょうの世界昔話 → おばあさんと山のヤギ
きょうの日本民話 → イノシシを退治した侍
きょうのイソップ童話トビとヘビ
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2月21日の世界の昔話 ウサギどん キツネどん


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2月21日の世界の昔話



ウサギどん キツネどん



ウサギどん キツネどん
ハリス童話 → ハリスの童話の詳細


 むかしむかし、原っぱの中を、ウサギがヒョイヒョイとあるいてきました。
 むこうをみると、おいしそうなやさいがたくさんおちています。
(こいつはラッキー)
と、くいしんぼうのウサギは、パッととびつきました。
 ところが、それは人間のしかけたワナで、ウサギはたちまちつかまってしまいました。
 逃げようにも、からだになわがまきついてしまい、うごくこともできません。
 そこへ、ワナをしかけた人間がやってきました。
「やいウサギ! おまえだな、まえからうちの畑のやさいをとってたべたりしていたのは。まずはおまえを、パンパンにぶってやろう」
 そういって人間は、ウサギをぶつための木のえだをとりに林へはいっていきました。
 ちょうどそこへ、キツネがやってきました。
 ワナにはまってうごけないウサギを見ると、キツネは、
「ほう、ウサギどん、きょうはまいってるようだね」
と、いいました。
 キツネとウサギは仲がわるくて、けんかばかりしていたのです。
 キツネがからかうと、ウサギはしばられているのにへいきなかおをして、
「キツネどん、わしがこんなワナなんかに、ひっかかるとおもうかね。これはわざとだ。わしがたのんで、人間にしばってもらったのだよ」
「えっ? なぜ、しばらせたのだい?」
「いま、村の知り合いとばったりあってね。結婚のおいわいがあるので、ぜひきてほしいとたのまれたんだが、その男はわしがきまぐれなのを知っていて、にげられないようにわざと木にぶらさげて、わしをはこぶカゴをとりにいったのさ。わしはそのむかえのカゴを、まっているわけだ」
「ふーん、そんなおいわいなら、ごちそうも多いだろうなあ」
「多いとも! おなかいっぱい、おいしいものがたべられるよ」
「いいなあ」
 くいしんぼうのキツネは、うらやましそうな顔をしています。
「どうだい、わしにかわって、そのおいわいに出てみたくないかい?」
「うん! ウサギどん、たのむから、わしをいかせておくれよ」
「よし、そんなにいうんなら、かわってあげようか」
 そこでウサギは、じぶんのからだのなわをキツネにほどかせて、そのかわりに、キツネのからだをしばってしまいました。
 そしてじぶんはさっさと、どこかへきえていきました。
 そのあとそこへ人間がもどってきて、ウサギがキツネにかわっているのでビックリ。
「あれ、いつのまに、かわったのだい? だが、キツネもニワトリをとったりするこまりものだ。よし、きょうはおまえをこらしめてやろう!」
 人間は木のぼうで、ポカリポカリとキツネをぶちます。
 キツネはしばられているので、にげることができません。
 そのうちに、つかっていた木のぼうがおれたので、男はかわりのぼうをひろいに、また林へはいっていきました。
 そこへウサギが、もどってきました。
「ウサギどん、ウサギどん、たすけてくれ」
と、キツネはいっしょうけんめい、ウサギにたのみます。
「たすけてやってもいいが、これからは、わしに出あったら、『いつでも、お元気ですか? ウサギどん』と、あいさつするかい?」
「うん、するする! きっとあいさつするよ!」
「よし、じゃあ、たすけてやろう」
と、ウサギはキツネのなわをといてやりました。
「ああ、ありがとう。おかげでたすかったよ」
 キツネはウサギにだまされてしばられたこともわすれてしまい、ただワナからぬけでることができたのをよろこんで、おれいをいっています。
 そして、人間がまたぼうをひろってもどってきたときには、ウサギもキツネも、もうどこかへいったあとでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日日刊新聞創刊の日
きょうの誕生花 → ひがんざくら
きょうの誕生日1964年 モモコ (漫才師)


きょうの新作昔話 → 山童(やまわらべ)
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きょうの世界昔話 → ウサギどん キツネどん
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2月20日の世界の昔話 リスとマツの木


