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1月31日の世界の昔話 赤ずきんちゃん


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1月31日の世界の昔話


赤ずきんちゃん



赤ずきんちゃん

ペローの童話 → ペロー童話の詳細


♪音声配信


 むかしむかし、あるところに、とても可愛らしい女の子がいました。
 あるとき、その女の子のおばあさんが、赤いビロードのきれで、女の子のかぶるずきんを作ってくれました。
 そのずきんが女の子にとても似合っていたので、みんなは女の子のことを、「赤ずきん」とよぶようになりました。
 ある日のこと、お母さんは赤ずきんをよんでいいました。
「赤ずきんや、おばあさんがご病気になってしまったのよ。おばあさんはお前をとっても可愛がってくださったのだから、お見まいに行ってあげなさい。きっと、喜んでくださるから」
「はい、お母さん」
「それじゃあ、このケーキと、上等なブドウ酒を一本持っておいき」
 赤ずきんがおばあさんのところへ一人で行くのは、はじめてのことだったので、お母さんは心配でたまりません。
 でも、お母さんには用事があって、一緒に行けないのです。
「いいですか、途中でみちくさをしてはいけませんよ。それから、オオカミに用心するのですよ。オオカミはどんな悪いことをするかわからないから、話しかけられても、知らん顔しているのですよ」
「はい、お母さん。大丈夫よ」
 赤ずきんは、お母さんを安心させるように元気よく、
「いってきまーす!」
と、いって、出かけていきました。
  おばあさんの家は、ここから歩いて三十分ぐらいかかる森の中にありました。
 その日はとても天気のよい日で、赤ずきんがスキップしながら歩いていると、そこへオオカミが現れたのです。
「こんにちは。赤いずきんが可愛い、赤ずきんちゃん」
 オオカミはニコニコしながら、赤ずきんに話しかけました。
 赤ずきんは、お母さんにいわれたことを思いだしましたが、動物好きの赤ずきんには、ニコニコしているオオカミが悪い動物には見えません。
「こんにちは、オオカミさん」
 赤ずきんが返事をしてくれたので、オオカミはニヤリとわらうとたずねました。
「赤ずきんちゃん、いまからどこへ行くの? たった一人で」
「あのね。おばあさんのお家よ。おばあさんがご病気だから、お見まいに行くの」
「そうかい。それはえらいねえ。・・・おや? そのバスケットの中には、何が入っているのかな?」
「ケーキとブドウ酒よ。おばあさんのご病気がはやくよくなるように、持ってきたの」
「なるほど、それでどこだい? おばあさんのお家は」
「森のずっとおくのほうよ。ここからなら、歩いて十五分くらいかかるわ」
「十五分か・・・」
 オオカミは、ちょっと考えました。
(ばあさんの家を探して、ばあさんを食べてしまうには、もうすこし時間がいるな。よし・・・)
「赤ずきんちゃん。おばあさんの家にいく前に、まわりを見てごらんよ。こんなにきれいに花がさいているし、小鳥は歌っているよ。せっかくだから、楽しく遊びながら行ったらどうかな。たとえば、花をつむとか」
 赤ずきんは、オオカミのいうとおりだと思いました。
 花をつんで持っていけば、おばあさんはきっと、喜んでくれるにちがいありません。
「そうね、オオカミさん、あなたのいうとおりだわ。あたし、お花をつみながら行くわ」
 赤ずきんはさっそく、いろいろな花をさがしはじめました。
 さて、赤ずきんと別れたオオカミは、そのまままっすぐ、おばあさんの家へ行きました。
 トントンと、戸をたたくと、
「はいはい。どなたかの?」
と、いう、おばあさんの声がしました。
 オオカミは、女の子のような声をだしました。
「赤ずきんよ。ケーキとブドウ酒を持ってきたの。開けてちょうだいな」
 それを聞いたおばあさんは、うれしそうな声で、
「おや、赤ずきんかい。さあさあ、カギはかかってないから、戸をおしてはいっておくれ。おばあさんはからだが弱っていて、ベットから起きられないからね」
「そうかい。それじゃあ、えんりょなしに」
 オオカミは戸をおし開けると、ベッドにねているおばあさんに、とびかかりました。