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2月20日の世界の昔話



リスとマツの木



リスとマツの木

アメリカの昔話 → アメリカの国情報


 むかしむかし、インデアンの村に、ジーニという若者がいました。
 ジーニは遠くの村から、お嫁さんをもらいました。
 ある晩、ジーニがこわい夢を見て目をさますと、お嫁さんの姿が見えません。
 でも朝になると、いつのまにか、お嫁さんはかえってきていました。
 つぎの晩、ジーニは目をつぶって、ねたふりをしていました。
 すると、どこからか大きい黒ネコがあらわれて、
「おい、早くこい。みんな、あつまっているぞ」
と、お嫁さんに小声でいいました。
 お嫁さんは、ジーニがよくねむっているのをたしかめると、家をそっとぬけだしました。
 ジーニも、いそいであとをつけていきます。
 お嫁さんと黒ネコは、ある大きな山のほら穴につきました。
 そこでお嫁さんは、パッと、モモ色のネコにばけると、そのほら穴の中へとびこみました。
 なんとお嫁さんは、おそろしい魔法使いの仲間だったのです。
 中では、まっ赤な火がもえており、その上に大ナベがかかっています。
 まん中にすわっているのが、魔法使いの親分でした。
 子分たちは、ネコやオオカミフクロウやハゲタカなどの姿にかわって、火のまわりをかこんでいました。
 ジーニは、ほら穴をのぞきこんでいるところを、フクロウにみつかってしまいました。
 そして魔法使いの親分のまえに、ひきずりだされました。
「ここへきたものは、生きてかえすわけにはいかないぞ! だが、もしもおまえの母親と妹の心臓をもってきたら、命をたすけて仲間にしてやろう」
 魔法使いの親分は、おそろしい声でいいました。
 村にもどったジーニは、村で一番物知りのおじいさんにそうだんしました。
「魔法使いには、ヤギの心臓をもっていってごらん」
 こういうと、小さいおまもりの貝がらをジーニにわたしました。
「この貝は、おまえの命をまもってくれるだろう。大切にもっていなさい」
 さて、夜になると、ジーニはヤギの心臓をもってほら穴へでかけていきました。
 魔法使いの親分は、その心臓を大ナベに入れて煮(に)ました。
 すると、ナベの中で、
「メー、メー、メー」
と、ヤギのなき声がしました。
「ほほう。おまえの先祖はヤギだというのか。よし、家へかえってねてしまえ」
 親分が、どなりました。
 ジーニはホッとして家へかえると、グッスリとねました。
 ところがジーニは、すでに魔法をかけられていたのです。
 よく朝、ジーニが目をさますと、高い高いがけの、せまい岩だなの上にねていました。
 岩だなの上も下も、何百メートルもある岩のかべでした。
 のぼることもおりることも、からだを動かすことさえできません。
 ジーニは、ジッと岩だなにねていました。
 ひるまは、やけるように暑いお日さまがてりつけます。
 夜は寒くて、こおってしまいそうです。
 おなかはすくし、のどがかわいて、からだがドンドンとよわっていきました。
 おじいさんにもらったおまもりの貝がらがなかったら、ジーニは、とっくに死んでしまったことでしょう。
 貝がらが、命だけはまもってくれたのです。
 ある日、ジーニの足の上に、なにかがとびのりました。
 それは、一匹の子リスでした。
お母さん、人が死んでるよ」
 子リスがよぶと、お母さんリスも出てきました。
 ジーニは、目をあけました。
「おや、まだ生きているようね」
 そういうと、お母さんリスは、トウモロコシの粉を水でといておかゆをつくり、しいの実のからに入れてはこんできました。
「さあ、たべて、元気をだしなさい」
 お母さんリスは、やさしくいいました。
 リスの親子は、何回も何回も、おかゆをはこびます。
 やがてジーニは、おなかがいっぱいになりました。
 それから、杉の枝をジーニの頭にのせて日よけをこしらえたり、木の皮でふとんまでつくってくれました。
 毎日、子リスはジーニのおなかの上で、おしゃべりしたり、おもしろいインデアンおどりをおどりました。
 やがてジーニは、子リスがおどると、
「ヤ、ホー。ヤ、ホー」
と、かけ声をかけたり、手をたたけるくらい、元気になったのです。
 ある日、お母さんリスが、マツかさを一つかかえてかえってきました。
 それをジーニの足もとから、がけ下へおとすと、
♪マツの木、マツの木、大きくなーれ。
♪マツの木、マツの木、大きくなーれ。
と、大声で、うたいました。
 つぎの日の朝、ジーニはがけの下を見おろしました。
 すると、はるか下に、草原と小川が見えました。
 そして草原に、一本の小さいマツの木がはえていました。
 そのマツの木は、グングンと大きくなりました。
 何日かたつと、とうとう、マツの木の先は岩だなのところまでのびてきました。
 つぎの日には、岩だなをこして、見あげるばかりの大木になったのです。
「ジーニ。この木をつたって、下へおりるんですよ」
 お母さんリスが、いいました。
 ジーニはよろこんで、ふとい枝をつかむと、マツの木にとびうつりました。
 リスの親子も、下までいっしょにおくってくれます。
「リスよ、ありがとう。親切はけっしてわすれはしない」
と、ジーニはお礼をいいました。
「うちへかえったら、これをお嫁さんにたべさせなさい」
 こういって、お母さんリスがマツのタネをジーニにくれました。
 ジーニがぶじにかえったので、お嫁さんはたいそうビックリしました。
「これは、おみやげだ」
と、いって、ジーニがマツのタネをわたすと、お嫁さんは、よろこんでたべてしまいました。
 その日の夕方、ジーニが狩りからかえってくると、どうでしょう。
 ジーニの家の屋根をつきぬけて、二本のマツの木が空にそびえているではありませんか。
 家のかべをつきやぶり、ふとい枝も四方へのびています。
と、パーン、と音がして、目のまえで家がはれつしてしまいました。
 そのマツの木は、ドド、ドド、と、なき声をたてていました。
 マツのタネをたべたわるいお嫁さんは、マツの木になってしまったのです。
 ジーニはあたらしいお嫁さんをもらって、しあわせにくらしました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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きょうの日本昔話 → 火事の知らせ方
きょうの世界昔話 → リスとマツの木
きょうの日本民話 → おぶさりてえ
きょうのイソップ童話クジャクとカラス
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2月19日の世界の昔話 月の夜の訪問者