 オオカミは、こわさのあまり気を失ってしまったおばあさんの着物とずきんをとると、あとはパクリと、おばあさんを丸飲みにしてしまいました。
 それからオオカミは、おばあさんの着物をきて、おばあさんのずきんをかぶり、ベッドの中へもぐりこみました。
 そのころ赤ずきんは、まだ花を取っていましたが、やがて手に持ちきれないほど、たくさん取ってしまうと、やっとおばあさんの家へ行くことを思いだしました。
「そうだわ、いそいで行きましょう」
 おばあさんの家に行ってみると、入り口の戸が開いていたので、赤ずきんは不思議に思いました。
「どうしたんだろう? おばあさんは、いつも戸を閉めておくのに」
 赤ずきんが家の中へ入ると、いつもとちがった、へんなにおいがするような気がしました。
 でもそれが、オオカミのにおいだとは気がつきません。
 部屋のおくのベッドには、おばあさんがねています。
「こんにちは、おばあさん」
 赤ずきんが大きな声であいさつしましたが、なんの返事もありません。
 赤ずきんは、ベッドに近づきました。
(あら、おばあさんの様子が変。病気でこんなになってしまったのかしら?)
 赤ずきんは思い切って、おばあさんにたずねてみました。
「おばあさん、おばあさんの耳は、ずいぶんと大きいのね」
 すると、おばあさんに化けたオオカミがいいました。
「そうとも、お前のいうことが、よく聞こえるようにね」
「それに、目が大きくて光っている。なんだかこわいわ」
「こわがることはないよ。かわいいお前を、よく見るためだから」
「それに、おばあさんの手の大きいこと。おばあさんの手は、こんなに大きかったかしら?」
「そうだよ。大きくなくては、お前をだいてあげることができないもの」
「それからなんといっても、その大きなお口。おばあさんのお口があんまり大きいので、びっくりしちゃったわ」
「そうとも。大きくなくては、お前を・・・」
「お前を?」
「食べられないからさ!」
 オオカミはそういうと、赤ずきんをパクリと飲み込んでしまいました。
「ああ、食った食った。ばあさんに女の子。二人も食って、まんぷくだ」
 オオカミは、すっかりおなかが大きくなったので、そのままいびきをかいて寝てしまいました。
 そこへ、いつもこの森で狩りをしている猟師(りょうし)が通りかかりました。
「おや? ばあさまが、でっかいいびきをかいて寝ているぞ。・・・いつもと、様子がちがうようだが。見てこよう」
 猟師が家の中へ入って、ベッドに近よると、
「ややっ! これはオオカミではないか!」
 猟師は、ねむっているオオカミを鉄砲で殺してしまおうと思いましたが、もしかすると、食べられたおばあさんが、おなかの中で生きているかもしれないと思って、大きなはさみでオオカミのおなかをジョキジョキと切りはじめました。
 するとまず、赤いずきんが見えました。
 そして、女の子がとびだしました。
「ああ、ビックリしたわ! オオカミのおなかの中って、まっくらなんですもの」
 その次に、おばあさんがオオカミのおなかから、
「よっこらしょ。やれやれ、ひどいめにあったよ」
と、出てきました。
 おばあさんは寝たきりで動けなかったはずですが、オオカミに食べられたショックで、病気がどこかへふき飛んでしまったのです。
 元気になったおばあさんは、赤ずきんにいいました。
「赤ずきんや、庭にある石をたくさん持ってきておくれ。この悪いオオカミを、こらしめてやらないとね」
 そして赤ずきんがたくさんの石を持ってくると、おばあさんは石をオオカミのおなかにつめこんで、おなかをはりと糸でぬいあわせました。
 さて、しばらくしたあと、やっと目をさましたオオカミは、のどがかわいて近くの川に行きました。
「ああ、おなかが重い。少し食べ過ぎたかな?」
 オオカミが川の水を飲もうとしたとたん、お腹の石の重さにバランスをくずして、オオカミはそのまま川にドボンと落ちてしまいました。
 悪いオオカミがいなくなって、みんなはひと安心です。
(ああ、こわかったわ。これからは二度と、みちくさをしないわ)
 赤ずきんは、自分にいいきかせたのでした。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → シューベルト誕生日
きょうの誕生花 → しろたえぎ
きょうの誕生日 → 1977年 香取慎吾(歌手)


きょうの新作昔話 → あぐりこキツネ
きょうの日本昔話 → 泣きべそしゃれこうべ
きょうの世界昔話 → 赤ずきんちゃん
きょうの日本民話 → 幽霊のたのみ
きょうのイソップ童話 → キツネとツル
きょうの江戸小話 → あんどん


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1月30日の世界の昔話 ワニの贈り物


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1月30日の世界の昔話



ワニの贈り物



ワニの贈り物
フィリピンの昔話 → フィリピンの国情報


 むかしむかし、ある村に、とてもやさしくて子もり歌の上手なおばあさんがすんでいました。
 ある日おばあさんが川へいくと、ワニが声をかけてきました。
「おばあさん、頼みがあるんだよ。泣いてばかりいるうちの子を、うまく寝かしつけてもらえないかね?」
「それなら、まかしといて!」
 おばあさんはワニの背中にのって、むこう岸ヘわたりました。
 なるほど、しげみの中では子ワニが、わんわんと泣いています。
 おばあさんは、草をかき分けてかけよりました。
「よしよし、かわいい坊やね。安心おし。わたしが来たからもう大丈夫」
 おばあさんは子ワニの頭をなでて、さっそく子もり歌を歌いはじめました。
♪バユーバイ バユバイ。
♪子ワニちゃん。
♪おねむりなさい。
♪かわいい 子ワニちゃん。
 おばあさんの歌を聞くと、子ワニはピタリと泣きやみました。
 それから、
「フワーーッ。ムニャムニャ・・・」
と、大きなあくびをして、かわいい寝息(ねいき)をたてはじめました。
 でもおばあさんは、まだしばらく歌いつづけました。
 やがて子ワニが、本当にグッスリと眠ったのをたしかめて、立ち上がりました。
「さて、そろそろ帰るとしましょうか」
 すると親ワニが、魚のいっぱい入ったカゴを持ってきてくれました。
「ありがとう、おばあさん。お礼に、これを持って帰って」
「これは、ありがたいわ。わたしは魚が大好きなのよ」
 おばあさんは大喜びで、またワニの背中にのり、川をわたって帰りました。
 おばあさんが家へつくと、となりのおばあさんがやってきました。
「おや、おいしそうな魚だねえ。いったいどこで手に入れたの?」
「川で、ワニにもらったのよ」
 おばあさんは、これまでの事を全部はなしました。
「へえー、それじゃあ、わたしも行ってみよう」
 となりのおばあさんは川ヘいくと、ワニにむかっていいました。
「さあ、お前の子を寝かせに来てやったよ」
「いえ、子どもはよく眠っているから、けっこうですよ」
「ふん! 子どもなんて、じきに目を覚ますに決まってるよ。さあ、わたしを背中にのせて、つれておいき!」
 むりやりむこう岸へわたったおばあさんは、子ワニを見て顔をしかめました。
「うへー! なんてまあ、汚くて、くさいんだ!」
 そして、寝ていた子ワニを足でけとばしました。
 子ワニはビックリして、目を覚ますと泣きだしました。
「ほら、やっぱり泣いただろう」
 となりのおばあさんは、よこでハラハラしながら見ている親ワニにいいました。
「なにをグズグズしているんだい! はやく魚をとっておいでよ。そのあいだに、子どもを寝かしつけておくからさ」
 そして、となりのおばあさんは歌いはじめました。
♪バユーバイ バユバイ。
♪さっさとおねむり 汚い子。
♪はやくおねむり くさい子よ。
 子ワニは眠るどころか、ビービーと大泣きです。
 親ワニはおこって、カゴを差し出しながらいいました。
「これをやるから、もう帰っておくれ!」
 となりのおばあさんは、カゴを受け取るとニヤニヤわらいながら、
「そうかい。それなら、また川をわたしておくれ」
と、いって、またワニの背中にまたがって帰っていきました。
 家へつくと、まどや戸を全部しめました。
 大事なみやげ物を、だれにも見られたくなかったからです。
 そして、いよいよカゴをひらいたとたん、
「ギャーッ!」
 おばあさんは、悲鳴をあげてきぜつしました。
 カゴの中に大きなヘビが入っていて、シュルシュルと、おばあさんの体にまきついたからです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 3分間電話の日
きょうの誕生花 → ペペロミア
きょうの誕生日 → 1958年 石川さゆり(歌手)


きょうの新作昔話 → 塩買い大黒
きょうの日本昔話 → 大いびき善六
きょうの世界昔話 → ワニの贈り物
きょうの日本民話 → 待ちきれずに
きょうのイソップ童話 → どちらが子どもをよけいうむかで、ケンカするブタとイヌ
きょうの江戸小話 → 金箱のかぎ


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1月29日の世界の昔話 魔法のビール


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1月29日の世界の昔話



魔法のビール



魔法のビール
デンマークの昔話 → デンマークの国情報


 むかしむかし、ロースキルデというところに、お金持のお百姓(ひゃくしょう)が広い土地をもっていました。
 その土地の中の丘のひとつに、小人たちが住んでいました。
 ある日のこと、小人たちは結婚式のお祝いで大さわぎをしていました。
 ところが夜おそくなってから、あいにくビールがなくなってしまいました。
 そこで一人の小人が、お百姓のところへいって、トントンと戸をたたきました。
「こんばんは。ビールを一タル貸してくれませんか。あなたはこのあいだビールをつくったばかりだから、たくさんおもちでしょう。こんどわたしたちがつくったときにかならずおかえししますから」
と、小人はいいました。
「おまえさんはだれだね? どこに住んでいるんだね?」
と、お百姓はたずねました。
「わたしはあそこの丘に住んでいるものです」
と、小人はこたえました。
「よろしい。地下室へいって、一タル持っていきなさい」
と、お百姓はいいました。
 小人はビールを持って帰っていきました。
 それから三日目の夜、また小人がやってきて、トントンと戸をたたきました。
 お百姓は、おきあがって、
「だれだね、戸をたたくのは?」
と、たずねました。
「わたしですよ」
と、小人はこたえました。
「ビールをおかえししにきたんです。地下室へおいておきますよ。それからお礼に、うまい魔法をかけておきますからね。あなたがもしタルの中をのぞきこみさえしなければ、タルからは、いつでもあなたのほしいだけビールがでてきます。いつまでたってもからっぽになりませんよ」
 それは、ほんとうでした。
 タルからは、いくらついでもビールがでてくるのです。
 そのかわり、もちろんだれ一人、タルの中をのぞいて見るものはありませんでした。
 ところがあるとき、この家に新しい女中(じょちゅう)がきました。
(あのタルからは、どうしていくらでもビールがでてくるのかしら?)
と、女中はふしぎに思いました。
 女中はタルの中に、あとどのくらいあるかのぞいてやろうと思いました。
 ところがタルの中をのぞいたとたん、女中はビックリして思わず、
「キャアーッ!」
と、さけびました。
 なんとタルの中は、カエルでいっぱいだったのです。
 このときからというもの、タルの中のビールはなくなってしまいました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 南極「昭和基地」設営記念日
きょうの誕生花 → きんかん
きょうの誕生日 → 1977年 宝生舞(俳優)