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2月19日の世界の昔話



月の夜の訪問者



月の夜の訪問者
マケドニアの昔話 → マケドニアの国情報


 むかしむかし、あるところに、なかのいい若者と娘がいました。
 二人は日がしずむと、村はずれの川辺であっては、将来(しょうらい)のことをかたりあいました。
 ある日、若者が仕事で旅にでることになったので、娘にしばらくの別れをつげて、自分の金の指輪(ゆびわ)をはずして、娘の薬指にはめてあげました。
「かえるときまで、これはきみがもっていてくれないか」
「うん。じゃあ、これを」
 娘も、自分の指から銅の指輪をぬきとり、若者の小指にはめました。
「きっと、秋の収穫(しゅうかく)のころまでには、かえってくるからね」
 若者は、そう約束をしました。
 夏のあいだ、娘は毎日のように、若者とあっていた川辺にやってきては、シラカバの木にもたれ、たのしかった日びをおもいだしていました。
 ところが秋になっても、若者は村にかえってきません。
 金色の葉はすぐにおちてしまいましたが、それでも若者からは、なんのたよりもありませんでした。
 村に初雪(はつゆき)がふった日、娘は友だちにさそわれて、ひと晩とまりにいきました。
 ほかに友だちも二人きていて、四人でいっしょに糸をつむいだり、はなしをしたりして、とてもにぎやかに夜をすごしていました。
 歌をうたったり、お菓子をたべたりしていましたが、そのうち話がはずんで、自分たちの恋人の話になりました。
 そして、旅にでた若者をまちわびている娘がいいました。
「ねえみて、この金の指輪。あの人がわかれるときに、わたしの指にはめてくれたのよ。これをはずせる人なんて、この世にたった一人だけ、あの人しかいないのよ」
「でも、そんなにあなたをおもっているのなら、かえってきてもいいころなのにね。どうしたの? だいじなあなたのその人は」
と、友だちの一人がいいました。
「・・・・・・」
 外は朝からの雪がふりつもって、あたりはまっ白です。
 ソリのスズの音が、とおくからちかづいてきては、またとおざかっていきました。
「あのソリは、なんだろうね?」
「うちにくるかとおもうと、またいっちゃうし」
 四人で糸をつむいだり、外をながめたりしていると、ちょうどま夜中になったころ、スズの音が家のそばまできてピタリとやみました。
「ねえ。さっきのソリがきたよ」
 一人の娘がそういったとき、とびらをたたくものがいました。
 こんな夜ふけにだれだろうと、みんなでおそるおそるまどの外をのぞいてみると。
「黒い外とうをきているわ」
「わかい男の人のようよ」
「どれ、わたしにも見せて」
 そして娘がよくみると、旅にでた自分の恋人がたっていたのです。
「ごらんなさい! かえってきたのよ、わたしのいい人が!」
 娘はよろこんでとびらをあけると、若者にとびつきました。
「まあ! すっかりひえてるじゃないの。こんなにつめたくなって。さあ、暖炉(だんろ)にあたって」
と、手をとって中にいれようとしましたが、若者は、火のそばにはいきませんでした。
「じゃあ、わたしといっしょに家にかえろう」
 すると、娘の友だちは、
「こんな夜ふけだから、あしたにしたら」
と、ひきとめましたが、でも娘は、
「うん。でも、二人で家に帰るわ。糸つむぎのつづきは、またあしたにしましょう」
と、友だちにさよならをつげて、若者のソリに乗りました。
 娘が若者にかたをよせたとき、若者のからだがあんまりつめたいのでビックリしましたが、若者の小指に銅の指輪をはめているので、ニッコリとほほえみました。
「さあ、あなたの家につれていって」
 やがて雪がやんで、月の光があたりを銀色にてらしました。
 二人は月の夜道をよりそって、ソリをはしらせました。
 でもそれっきり、二人のすがたをみたものは、だれ一人ありませんでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日プロレスの日
きょうの誕生花 → すみれ
きょうの誕生日1966年 薬丸裕英 (歌手)


きょうの新作昔話 → 白ギツネの恩返し
きょうの日本昔話 → ふたをとらず
きょうの世界昔話 → 月の夜の訪問者
きょうの日本民話 → トラのあぶら
きょうのイソップ童話壁とくぎ
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