きょうの新作昔話 → かぶと島
きょうの日本昔話 → 聴き耳ずきん
きょうの世界昔話 → 魔法のビール
きょうの日本民話 → キツネの倉
きょうのイソップ童話 → オオカミと馬
きょうの江戸小話 → けち自慢


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1月28日の世界の昔話 ライオンのメガネ


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1月28日の世界の昔話



ライオンのメガネ



ライオンのメガネ
ヴィルドラックの童話


 とおいとおいところに、動物の国があり、その国の王さまはライオンでした。
 そのライオンは、たくさん年をとったおじいさんですが、まだまだりっぱに動物の国をおさめていました。
「みなの者、弱い者いじめをしてはならないぞ。自分より弱い者、小さい者をいじめた者は死刑(しけい)にする」
 ライオンの王さまはそう決めて、動物の国でも小さくて弱い者のウサギやヒツジをまもってやりました。
 りっぱでやさしい王さまを、動物たちはみんな大好きでした。
 ところが近ごろ、ライオンは目が見えなくなってきたのです。
 だれでも年をとると、目がかすんできますが、それはライオンも同じで、あたりがボーッと見えて、うまく走ることができなくなってしまいました。
 それを見て大喜びしたのは、大臣(だいじん)のトラです。
 ライオンが王さまのつとめを果たせなくなったときには、トラが王さまになれるのです。
「もうすぐライオンは目が見えなくなって、なんにもできなくなるぞ。そうしたら、わしが動物の国の王さまだ。王さまになったら、弱虫やチビの動物は、片っぱしから食ベてやる」
 トラは、そう思っていました。
 そして動物たちはみんな、トラの考えていることを知っていました。
「どうかライオンの目が、もう一度よく見えるようになりますように。トラが王さまになりませんように」
 ライオンが大好きな動物たちは、みんな一生けんめいに願いました。
 けれど、ライオンの目はだんだん悪くなるばかりです。
「ああ、わしはもう、王さまとして動物の国をおさめることができないのかな」
 ある日のこと、ライオンはため息をつきながら、トボトボと歩いていました。
 すると、ほら穴の奥のほうから人間のにおいがしてきます。
 目は見えなくても、鼻はまだきくライオンは、そっとほら穴にはいっていきました。
 ほら穴の奥では、人間のおじいさんが一人で本を読んでいました。
 おじいさんは大きなライオンが近づいてきたのを見ると、ビックリしてさけびました。
「た、助けてください!」
「人間のおじいさん、どうかビックリしないでください。わたしは、あなたを食べようなんて思っていません。ただ、あなたがとても年をとっているのに、こんな小さい字の書いてある本が読めるのを、ふしぎに思ったのです。年をとっても目がかすまない薬でも持っているのかと、聞きたいのです」
 ライオンは、このごろ目が見えなくて困っていることを、おじいさんに話しました。
 王さまの位をねらっている、いじわるでわがままなトラのことも話しました。
 ライオンの話を聞いたおじいさんはニッコリして、おでこにのせていた物をライオンにわたしました。
「年をとっても目が見えるのは、これのおかげじゃよ」
 それは、メガネでした。
「あんたは、やさしいライオンじゃ。王さまらしいりっぱなライオンじゃ。あんたがいつまでも王さまでいられるように、このメガネをあげよう」
 おじいさんは、ライオンにメガネをかけさせてくれたのです。
 するとたちまち、あたりの物がハッキリと見えてきました。
 草の葉っぱにとまっている、小さなテントウムシまで、ちゃんと見えました。
 ライオンは大喜びでメガネをもらうと、ウォー、ウォーと、喜びながら、岩を飛びこえて走って帰りました。
「ばんざーい、ばんざーい。王さまの目が見えるようになったぞ!」
 動物たちは大喜びで、ライオンをむかえました。
 たった一人、トラだけは、ガッカリして病気になってしまいましたけれど。
 それからずっとライオンは元気で、今もメガネをかけて、動物の国をりっぱにおさめているのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → ダンスパーティーの日
きょうの誕生花 → レプトスペルマム
きょうの誕生日 → 1981年 乙葉(タレント)


きょうの新作昔話 → 浦島子(うらしまこ)
きょうの日本昔話 → 若返りの水
きょうの世界昔話 → ライオンのメガネ
きょうの日本民話 → 白竜湖の琴の音
きょうのイソップ童話 → ライオンとキツネとシカ
きょうの江戸小話 → とおれ


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1月26日の世界の昔話 花とお日さま


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1月26日の世界の昔話



花とお日さま



花とお日さま
アンデルセン童話 → アンデルセン童話の詳細


 それは、さむいさむい冬のことです。
 雪のまじった冷たい風がふいていましたが、部屋の中は気持ちよくあたたまっていました。
 ここは、地面の中の部屋です。
 そこには、花がねむっていました。
 ある日、雨がふりました。
 雨のしずくは土の中までしみこんでいき、花のねっこをゆすぶりました。
「おきなさい、おきなさいな」
「う、うーん・・・」
 花のねっこは、なかなか目をさまそうとしません。
 そのうちに春がきて、あたたかいお日さまの光がさすようになりました。
 お日さまの光は土のあいだをくぐって、花のねっこのところまで入っていきました。
 そして花のねっこを、少しずつ、少しずつ、あたためてやりました。
「ああ、体の中がムズムズする。手足をウーンと、思いっきりのばしたいなあ」
 花のねっこは目をさまして、そんなことをいいました。
 また、雨がふりました。
 雨は土の中にしみこむと、花のねっこをくるんでいる、うすい皮をぬらしてやわらかくしていいました。
「出てきなさい。はやく、出てきなさい」
 そこへまた、あたたかいお日さまの光がはいってきて、ポカポカとあたためました。
「ああ、もう、ジッとしてはいられないよう」
と、花のねっこはいいました。
 まもなくねっこは、白いひげのような根をだしてきました。
 それから、うすみどりの芽をのばしてきました。
 芽はお日さま光をいっぱいあびようと、お日さまの光がくるほうへとのびていきました。
 そしてとうとう、土の上にでてきました。
「ああ、なんて明るいんだろう」
 芽は、まぶしくてこまりました。
 するとお日さまは、
「やあ、やっと顔を見せてくれたね」
と、やさしく気持ちのいい光で、小さな芽をつつみました。
 今度は、そよそよと風がふいてきていいました。
「はじめまして、やっと、出てきたんだね」
 そして今度は、小鳥がやってきて、楽しそうに歌いました。
「♪ 芽が出たよ。 芽が出たよ。かわいい芽が出たよ」
 芽は、うれしくなりました。
「よーし、もっと大きくなって、みんなに喜んでもらおう」
 芽は頑張って、毎日毎日大きくなりました。
 もう、お日さまもまぶしくありません。
 グングン、グングンのびていきました。
「しっかり、しっかり」
「がんばれ、がんばれ」
「その調子だよ」
「♪ もうすぐ、もうすぐ、もうすぐだー」
 お日さまも、雨も、風も、小鳥も、みんなはげましてくれました。
 そしてついに、かわいいつぼみをつけて、きれいな花をさかせたのです。
「やったー」
「おめでとう」
「すごく、きれいだよ」
「♪ 花が出たよ。花が出たよ。かわいい花が出たよ」
 みんなにほめてもらって、花はとても幸せでした。

 ほら、あなたのお庭にさいている花が、その花ですよ。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 文化財防火デー
きょうの誕生花 → カロライナジャスミン
きょうの誕生日 → 1955年 所ジョージ(タレント)


きょうの新作昔話 → 親子地蔵
きょうの日本昔話 → アズキとぎ
きょうの世界昔話 → 花とお日さま
きょうの日本民話 → 送りオオカミ
きょうのイソップ童話 → デマデスの演説
きょうの江戸小話 → どろぼうのおあいそ


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1月25日の世界の昔話 ホタルとオナガザル


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1月25日の世界の昔話



ホタルとオナガザル



ホタルとオナガザル
フィリピンの昔話 → フィリピンの国情報


 むかしむかし、フィリピンの島には、『夕方(ゆうがた)』というものがありませんでした。
 いままでお日さまが、カンカンにてりつけていたかと思うと、たちまちまっくらな夜になってしまうのです。
 くらくなると、ホタルたちがチラチラとまたたきながらとびまわります。
 ある晩のこと、一匹のホタルが、友だちのところへ遊びにでかけました。
 ホタルは自分の小さなあかりで道をてらしながら、シュロ(→ヤシ科シュロ属の常緑高木の総称)の木のあいだをとんでいきました。
 それを、高い木にのぼっていたオナガザルが見つけました。
 オナガザルはホタルをよびとめて、からかいます。
「もしもし、ホタルさん。どうしてわざわざ、あかりなんかつけているんだね?」
「うるさいカを、追いはらうためですよ」
と、ホタルはこたえました。
「なーるほど」
 オナガザルは、ホタルを鼻で笑います。
「つまりあんたは、ちっぽけなカが、おそろしいってわけだな。・・・よわむしだね」
「よわむしとはちがいます。カなんかおそろしくない。ただ、ほかのものにじゃまされたくないだけですよ」
 オナガザルは、また鼻で笑いました。
「いやいや。よわむしにきまっている。あかりをつけているのは、カがおそろしいからさ」
「・・・・・・」
 ホタルは、そのままだまっていってしまいました。
 オナガザルは、あいてにされなかったのでおもしろくありません。
 あくる朝、あちこちのサルのところへでかけていって、ホタルのことをふれまわりました。
「ホタルはすごく、よわむしだぞ」
「まったく、あきれたよわむしだ」
 サルたちはみんなで、ホタルをバカにして笑いました。
 それを聞いたホタルは、オナガザルをこらしめてやろうと思い、オナガザルのところへとんでいきました。
 オナガザルは、ねむっていました。
 ホタルは自分のあかりを、オナガザルの鼻さきにつきつけました。
 オナガザルは、ビックリして目をさまします。
「なぜ、ぼくのことをよわむしだなんてふれ歩いたんだ?」
と、ホタルはきびしくたずねました。
「あしたの朝、シュロの林まできてくれ。ほかの鳥やけものにもきてもらって、ぼくがよわむしかよわむしでないか見てもらう」
「ハッハッハッハッ」
 オナガザルは、大口あけて笑いだしました。
「おまえさん、おれと勝負しようというのかい?」
「そうだとも」
 ホタルは、きっぱりとこたえました。
「いったい、だれにたすけてもらうつもりだい? 一人じゃ、とうていかないっこないだろう」
 オナガザルは、からかうように聞きました。
「一人だとも!」
「一人だって?」
 オナガザルは、あきれました。
「そう、一人だ。もっとも、こわいのならやめてやってもいいが」
「おもしろい。やろうじゃないか!」
と、オナガザルはさけびました。
「だが、ことわっておくが、こっちは一人じゃいかないぞ。仲間を集めていくからな。それもすごくつよいやつばかりをな」
 ホタルが帰ると、オナガザルは友だちのところをつぎつぎとたずねて、
「あしたの朝、こん棒をもってシュロの林にきてくれ」
と、たのみました。
 朝がきて、お日さまがあかるくてらしはじめました。
 ホタルはおちついて、戦いのはじまるのをまっていました。
 オナガザルが、おおぜいのサルをつれてやってきました。
 そしてホタルを見つけると、オナガザルが先頭にたって、こん棒をふりまわしながらおそいかかってきました。
 ホタルはスイーッととんで、オナガザルの鼻先へとまりました。
「このホタルめっ!」
 そばにいたサルが、ホタルめがけて力いっぱいこん棒をうちおろします。
 ところがホタルは、それよりはやくヒョイととびのきました。
 こん棒はオナガザルの鼻にあたり、オナガザルはギャン! とさけんでたおれました。
 つぎにホタルは、二匹目のサルの鼻にとまりました。
 三匹目のサルが、こん棒をふりおろしますが、またもやホタルは、ヒョイとにげて、こん棒は二匹目のサルの鼻にあたって、これものびてしまいました。
 ホタルはつぎからつぎへと、サルの鼻さきにとびうつりました。
 サルのほうはホタルをねらっては、おたがいの鼻をなぐりあい、とうとう一匹のこらずのびてしまいました。
 かしこくていさましいホタルは、大きなサルたちに勝ったのです。
「さあ、これでもぼくはよわむしで、カをおそれているという気かい?」
 ホタルは勝ちほこってさけぶと、地面にたおれているサルの上をクルクルとまわって、ひきあげていきました。
 サルたちははずかしくて、赤い顔がますます赤くなりました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 中華まんの日
きょうの誕生花 → プリムラ
きょうの誕生日 → 1938年 松本零士(漫画家)


きょうの新作昔話 → 切戸(きりど)の文珠(もんじゅ)と北野(きたの)の文珠(もんじゅ)
きょうの日本昔話 → 乙姫様のくれたネコ
きょうの世界昔話 → ホタルとオナガザル
きょうの日本民話 → もちのなる木
きょうのイソップ童話 → アシとオリーブの木
きょうの江戸小話 → たたかれても安心


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1月24日の世界の昔話 人間に飼われるようになったけもの


福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 1月の世界昔話


1月24日の世界の昔話



人間に飼われるようになったけもの



人間に飼われるようになったけもの
フィンランドの昔話 → フィンランドの国情報


 むかしむかし、一人の牧師(ぼくし)さんが、お嫁さんをもらうことになりました。
 そこで、そのあたりに住む動物たちを結婚式にまねきました。
 クマと、オオカミと、ヒョウと、キツネと、シロギツネと、ウマと、ウシと、ヤギと、ヒツジと、トナカイがまねかれました。
 一番はじめに、クマがでかけていき、とちゅうで男の子にであいました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、クマがこたえました。
「いかないほうがいいよ。クマさんの毛皮はあたたかくてすばらしいだろう。みんな毛皮がほしくなって、クマさんをうちころして皮をはいでしまうよ」
 クマは男の子のいうことを聞いて、森へ帰っていきました。
 こんどは、オオカミがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、オオカミがこたえました。
「いかないほうがいいよ。オオカミさんの毛皮はとても役にたちそうだからね。もう、森へ帰れなくなるかもしれないよ。それでもいいのかい?」
 オオカミはクマとおなじように、結婚式にいくのをやめて帰りました。
 するとこんどは、ヒョウがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねると、
「牧師さんの結婚式に」
と、ヒョウがこたえました。
「いかないほうがいいよ。ヒョウさんの毛皮は、人間たちがみんなほしがっているからね。むこうヘつくとつかまえられて、もう二度と歩けなくなってしまうよ」
 ヒョウは男の子のいうとおりだと思って、森ヘ帰ることにしました。
 そのつぎに、キツネがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
と、キツネがこたえました。
「気をつけないとだめだよ。キツネさんの毛皮はとても人気があるんだよ。命をおとしにいくことになるかもしれないよ」
 これを聞くと、キツネはクルリとむきをかえて、森の中へにげていきました。
 こんどは、シロギツネがきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「おやまあ、気のどくに。そこへいってなにをするつもりなんだい。イヌがきみをたべちゃうだろうよ」
 シロギツネはビックリして、帰っていきました。
 こんどは、ウマがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「いかないほうがいいよ。ウマさんは力もちだから、つかまえられて働かされちゃうよ。もう遊べなくなっちゃうよ」
と、男の子はいいましたが、ウマは、
「だいじょうぶさ。たとえロープをつけられたって、にげたくなったら、ロープなんかきってくるから」
と、いって、結婚式の場所ヘいそぎました。
 そしてそこへつくと、ウマは働かされることになりました。
 つぎに、メスウシがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「いかないほうがいいよ。ウシさんはミルクをたくさんだしてくれるし、ウシさんの皮は役にたつし、そのうえ肉はおいしいから、人間たちはほうってはおかないと思うよ」
「だいじょうぶよ」
 男の子のいうことを聞かず、メスウシは旅をつづけました。
 そして人間たちのところにつくと、ロープでしばられて、かわれることになりました。
 こんどは、ヤギがやってきました。
 ヤギも、男の子のいうことを聞こうとはしませんでした。
 ですから、ウマやウシとおなじように、人間にかわれることになりました。
 そのつぎに、ヒツジが通りかかりました。
 男の子は、人間たちがヒツジの毛と肉をほしがっているから、いかないほうがいいといってとめました。
 けれども、そんなことにはおかまいなしに、ヒツジはさっさと結婚式に、いってしまいました。
 そしてとうとう、かえってきませんでした。
 さいごに、トナカイがやってきました。
「どこへいくの?」
と、男の子がたずねました。
「牧師さんの結婚式に」
「トナカイさんは、どの動物よりもはやく走れるんだから、みんながきみをかえしちゃくれないよ」
「わたしなら心配いりません。わたしをしばろうとしたって、さっとにげてきますよ」
 トナカイはそういって、結婚式の場所へいそぎました。
 トナカイは男の子のいったとおりつながれて、ソリをひかされるようになりました。
 さて、男の子の注意を聞いた動物たち「クマと、オオカミと、ヒョウと、キツネと、シロギツネ」は、いまでも自由に森の中をはねまわっています。
 ところが「ウマや、ウシや、ヤギや、ヒツジや、トナカイ」のように、いうことを聞かなかった動物たちは、それからというもの、ずっと人間にかわれるようになったのです。


おしまい


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1月23日の世界の昔話 キツネとネコ


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1月23日の世界の昔話



キツネとネコ



キツネとネコ
グリム童話 →グリム童話の詳細


 むかしむかし、ある森の中で、ネコはキツネとバッタリ出会いました。
 ネコはニコニコしながら、キツネに話しかけます。
「こんにちは、キツネさん。狩(か)りのほうはうまくいっていますか? このごろ獲物(えもの)が少なくなって、狩りがやりにくくなりましたね。でもキツネさんは頭がいいから、きっとどんなときでもうまくやっていらっしゃるんでしょうね」
 するとキツネは、ネコをジロジロとながめてから、めんどくさそうに返事をしました。
「ぼくがうまくやっているかだって? まあ、きみに比べたら少しはね。で、きみはどんなやりかたを知っているの?」
「わたしは、イヌから逃げる方法をたった1つしか知らないんです」
「どんな?」
 ネコは、はずかしそうに答えました。
「もしイヌが追いかけてきたら、すぐ木に登る。それだけです」
「へー、それだけ」
 キツネは、大げさにおどろきました。
「ぼくは逃げ方だけでも、百以上のやり方を知ってるぜ。それから、相手をワナに引っかける技もね。みんなぼくの知恵袋(ちえぶくろ)の中に入っているんだ。あわれなネコくん、1つ教えてあげようか?」
 キツネが得意(とくい)になって、夢中(むちゅう)でしゃべっているときです。
 いつの間にかイヌを4匹つれた狩人が、すぐそばまで来ていました。
 ネコは素早く木にのぼりました。
 これで安心、木の枝や葉っぱがネコをスッポリとおおいかくしてくれます。
「キツネさん、はやく知恵の袋を開けなきゃ!」
 ネコが言ったときにはもう遅く、キツネはイヌにつかまってしまいました。
「キツネさんどうして? 百以上のやり方を知っているのに。・・・あっ、そうか。どのやり方にするのかまよっているうちに、つかまってしまったんだ。わたしはたった1つしか逃げ方を知らなくて助かったよ」
 ネコはつぶやいて、「ホッ」とため息をつきました。


おしまい


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1月22日の世界の昔話 メスウシのブッコラ


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1月22日の世界の昔話



メスウシのブッコラ



メスウシのブッコラ
アイスランドの昔話 → アイスランドの国情報


 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんと息子がいました。
 とても貧乏(びんぼう)ですが、ブッコラという名まえのメスウシを、たった一頭飼っていました。
 ところがある日、そのブッコラが突然いなくなってしまったのです。
「これはきっと、悪魔(あくま)にさらわれてしまったにちがいない。さがしてきておくれ」
 おじいさんとおばあさんが、息子にいいました。
 そこで息子は、長い長い旅のしたくをして、メスウシのブッコラをさがしにいくことになりました。
 お弁当を食べて、歩いて、お弁当を食べて、歩いて、息子は一生けんめいブッコラをさがしました。
 ですが、ブッコラの足跡ひとつ見つかりません。
「ブッコラや、もう死んでしまったの? 生きているなら返事をしておくれ」
 すると、
「モウー」
 ブッコラの鳴く声が聞こえたのです。
「もうすぐだ!」
 息子は、せっせと歩きだしました。
 ところが、たしかに声がしたのに、ブッコラの足跡ひとつないのです。
「ブッコラや、生きているの? 生きていたら返事をしておくれ」
 すると、
「モウー」
 さっきより、ずっと近くで返事をする声が聞こえました。
「ブッコラや、まだ生きている? 生きていたら返事をしておくれ」
 すると、どうでしよう。
「モウー」
 大きな岩の中から、ブッコラの声か聞こえたのです。
 息子は急いで、岩のすきまから岩の中に飛びこみました。
「あっ、いたいた!」
 ブッコラは太いくさりにつながれて、岩のろうやにはいっていたのです。
「早く、逃げよう!」
 息子はブッコラのくさりを切ると、いっしょに逃げ出しました。
 ところが、しばらくすると、
「こら、待て!」
 大きなオスウシを連れた悪魔があらわれて、息子たちを追いかけてきたのです。
「だめだ、つかまってしまう!」
 すると、ブッコラがいいました。
「あたしのしっぽの毛をぬいて、後ろにほうりなさい」
 息子がいうとおりにすると、ブッコラがじゅもんをとなえました。
「しっぽの毛、大きな川になれ」
 するとふしぎなことに、そこには大きな川ができたのです。
 ところが、悪魔はいいました。
「ふん。こんな川なんて平気だよ。それ! オスウシよ、川の水をみんな飲んでおしまい!」
 悪魔は、オスウシに川の水をガブガブと飲ませてしまいました。
「だめだ、もうつかまるよ」
「じゃあ、もう一本毛をぬいて」
 今度は、ものすごい火の山ができました。
 ところが悪魔のオスウシは、さっき飲んだ川の水をみんなはき出して、たちまち火を消してしまいました。
「もうだめだ。つかまってしまう」
「じゃあ、もう一本毛をぬいて」
 今度は、見あげるほどの岩山ができました。
 ところが、
「こんな山なんか、一突きで穴をあけてやる」
 悪魔とオスウシは、ツノで岩に穴をあけて、その穴をくぐってこようとしたのです。
 でも穴が細すぎたため、悪魔とオスウシは途中でつまってしまい、そのまま岩になってしまいました。
 ブッコラと息子は、めでたくおじいさんとおばあさんの家に帰ることができたということです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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きょうの誕生日 → 1960年 岡部まり(タレント)


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1月21日の世界の昔話 身代わりにされたクマ


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1月21日の世界の昔話



身代わりにされたクマ



身代わりにされたクマ
ハリスの童話 → ハリスの童話の詳細


 むかしむかし、ある森に、イタズラ好きのウサギがいました。
 ある日、キツネが畑にピーナツのタネをまいているのを見つけたウサギは、フンフンと鼻を鳴らして歌いました。
♪しめたぞ、しめた、ピーナツが土の中
♪どんどん太れ、大きくなーれ
♪今にみていろ、みていろよ
♪たっぷりごちそうになってやる
 秋になりました。
 キツネの畑には、ピーナツがいっぱい実りました。
 けれども、キツネがそろそろ取って食ベようかなと見回りにいくと、だれかに先取りされているのです。
 よく見ると、かきねが破れて、丸い穴があいています。
「ははあん。ここから、取りにもぐったな」
 キツネは、すぐにワナをしかけることにしました。
 そばにはえていた、トネリコ(→モクセイ科の落葉小高木で、家具やスキー板や野球のバットをつくります)のじょうぶな枝を曲げて、その先に輪(わ)をつくりました。
 つぎの朝、さっそくウサギがやってきました。
「しめしめ、きょうもごちそうさま」
 ウサギは、いつもの鼻歌で、かきねの破れ穴に首をつっこみました。
「あっ!」
 たちまちワナがギューッとしまり、トネリコのじょうぶな枝が、ビューンと空にはねあがりました。
 しめつけられたウサギのからだは、トネリコの木の上に宙ぶらりんです。
「えーん、どうしよう。下に落ちるのもこわいし、落ちないのもこわいよう」
 そこでウサギは、いつもの調子で頭をたたいて考えました。
と、ちょうどそこへ、人のいいクマが、ノッシノッシと歩いてきました。
「おおーい。クマさーん!」
「・・・?」
 ウサギがよんでも、クマはキョロキョロするばかりです。
「ここだよ、クマさん」
 クマはウサギの声が、空からふってくるのに、やっと気がつきました。
「なんだい、ビックリさせるね」
 クマは木にぶらさがったウサギを見あげて、目を丸くしました。
「へへへっ、じつはね。今、いいもうけ仕事をしてるんだ。こうして、かかしになって、ピーナツ畑にやってくるカラスを追っぱらってやるだけで、大金がもらえるんだ。よかったら、代わりにやってみる気はないかい?」
「うーん、そんなにかんたんな仕事なら、やってもいいよ」
 クマはウサギと代わって、トネリコの木のワナにはさまりました。
 するとウサギは、キツネのところへ走っていきます。
「おーい、キツネさーん。ピーナツをとった犯人がわかったぞ!」
 ウサギの知らせに、キツネは棒をもってかけだすと、ワナにはまったクマになぐりかかりました。
「な、な、なにをするんだ!」
 クマがウサギと代わったわけを話そうとしても、キツネは聞いてくれません。
「口をなぐれ、思いっきりなぐれ」
 そばからウサギがいうものだから、クマは話すひまがありません。
 そしてその間に、ウサギは逃げてしまいました。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


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